「生れながらに異様な体制の中にいれば、それが当たり前であり、異様とは感じられない」
(2/8朝日新聞【天声人語】)。
これまでに冷戦後においても核保有国の数は増えてきたが、一部を除いて国際社会から閉ざされている北朝鮮は、合意を目指した六国協議の期待的レベルも構築とすらならず、国際社会が最大公約数でどのような北朝鮮をのぞむかということもだが明確でないし、核弾頭ミサイルを可能とした北朝鮮の行動様式を読むのは難しい。
影響力を期待される中国は、北朝鮮の友好国であり同国の最大貿易国でもあるが、自国の国益に合った例えば米日韓の要望する圧力はどうだろうか。それが中国の国益にかなうものであれば北朝鮮に話すであろうが、北朝鮮は中国がそれを自国に強制できないことを知っている。政治・経済大国で安定した中国は北朝鮮の不安定化をのぞんでいないからである。
核兵器を持たない日韓は、米国との安全保障体制の強化しかなかろうし、それをもってして北朝鮮への圧力を高めるとするも、同国は日韓への核ミサイル攻撃の可能な体制を持っているのである。
金正恩第一書記の自制を求めるための措置を考えるべきだが、北朝鮮は米国との交渉のテーブルをのぞんでいる。朝鮮中央通信は「・・国家宇宙開発局は、今後も衛星を多く打ち上げる」と伝えている。米国西海岸以遠も脅かす。
日朝交渉という話し合いのパイプは相互に「拉致問題の解決に向けた対話」である。
中国とロシアに北朝鮮への圧力というエクスペクテーションは、「自国の存続について恐怖心を持つ」北朝鮮が「力」を持った今、それは期待におわるだろう。
われわれは実効性のある圧力と共に現実を直視した対話(交渉)をするべきだろう。朝鮮戦争の休戦から終結の道を考えなければならず、米朝の対話を開くことも選択肢と考えたい。
北朝鮮が今後のぞむことは、金正恩第一書記新年演説にみられるように経済発展と市民生活の向上だろう。むろん、われわれには「拉致問題の解決」がある。
歴史に学んだように、一旦、核兵器を保持した国はそれを手放さないということである。私は核兵器廃絶を希望するが、一国の安全保障体制を変更さす影響力は難しいと言わざるを得ない。だが、核兵器は人類の存在そのものを否定するものだ。核の存在で穏やかになるのではなく、危機は高まったことの認識が必要である。<了>