思い出と懇談余話 | ExcomAdvisorのブログ

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本稿は私・平田幸治の個人の意見・見解等を綴ったものです。

  2001年9月の落ち着いた緑があるチューリヒ国際空港を関西国際空港から到着した私は黒のサングラスに大きめのサムソナイトのアタッシュケースを持って、同じ当時のスイスエアーの英国ヒースロー空港行きの乗り換えロビーを歩いていた。まず目指すはアシュレトレイとコーヒーブラックラージ。チューリヒ国際空港はスイスを訪問した新婚旅行以来だった。

 

  ヒースローへ向かうスイスエアーの機中では、少し高揚感があった。ヨーロッパにいることを感じた。機内で音楽が頭にあった。英国の歌手亡きダスティ・スプリングフィールドの『この胸のときめきを』である。原曲はカンツォーネなのだがダスティの歌が一番だった。米国のエルビス・プレスリーのカバー版もありよく知られた曲である。

 

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  私の本ブログシリーズに科学ジャーナリストの元村有希子さんと須田桃子さんの新著の感想のレビューを記し、その私の思想的には英国の人たちの評論・著作等が私の原点に近いものがあり英国訪問の思い出を書いた。その時の、女王陛下の国で勤務していた在連合王国日本国大使館の星野次彦・財務省主税局長、深山延暁・防衛省地方協力局長には種々意見交換でお世話になった。彼らならこの日本の難局を切り拓いてくれると確信している。

 

  そしてそういうことを思ってから、長い友人の衣笠潤弘・創価学会副会長との懇談に出かけた。衣笠氏と私は大学が早慶ということもあり、彼はSUMITOMOでカナダ・バンクーバー駐在員も経験した自由闊達な人柄からよく話を聴く、宗教家としても気持ちがよい。

 

衣笠潤弘・創価学会副会長

 

  衣笠氏からAIについての所感を聴いた。同氏は、「AI、ロボットのできないことを人間はしなければならない」とし、それには本当の意味での『ボランティア社会』の到来を期するべきではないかとした。つまり「他人のために汗をかくことは人間でないとできないと考える」とのことである。「非効率の効率」と例えた。AIに対応する危機感も重要とした。同氏は最後に強調した。「AIに母の愛情があるだろうか。母親の手の役割ができるだろうか」。

 

  衣笠氏には元村有希子著『科学のミカタ』(毎日新聞出版)を推薦した。

 

  私は本稿の下書きをしながらDVD『宇宙空母ギャラクチカ』を観た。国際政治の恩師・永井陽之助先生は「人類の四海同胞性を主張するひとは、あらゆる戦争を、いわば、内戦のように闘わなければならない」(エリック・ホッファー著永井陽之助訳『政治的人間』所収、平凡社、1968年)を講義中よく引用されることがあった。これは現代も至言に違いないが、こうした状況にもまして人間社会は複雑性の状況が支配しそうである。

(ひらた こうじ)<了>