日韓両外相会談での慰安婦問題の妥結について | ExcomAdvisorのブログ

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本稿は私・平田幸治の個人の意見・見解等を綴ったものです。

日韓両外相会談での慰安婦問題に関する妥結について、安倍総理は「最終的、不可逆的な解決と(戦後)70年目の節目とすることができた。今を生きる世代の果たすことができたと考えています」と語った。その上で「日韓関係が未来志向の新時代に入ることを確信している」と強調した(ANN NEWS 12/28 23:31)。

「日韓両外相共同記者発表」(2015/12/28 MOFAJ)

1 岸田外務大臣

 日韓間の慰安婦問題については,これまで,両国局長協議等において,集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき,日本政府として,以下を申し述べる。

(1)慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している。
 安倍内閣総理大臣は,日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。

(2)日本政府は,これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ,その経験に立って,今般,日本政府の予算により,全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には,韓国政府が,元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し,これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し,日韓両政府が協力し,全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復,心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。

(3)日本政府は上記を表明するとともに,上記(2)の措置を着実に実施するとの前提で,今回の発表により,この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
 あわせて,日本政府は,韓国政府と共に,今後,国連等国際社会において,本問題について互いに非難・批判することは控える。

2 尹(ユン)外交部長官

 韓日間の日本軍慰安婦被害者問題については,これまで,両国局長協議等において,集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき,韓国政府として,以下を申し述べる。
(1)韓国政府は,日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取組を評価し,日本政府が上記1.(2)で表明した措置が着実に実施されるとの前提で,今回の発表により,日本政府と共に,この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は,日本政府の実施する措置に協力する。

(2)韓国政府は,日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し,公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し,韓国政府としても,可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて,適切に解決されるよう努力する。

(3)韓国政府は,今般日本政府の表明した措置が着実に実施されるとの前提で,日本政府と共に,今後,国連等国際社会において,本問題について互いに非難・批判することは控える。
                                     以上

 共同記者発表は正式文書ではなく、正式文書でないことが相互の立場に配意してもなお和解のプロセスのプライオリティを高めたのでもあろう。
 高度な政治判断がなされたと考えられる。

 安倍総理は歴代総理、河野談話に至るプロセスの政府のメッセージを夏の総理談話で継承し、その上で総理は岸田外務大臣の記者発表の「・・、当時の軍の関与の下に、・・」で再確認をした。位置づけはそうだが、だからといって安倍総理の理念・スタンスが変わってしまったというべきでもなかろう。繰り返すが、当然に国益に関する政治判断があると見るべきだろう。

 慰安婦問題の道のりは長かった。戦後70年だ。この問題に、安倍総理は「先送り」にすることなく立ち向かった。この日韓両国合意に特別の敬意を表したい。<了>