ウクライナ戦争のことから | ExcomAdvisorのブログ

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本稿は私・平田幸治の個人の意見・見解等を綴ったものです。

 「・・ほんの五年前までSFだと思われていた、・・」(山中伸弥・京大教授、NHKゲノム取材班著「ゲノム編集の衝撃」NHK出版、2016年)。SFは今スピードを増して現実となる。戦時科学兵器開発は近似する。

  

  ジャーナリストの須田桃子著「合成生物学の衝撃」(文藝春秋、2018年)が米国留学から帰国した著者が著作を上梓してから5年だ。著作はSFではない。核兵器ならずとも高度生物化学兵器の殺傷力はスピードを増したろう。

 

  これらの殺傷兵器の保有は対峙する側の恐怖感を増幅する。果たして攻撃の抑止力となるだろうか。

 

  そして、戦略物資の保有である。ロシアはウクライナから戦略物資を切り離し同国の自立を望まないと思料される。ウクライナ東部にガス資源がある。「開発できればウクライナは対ロシア依存を脱却できる潜在能力がある、とも言われる」(梅原季哉・元朝日新聞ヨーロッパ総局長『風』「東部拠点と天然ガス」朝日新聞、2014年5月25日)。梅原氏によると2022年時点で東部の荒廃で試掘も困難ではないかと予想する。

 

 「穀物」であるウクライナの穀倉地帯の収穫物には多くの国々が依存していた。穀物はウクライナには大きな交易資源である。

 

  ロシアについて「この巨大な隣国をいかにいかに理解するか」(司馬遼太郎著「ロシアについてー北方の原形ー」文藝春秋、1986年)は、私の知見ははるかに及ばない。ロシアは、シベリアのテンの毛皮を欧州に売って稼いでいた時代ではない。黒海・クリミア半島を巡り強国と争っていた時代でもない。

 

  私の幼年期の記憶だが、氷に閉じ込められた日本の南極観測船「宗谷」を救援したのは旧ソ連の「オビ号」であったと思う。現カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から有人宇宙飛行に旅立ったガガーリンの名は私たちの世代は忘れない。シベリアにいたる広大な地に鉱物資源を保有する。原油・天然ガスのエネルギー資源を保有する。穀物生産量も高い。

 

  国際政治は概ね欧州が「マキャヴェリ」で東洋は「韓非子」かもしれない。近代西欧キリスト教のスタートは「ルター」か。権力者は宗教を道具にしてはならない。戦争を排するウクライナ停戦に学者、宗教家、ジャーナリストの強力な発言を期待する。

 

  (ひらた こうじ)<了>