トロフィーハンティングは、野生動物保全や地域社会の発展のための資金源として正当化されるが、収益の流れの不透明さと効果には問題を内包する。
収益の私物化
ハンティングによって得られる収益が、実際にどれだけ野生動物保全活動に充てられているのかは、大半が不明確であり、狩猟許可証の販売や関連する税金が徴収されても、その後の使途に関する詳細な公開が不十分なケースが多く、収益は政府や民間業者の手に渡り、腐敗や管理の不備により、実際の保全プロジェクトや地域住民に届かないことが指摘されている。
現に、アフリカの一部の国では、ハンティングライセンス料が地元コミュニティではなく、中央政府や富裕層の懐に入るケースが報告されている。
保全効果の疑問
野生動物の個体数保護に貢献するという主張は、科学的根拠が薄弱な場合があり、高額なトロフィーを得るために、希少な個体や繁殖能力の高い個体が標的になることで、かえって個体群全体の健全性を損なうリスクも指摘されている。
ライオンやゾウのような象徴的な動物を狩猟することで、観光収入の減少や生態系のバランス崩壊が起きる可能性がある。
地域社会発展の疑問
ハンティング関連の雇用は一時的で低賃金のものが多く、長期的な発展に繋がりにくく、コミュニティ内での収益分配が不均等で、地域住民全体への恩恵というよりも、特定の有力者やグループにのみ利益が集中しているケースも報告されている。
これにより、地域住民の貧困削減や生活向上に十分な貢献がなされていないとの批判があり、狩猟活動が地域住民の生活圏を侵食したり、伝統的な生活様式を破壊しており、地域住民が経済的利益よりも、動物の生息地や生態系の健全性を優先する声も少なくない。
論理的問題
トロフィーハンティングは動物を趣味や娯楽のために殺すという根本的な倫理的問題を抱えており、生命の尊厳を軽視する行為として、世界中で強い非難を浴びている。
たとえ収益が保全に使われたとしても、絶滅危惧種や生態系にとって重要な動物を殺す行為自体が、保全の目的と矛盾すると言える。
代替案
野生動物保全や地域社会の発展には、トロフィーハンティング以外の方法、エコツーリズムや写真撮影ツアー、国際的な保全基金など、より持続可能で倫理的な資金源が存在する。これらは、動物を殺さず、長期的な経済的・生態学的利益をもたらすだろう。