由紀は彼の横顔を眺めていた。

心の中に棘が刺さりチクチク痛い。

傷の舐めあいとは、お互いが愚痴を言い合い慰め合う事だ。

そこには、お互いの揺ぎ無い信頼関係で成り立っている。

堅い絆で結ばれていると言う事か?

由紀の知らない長い年月を彼女とそうして過ごして来たのだ。

別れた元彼女との事よりも、今も繋がっている彼女の存在は、由紀には辛い存在だ。

私は、そんな役割は無いのかしら?

恋人とは、女友達を越える事は出来ないのかしら?

あなたの総ては、私の物と思うから焼餅を妬きたくなるのかしら?

あなたは、私にもう少し自信を持ったらと言うが、黙って我慢しろと言う事かしら?

そう言うのなら、もっと優しくして欲しい。

彼女の自慰の仕方まで知っていると言う。

私は、いくら恋人のあなたにそんな密やかな秘密は話せないわ。

「彼女は、江戸時代に生きた前世を持っている人だ」と彼は言った。

「えっ、どんな意味なの?」と由紀は怪訝そうに尋ねた。

「あぁ、江戸時代の人はセックスに大らかだったそうだ。彼女も大らかな人だよ」

うわぁ、何て人なの?それを淡々と認めている彼の神経は、由紀には理解出来なかった。

この話を、親友のマコに話したら彼女は由紀を奈落に引き落とす言葉を発した。

「由紀、そんな話まで出来るのは、二人はつまり言いにくいけど、つまりそう言う関係があると言う事よ。そんなデリカシイのない男あなたは良く愛していけるのね。私だったらサッサと別れるわ」

由紀も内心の隅に思っていた事を、ズバリとマコは言ってのけた。

由紀の心はかんぴょうのように干からびてきた。