「人口減」に任せる国造り、平和で豊かな小国 – Revised | 維新ニッポン ※政治政党とは何ら関係ありません

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競争社会からの離脱を、協調国家の実現を


■国際競争で勝ち抜くのか、拡大路線からの大転換か

国家のダウンサイジングが言われている今の日本にとって、成長路線を諦めることが、「心地よい未来」につながるのかもしれない。これは考え方によっては、国際競争における敗北宣言と取られるかもしれないが、本来、国家・国民の幸せを他国との競争で測るべきでもない。

大企業優先型の成長路線は、永遠なる国際競争への道を意味している。GDPの拡大を目指し、未来永劫、国家・国民があまり得意ではない国際化路線を推し進めなくてはならない。

また同時に、新興国との熾烈な競争を意味する。あのエジソンのGEや、欧州フィリップスは、日本の発展で家電製造の第一線から身を引いた。IBMも、中国の台頭を見てパソコン製造から退いた。しかし彼らは今も、最先端技術で世界をリードし続けている。

一方、シャープやソニーなどは、今も経済新興時代の業態にしがみついている。台頭する新興国と真っ向から張り合う姿勢を崩していない。それどろこか、国、地方、メディアを挙げて「日本家電の技術」を未だ自国民に向けて誇っている。

アメリカは常時移民を受け入れ、国内に先進国、途上国が入り混じる世界の縮図のような社会が活力を生んでいる。欧州ドイツやスイスなどは、最先端の技術立国として揺るぎない地位を謳歌している。日本はこの先、どのような国になっていくのだろうか。


■日本国民が持つ世界観

日本政府が、国民の自由な海外旅行を認めたのは約50年前こと。事実上、これは富裕層に限ったことであり、庶民が実際に海外旅行に向かうようになったのは、つい30年ほど前のことだ。

日本人の「世界観」を庶民レベルで考えると20~30年の蓄積である。ほぼ一世代でしかない。それゆえここに来て、ある種の「拒絶反応」が現れているのかもしれない。

中国やインドを「新興国」と呼ぶが、彼らの世界との付き合いは深く長い。数世紀もの間、世界をまたにかけてビジネスを営んできた基盤を持っている。過去の日本政府が、貧困極まる自国民の海外移住を外国に要請し、移民させたのとは違う。

世界デビューわずか150年ほどの日本に、今後とも勝ち抜いていく施策があるだろうか。それ以前に、そのような競争が、「99%」の日本人の幸につながるのだろうか。


■得意なことをして楽しみ、心身ともに豊かになる

一昔前とは異なり、世界で日本文化が認めらるようになった現在、「日本らしさ」が稼げる時代になった。政府が旗を振って、グローバル企業を育てる必要はもうない。

これらからは「日本らしさ」をもたらす産業を保護し、これまでの拡大路線とは逆の方向にある未来に向かうべきだ。TPPやFTAから一転、国内産業を「外敵」から守ることが重要だ。

特色ある地場産業を見つめ直し、地域性の復活を「政策の中心」に据える。失いかけている伝統的な熟練工の技術を見直し、国家資格としてのマイスター制度を本格導入する。

日本の伝統技術の中には、外国企業が欲する技術も多くあるはずで、各地域の世界ブランド化を目指す。Made in Japanならぬ、Skills from Osaka、High-Tech by Fukushima、Tsukiji Cuisineなど。

また日本各地は観光資源に恵まれている。これらを最大限活用し、世界遺産登録を加速させることで、地域市民の生活向上に貢献する。外国人が大好きな江戸時代までの日本の復元が、日本の未来を豊かにする。

例えば、1. 各地にこれまでの城と城下町を復元(できれば当時の技術を用いる)。2. 欧州のようなマイスター制度を導入し、マイスターとして宮大工等を養成。3. 城、城下町をハイテク技術研究所、歴史研究所、マイスタースクールの拠点などとする。4. 一部は役所として使用したり、富裕層へ住宅などとして高額で売却し財源の一部へ。

「平和で豊かな小国」を目指すことが、日本国民が本当の幸せを取り戻すことになるのだと思う。


■倭国― 小じんまり、それは大きな魅力

江戸時代の日本社会はほぼ完全な自給自足型を完成させていたとよく耳にする。欠けていたのは外界との自由な交流と民主性。ある程度の民主性を有していたとも聞くが、身分制度があったことを考えると現在のものとは比較が困難。

鎖国の復活とまでは言わずとも、江戸時代型社会と民主化の「コラボ」で、ある程度国内で完結する自給自足かつ循環型の社会を目指す。

日本各地で、日本らしさと伝統を中心とした政策を進めるためには、やはり道州制のような地方主権が望ましい。当然、国主導の公共事業は廃止される。州をまとめる連邦政府には、文科省も厚労省もいらない。連邦警察と国防省、外交省、州間調整省なるものがあればよい。

ハイテクIT時代である。今の100分の1、あるいはそれ以下の組織と職員がいれば十分ではないか。政治面では総理大臣を直接投票で選び、仮に総理大臣が変わる時は解散を義務付けるべきである。これまでのように好き勝手に「年替わり総理」であってはたまらない。

税制面では、所得税、住民税、固定資産税等、全ての税を廃止し、消費税へ一本化+低所得者への還付で完結。医療、教育費は当然、無料。「平和で豊かな小国」では高い税率と引き換えに高福祉社会を実現する。

地域間格差はあっていい。格差こそが地域の魅力でもある。悪い格差が生ずれば、人は自然にその土地から離れ、努力を怠った裸の王様のような地方政府は、いずれ消滅、淘汰される。そこには人々が創る安寧な地域社会がある。

税の簡素化で国は変わる

国際競争で勝ち抜くのか、拡大路線からの大転換か ―「人口減」に身を任せる国造り(2010.8.22)