先日の天皇誕生日に日帰りで明治村に行ってきた。冗談99%とはいえこのブログに汐留や高輪に陸蒸気を持ってこいと書いた以上は一度は見ておこうと思って実行した。初訪問である。

 

7時ちょうどの“のぞみ”に乗って、名古屋から名鉄で犬山まで、そこからバスに乗って10時の開村ちょっと前に明治村正門に着いた。名鉄名古屋駅で購入した「明治村 時間旅行きっぷ」は¥4,100。名鉄全線と犬山駅•明治村間のバスの1DAYフリーきっぷ、明治村入村券などがセットになっていてお得。名鉄には1982年以来40年ぶりに乗った。名古屋から軒先をかすめるように100キロで飛ばす新鵜沼行き特急に感心した。明治村の受付で土産物や食べ物の割引クーポン券を乗り物乗り放題の一日券に差し替えるかと聞かれたので替えた。ジジイのお一人様は鉄チャンと見抜かれたのかもしれない。

↓名鉄が販売する「明治村 時間旅行きっぷ」

↑博物館明治村の正門(中側から撮影)

正門から入村してまずは近くの鉄道局新橋工場とその中の2両の御料車。坂を下っていくと名電1号形が展示されている。京都に次いで日本で2番目に古い市電とは知らなかった。近くに京都市電乗り場があったのでそれに乗って、終点(市電名古屋駅)で降りるとSL乗り場(SL名古屋駅)はすぐ。

↓鉄道局新橋工場の中の御料車。車体側面には菊の御紋章と共に五七桐が取り付けられている。政府専用車という性格だったのか? あるいは天皇イコール政府ということか?

↓名電1号形

↓市電京都七条駅で待機する京都市電

SL名古屋駅発の列車はカマが全て逆向きということもあり取り敢えず乗車してロケハンすることにした。SL名古屋駅を仕切る職員のIさんの話では、英国シャープスチュアート製の12号機は板バネの具合が悪く現在代替品を鋭意製作中で、米国ボールドウィン製の9号機が稼働中とのこと。ついでに転車台も壊れていて使えない由。さらに、線路に敷くバラストは砕石ではなく玉砂利、犬釘は四角い頭とオリジナルにこだわっているぶん、なにかと苦労も絶えないようだ。

↓SL名古屋駅での機回し風景

↑玉砂利と四角い頭の犬釘

石炭炊きの蒸機の香りを堪能しつつSL東京駅で降りて撮影ポイントを目指すもアクセスがわかりにくく、次の正向きの列車は時間切れでやむなく下から見上げる形で撮った。

↓菊の世酒造の前から見上げて撮った。結局この列車の煙が今日一番の煙であった。ここは梅の花が咲く頃が良さそう。

これで列車は昼休みに入るので僕も昼食をとるべく近くの『浪漫亭』に入った。観光地にありがちなバカ高い値段ということもなく好感が持てた。メニューをみると“ 明治村浪漫麥酒”、“ アイス(明治の味)”(犬山城主へのお見舞いとして届いたアイスを再現したものらしい)があり、料理と併せて注文。どちらも味は渋めで、個人的には明治の方が今のものより好みかも。

さて昼休み明けの正向きの列車は万難を排してベストポジションで撮影。煙が不満だったので30分後の列車も同じ場所から撮ったが、まったくのスカでもっと不満が残った。SL東京駅に戻る途中で洋館とからめて撮れる場所を見つけたので逆向き列車をそこで撮影。再びSL東京駅から乗車してSL名古屋駅近くにある鉄道寮新橋工場•機械館と、六郷川鉄橋に展示されている尾西鉄道1号機を見学、京都市電に乗って正門近くまで戻ってきた。

↓沿線ではここしかないといってもよい撮影ポイント。列車の速度は遅く、特雪並み!?

↓高田小熊写真館の建物を入れて撮影した。

↓六郷川鉄橋と尾西鉄道1号機(上段)

↑鉄道寮新橋工場•機械館。鉄道関係の機械だけでなく製糸関係の機械も展示されている。(下段)

↓市電名古屋駅に進入する京都市電。石畳が美しい。

↓京都市電の車窓風景。電車は明治当時と同じ速度でゆっくりと進んでいく。

明治村にいてデジャブ感があったのでなんでだろうと思ったが、かつて西武が運営していたユネスコ村に似ていなくもないと思い至った。どちらも蒸機の運行があるので尚更そう感じたのだろう。しかし、明治村の建物等はミニチュアでなく1/1の本物を移築or再建したもの。しかもオリジナルへのこだわりが半端なく、とても素晴らしいと思った。開村が1965年と聞いてびっくり、半世紀以上がゆうに経過している。このような施設は本来なら国が運営してもおかしくはないが、それを名鉄がスポンサーとなって運営していることに頭が下がる。第三セクターの経営ではなく公益財団法人の運営という点がポイントだと思う。スタッフのホスピタリティも素晴らしかった。風があって時折小雪が舞う寒い日であったが心はポカポカで、末永く運営を続けてほしいと願いつつ明治村をあとにした。