8月のお盆が明けると『青春18のびのびきっぷ』で新潟方面にひとり旅に出た。

上野から長岡行き普通夜行の733Mに乗車。高崎での長時間停車中に後からきて先に発車するEF58の牽く“天の川”を撮ろうとしたら、やってきたのはEF64 1000番台。10分停車の“天の川”の運転士の話では、長岡から15両のロクヨンが高崎二区に転属、“鳥海”ともどもゴハチを置き換えたとのこと。

↓高崎に到着した急行天の川。牽引機はEF58ではなくEF64 1000だった。

長岡から信越本線普通列車に乗り継いで早朝の見附で下車した。どんよりとした天気だったが、次々にやってくる特急やら客レやら貨物列車を撮影した後に加茂に移動した。

↓早朝の越後平野を行く寝台特急つるぎ

↑加茂駅で停車中の蒲原鉄道の電車

蒲原鉄道の列車まで時間があったのでホームから降りて車両を撮影したりして時間をつぶし、08:54発の列車に乗って七谷で降りた。七谷では上下列車の交換が行われるようで、その交換風景を撮影したり、駅近くで線路が生活道路と並走するあたりで撮影した。とてもいい雰囲気の駅周辺であった。

↓七谷駅での上下列車の交換風景

↑山間の七谷駅は電車が到着するとひとときの賑わいを見せる。

そして七谷発11:27の列車で一つ先の土倉に行った。土倉は短い片面ホームに質素な待合小屋があるだけの駅だった。しばらく待っているとトンネルを抜けて列車がやってきた。列車が駅に停車し、下車した人達がそれぞれに家路を目指すシーンを撮影した。その一部は拙著『Excellent Railways ー遥かなる鉄路ー』に掲載した。

↓トンネルを出て大きくカーブして土倉駅に進入してきた電車。板張りの延長ホームがいい感じ。

さらに13時過ぎの列車に乗って大蒲原で下車した。駅本屋は立派な造りで、農家の母家のような風格があった。また、構内には除雪用の車両が置かれていて、集落の小さな拠点といった趣きがあった。七谷といい土倉といい大蒲原といい、どこも生活感に溢れた蒲原鉄道を取り巻く情景はとても素晴らしく、一日やそこらでは消化しきれないと感じた。

↓大蒲原駅の駅本屋

↑側線に除雪用の車両が留置されている大蒲原駅

2時間ほど大蒲原で過ごした後、車庫のある村松へ向かった。蒲原鉄道本社で撮影許可をもらい、決して広いとは言えない構内で肩を寄せ合うように停まっている電車や電機を撮影した。幸いにも電機はパンタグラフを上げて停まっていた。

↓村松駅構内で憩う蒲原鉄道車両たち

 

↑模型で再現したくなるようないい感じの車庫

↑構内ではリバーサルカラーでも撮影していたようだ。備忘録として蒲原鉄道の車両の塗色をお目にかける次第。

ひととおり撮り終わると再び列車に乗って終点の五泉まで行き、磐越西線に乗り換え今日の宿がある新潟に出た。この日は曇り気味で、湿度が高くジメジメした一日だったが、素晴らしい鉄道に巡り合うことができてとても満足した。すっかり魅了された僕は、これ以降廃止されるまでの間しばしば蒲原鉄道を訪れるようになった。