東洋大学・小笠原盛浩教授の調査は、2026年2月8日投開票の衆院選期間中に広まった代表的な偽情報5件について約1,800人に調査したところ、偽情報を「事実だと思った」とする誤認率が全体で約79.9%に達したと報告しており、接触経路ではテレビが最多で32.7%、ニュースサイト・アプリが22.7%、SNSが20.0%だった。
経路別に見てもテレビで接触した人の誤認率が84.9%と最も高く、友人・家族会話やニュースサイトを上回っており、接触件数と信じやすさの両面でテレビの影響力が際立っている。
これにより「偽情報の最大の温床はSNS」という通念は今回の有権者全体の実態には当てはまらず、特に高齢層やネット利用が少ない層が多い日本ではテレビの到達力と信頼性が依然として強いことが示された。
一方で、多くの偽情報は元はネットやSNSで生まれた可能性が高く、それがテレビで取り上げられることで広く「事実」として定着するケースが多いと推測され、小笠原教授もテレビの検証報道が対応し切れなかった点を指摘している。
過去の参院選(2025年)調査でもテレビ接触が最多だったことから、今回の傾向は一過性ではなく構造的な問題である可能性がある。
したがって、選挙のような短期間・高注目の場面ではテレビの一斉同時リーチ効果が依然として強力であり、今回の数字はその実証の一つとなる。
ただし、SNSの影響力を軽視すべきではなく、若年層や特定コミュニティではSNSが主要な情報源である点、テレビに取り上げられる前の「種まき」段階でSNSが機能している点、
生成AIによる偽造コンテンツの巧妙化で状況が今後変わり得る点を踏まえると、偽情報対策はテレビとSNS双方を視野に入れた複合的な対応が必要である。
本調査はSNS一辺倒の見方を見直す材料を提供すると同時に、テレビ側の検証・伝え方の改善を強く求める結果を示している。