以前このブログで、僕は今に至るまで有料撮影会には2回しか参加したことがないと書いた。そのうちの1回が今回のお題である蒲原鉄道である。(もう1回は国府津運転所でのEF58 61の撮影会。)

蒲原鉄道は新潟県内の加茂(信越本線)と五泉(磐越西線)を村松経由で結ぶ地方ローカル私鉄である。今はない。1982年9月22日に同鉄道が創立60周年を迎えることを記念して、何日間か車両にヘッドマークが取り付けられたほか、10月3日に撮影会が催された。これらの取組は会社の協力を得た鉄道ファン有志によるものであった。特筆すべきは撮影会で、3両編成の列車を貸切で走らせ、駅間でのフォトランバイ(列車から乗客を下ろした後、いったん列車をバックさせ、再び撮影地点を通り過ぎるというもの)が企画されていた。

その年の夏休みに初めて蒲原鉄道を訪れた僕は、その沿線を取り巻く情景の素晴らしさに激しく心を打たれ、再訪を強く決意したのであった。そのため、この催しには一も二もなく参加しようと思った。

この催しに係る情報をどういうルートで入手し申し込んだのかなど経緯は全く覚えていない。鉄道趣味誌には告知されなかったと思う。きっと学鉄連ルートで情報が回ってきたのだろう。後で知ったことだが、この企画の中心人物は当時私鉄めぐりで名を馳せていたK大のTY氏で、どおりでと納得がいった。

 

僕が所属していた鉄道研究会からは3名が参加することになった。僕はひとり前日の上野発23:20の707M急行“佐渡7号”で新潟に向かった。撮影会の集合時間まで時間があったので、朝方は新潟交通の電車を灰方で撮り、燕から東三条・加茂を経由して9時頃に集合場所である大蒲原に着いた。

しばらくすると車庫のある村松方から3両編成がやってきた。加茂方から順にモハ12ーモハ11ーモハ51で、モハ12には大袈裟とも思える看板のようなヘッドマークが取り付けられていた。

↓大蒲原で発車を待つ貸切列車

↑↓貸切列車の車内の様子。銀箱が時代を感じるし、ハスキーはまだ普及していない。

↓フォトランバイで撮影した1枚

参加者一同その列車に乗り込み、加茂方面に向けていざ出発。途中何カ所かでフォトランバイを楽しんだ。加茂駅手前の国鉄線をオーバークロスする地点手前で列車が止まり一同降車、国鉄線上を走る列車との交差シーンを狙う。最初にやってきた急行“とがくし”や485系特急“北越”は今ひとつの出来だったが、115系ローカルとのコラボはまあまあだった。そして、いよいよ本日のメインイベント、181系“とき”との並走シーンに臨む。しかし、“とき”の姿が見えてからの発車では加速の遅い蒲原鉄道側が不利であることは否めず、先頭車が並んで走るとまではいかなかった。

↓上の貸切列車は停止している。

↓加茂で営業列車と並んだ貸切列車

↓蒲原鉄道も頑張ったものの、“とき”の方がだいぶ先行してしまったのはご愛嬌。

↓左の車両は滅多に運用に入らないモハ51

加茂に着くと、それまで先頭だったモハ12を村松方先頭につけた。モハ51は先頭に立てない事情があるのだろうと思った。大蒲原に向かう復路も数カ所でフォトランバイを行い、僕らはすっかり満足した。天気は予報に反し晴天で、絶好の撮影日和であった。

撮影会終了後は3人揃って大蒲原から加茂に戻り、16:38の706M“佐渡6号”に乗り、上野には21:34に着いた。

↓七谷に三つの列車が並ぶのは稀有のことではないだろうか。

↓西日を受けて高松に停車する貸切列車