思い出クエスト

第6話 3.14算と19×19算

〜理系父子の“無意味すぎる修行”〜

確か4年生の頃だったと思います。
塾の先生から、いかにも“中学受験ぽい”テクニックを教わりました。
それが──「3.14×? を九九のように覚えましょう!」という指導。
小学生にはまだ π が出てこないため、円の問題は毎回「3.14×○○」の計算。
そのスピードとミス削減のために“3.14九九”を覚える、というわけです。

例えば「37×3.14」なら「3.14×37」に置き換え、
「3.14×3」「3.14×7」を組み合わせて一瞬で出す。
受験には確かに便利。だけど人生では…うん、ほぼ使わない(笑)。

とはいえ、理系ボーイはこういうのが大好き。
2のべき乗、平方数、素数、約数…数字は魔法の呪文。
「256? 2の8乗ね」「16×16=256」みたいな小ネタが心地いい。
当然、のんきもドハマり。父子で「3.14×? 即答クイズ」が開幕しました。

トイレに貼った「3.14算」表を眺める勇者のんき。
背後には誇らしげな兵士もぶ蔵。理系親子の修行は今日も続く。

そんな遊びの延長で、のんきは今でも「3.14×20」くらいまで即答できる様子。
さらに塾には「19×19まで覚えよう」という“1919算(いくいくざん)”文化も。
九九では飽き足らない戦士たちが、新たな呪文を覚えていくのでした。

受験って、“人生で一番どうでもいい数字”に本気で挑む時期かもしれません。
でも、そんな無意味な努力を笑い合えたことが、のんきの理系魂を育てた気がします。
我が家では結局、3.14算と1919算の表を作って、トイレに貼りました。

今日の教訓:意味のない努力ほど、後で最高のネタになる。

数字は呪文、計算はスキル。
楽しんで覚えたコツは、きっとどこかで力になる。
がんばれ、勇者のんき!