最初にお断りしておくが、本稿のSTORYは国際政治の傾向を眺めた物語であり、news story のようなジャーナリズムではない。
私はこのブログシリーズで国際政治の戦略要素として「IT(情報)」「金融」「エネルギー」「食糧」をしばしばあげた。
そのうちの「エネルギー」のうちの『原油』で国際政治のコントロールを企図したアメリカはその中東政策に深くコミットメントを強くしていった。それが、アメリカのシェール・ストラテジーによって大きく変容するのである。
オバマ米大統領はシェールでアメリカが埋蔵量と産出量で世界一のエネルギー大国となったと演説した。つまり、例えば、アメリカは中東の原油に依存しないでもやれる、増産合戦はあってもエネルギーの独立性を確保したことになる。それまでの、原油・天然ガスの埋蔵量の世界一はロシアであった。
英エコノミスト誌によると、中国は世界で最も大きいシェール・ガス埋蔵量があるが、それはアメリカの助けを得たとしても、岩盤と水の問題で採掘は難しいという【'Shale game'Aug 30th 2014 The Economist】。そして、中国はロシアの天然ガスのパイプラインの敷設の動きをした。
東欧におけるシェールの採掘も同様の難しさが存在するようである。
さて、伝統的な欧州権益が、アメリカがシェール・ゲームの勝者を宣言しTPPアトランタ合意で、それがエネルギー分野で分割されていく方向にあるように映る。欧州の伝統的権益の国とアジアの伝統的権益を持つ二か国が「相思相愛」の蜜月関係を演じたのも二か国の伝統的権益の共同的シンボル事業を必要としたのかもしれない。直後その欧州の国の元首脳はアメリカの中東の戦争に参加したことの間違った情報を受け取ったことを自国民に謝罪した。アジアの伝統的権益を持つ国には、自動車と原発における欧州主要二か国の首脳が訪問した。
アジアの伝統的権益を持つ国は、その機関紙で「・・適切な時期にTPPに参加すべき」との考えを示した、と【10月25日ロイター通信】は伝えた。重要なことは、この国にアジア・太平洋諸国との協力関係が不可欠であることに早く気付いてもらうことである。『遠交近攻』必ずしも正しからず。
人類の「エネルギー」と「食糧」の確保の死活的問題は極大化する。<了>
《注》
産油国については、山陽新聞(本社:岡山市)2015年6月12日【アテネ、NY=共同通信】記事を参照した。