想い出の一冊 | ExcomAdvisorのブログ

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本稿は私・平田幸治の個人の意見・見解等を綴ったものです。

 申し訳ないが本稿は書評ではない。筆者のノスタルジーである。筆者が昭和47年4月に慶應義塾大学に入学し、日吉キャンパスに近い下宿で花冷えの電気コタツで読んだ本は、その年に刊行されていた、高坂正尭・京都大学教授の『政治的思考の復権』(文藝春秋)であった。

 その本であることは手許にある同書への私の書き込み等からも確かである。何故に本書を思い起こすかと言うと、私が岡山県立総社高等学校に在校中に友人に読ませてもらったオルダス・ハクスレーの『すばらしい新世界』を高坂教授は冒頭論文「退屈な時代とその反抗者」(諸君 1971年3月号)に引用紹介しているからである。

 この『すばらしい新世界』を読むきっかけとなったのは、デニス・ゲーバー著香山健一訳『未来を発明する』(竹内書店)を読んでいたことで、『すばらしい新世界』はジョージ・オーエルの『1984年』と所収を同じくするハヤカワSF全集で読んだと記憶する。『未来を発明する』は大きく私に影響をする書籍であったので数年前に岡山市立中央図書館へ寄贈した。若い世代の誰かが手に取ってくれればと思ったことによる。

 こうしたこともSFと言うよりはもう現実となりつつあることが生命・再生科学の進展ではなかろうか。BRAVE NEW WORD ARDUS HUXLEY Harper Collins publishers は当時の岡山市長で現・美作市長の萩原誠司君はその岡山県立岡山大安寺高等学校時代読んでいた。時にその意見交換を共有した。

本稿の本義は故・高坂正尭教授の著書「政治的思考の復権」である。再読の一冊であることはまたないのである。<了>
政治的思考の復権