冬眠明けの今シーズンも北海道ではさっそくヒグマの出没が相次いでいるようである。しかも、民家近くでの目撃も相次いでいる。

また、少し前のニュースでは、根室市の林道を走行中の軽トラにヒグマが襲いかかる映像を見て度肝を抜かれた。僕はこれまで車の中にいれば安全と思っていたが、フロントガラスを破壊する力があるのを見せつけられ、恐ろしくなった。現場は鉄チャンが集まる落石にも近く、ひょっとするとこの冬別当賀で目撃された個体かもしれない。うかうか鉄チャンしているどころではない。


以下に述べることは科学的裏付けのない仮説というか、あくまで僕の個人的な推測である。

近年ヒグマの出没や被害が激増している原因のひとつに飼料用トウモロコシの栽培拡大があるのではないかと思っている。

近年の円安の急速な進行やウクライナ戦争等は濃厚飼料を海外に依存している畜産農家の経営に大きな影響を及ぼしている。ご存知のとおり日本の食料自給率が低いのは牛豚鶏に与える濃厚飼料のほとんどを海外に依存しているので、国内で生産された畜産物であっても自給したものとしてカウントできないことも一因である。そういう畜産農家への影響緩和や飼料自給の向上のために、近年は濃厚飼料の原料となる作物の国内生産が進められている。その中心になるのがトウモロコシである。特に北海道では、これまでの牧草にかわってトウモロコシの作付が急速に増えている。

トウモロコシが実るのは夏場である。この時期、ヒグマは食料の確保に苦労する。春先に好んで食べていた木の若葉は硬くなり、食用に適さなくなる。ドングリなどの木の実が実る秋にはまだ間がある。そういうときに、トウモロコシが至るところで栽培されていれば、ヒグマにとっては願ってもない食料になる。おまけに、トウモロコシは背が高く、ヒグマは誰に見つかることもなく思う存分食べることができる。トウモロコシ畑はヒグマにとってパラダイスに違いない。

人里近くにヒグマが頻出する背景にはそういう要因があるのではないかと思っている。そうだとすると問題の解決策はなかなか容易に見つかりそうもない。

おまけに冬眠しない“穴持たず”も昨今激増している。昨年末には雄信内でヒグマが目撃されている。これなどは冬でも活動するエゾシカが増えているので、冬の間の食物に事欠かなくなり、冬眠せずとも生きていけるからなのではないかと思っている。

そんなこんなを考えると、ヒグマへの対応をこまねいていれば第2、第3のOSO18が現れるのではないかと心配だ。解決策の中心は動物愛護派がなんと言おうともヒグマの適切な数量管理、手っ取り早く言えば積極的な駆除しかないのではないかと思う。

今回は羆が出没するかもしれないと怯えながら撮影した写真を掲載する次第。再掲写真もあるが、ご容赦いただきたい。

↓このあたり一帯が60頭以上の牛を襲ったヒグマ“OSO18”という名前の由来となったオソツベツ原野である。このポイントでは下の道路から撮るのが一般的だろうが、雄阿寒岳が見えていたので追いかけをせずに、一発勝負に賭けてみた。丘の上も下も自分一人で心細く、iPhoneで音楽を流していたが、それでも背後で物音がするたびにビクッとした。釧網本線茅沼ー標茶(2021.2)

↓春まだ浅き礼文。いかにもヒグマが現れそうな雰囲気の山間をキハ281系が駆け抜けていった。室蘭本線小幌ー礼文(2022.4)

↓コッタロ湿原展望台はしばしばヒグマの出没情報が寄せられ、その度に展望台は閉鎖される。冬とはいえいつ“穴持たず”が現れるとも限らず、周囲への注意は欠かせない。釧網本線塘路ー茅沼(2023.2)

↓大型連休に146KPを訪れたら、まさかのボッチ。車の中で待機し、車外では終始熊鈴を鳴らしていた。石北本線生田原ー金華(信)(2023.5)

↓はじめはもっと島ノ下(信)寄りから撮るべく三脚をセットしていた。そこに軽トラに乗った地元の農家が通りかかり、撮影許可を得ようとしたら「毎日夕方にクマが山から降りてきて、あのへんの農地に居座るので気をつけるように」と言われた。それでも撮るならということで撮影許可は得られたものの、怖くなってその場を離れることとし、鉄チャンが集まるポイントに移動して撮影した。根室本線野花南ー島ノ下(信)(2023.10)


【お知らせ】

猫実マサヒロ氏(steam_locomotive_nostalgia)と青井岳夫によるYou Tubeチャンネル『機関車ラヂオ』。国鉄時代のあれこれに関し、アラ還前後のいい歳こいたオヤジのダベリと言えなくもありませんが、皆様にご笑覧いただければ幸いです。