経営者は従業員の有給休暇取得を制限できるのか? | 大阪教育合同労働組合 ウィザスユニオン

大阪教育合同労働組合 ウィザスユニオン

集団指導塾の第一ゼミナール、個別指導塾のファロス個別指導学院、その他株式会社ウィザスの様々な部門で働く、全ての人の労働環境向上のために活動しています。そして、全ての学習塾で働く皆さんのためにも活動したいと考えている労働組合です。

私たちと提携するeisuユニオンから、三重県の大手学習塾eisuで発生した労働問題の続報が入りました。

 

それによると会議中、経営者が次年度に向けた社員への訓示の中で、有休をたくさん取っている部署があると指摘した上で、社員が有給休暇を取得すると不利益な取扱いを受けるかのような発言を行いました。

 

この結果、社員からの相談や要望がeisuユニオンに相次いでいるそうです。

 

eisuユニオンはすぐに会社に対し回答要求を行いました。回答文で会社は『eisu社員が有給休暇を取得することによって何ら不利益な取り扱いを受けることはない』と説明しており、社員の有休取得に対する制約やペナルティ等の不利益取り扱いを否定しました。

 

eisuユニオンの活動により、有給休暇の取得については従来と変わらず個々のeisu社員が自分の意思で自由に取得できることを、あらためて会社に追認させました。

 

詳しくはeisuユニオンのブログ

 

 

をご覧ください。

 

経営者がその雇用する労働者に、有休を取ると何らかのペナルティがあることを暗に告知し、労働者に有休を取らせないように仕向けることは、労働基準法に違反します。これは上司が部下にやったとしても同様に違法行為となります。

 

ましてや経営者が労働者に有休を与えない、有休を取得したことを理由に減給や降格を行うことも労働基準法違反になります。

 

 

ウィザスでも、有給休暇の取得については、紆余曲折がありました。

そして今も問題が残っています。

 

以下は、社員の大多数を占める、教室などの「現場勤務」の話です。

(人数の少ない、「本部」は事情が全く異なることが前提になります。)

 

2019年の法改正で、会社は、社員に最低5日は有給取得を取得させる義務が生じました。

 

2019年以前は、集団指導第一ゼミナールでは、社員は年間で担当する授業が決まっていますから、有給休暇を取得しようとすると、代講してくれる講師の手配が必要でした。

 

必然、費用もかかりますし、校長職以下の場合、上司の手前、申請しにくい雰囲気があり、ほぼ取得できないのが常識のようになっていました。

 

個別指導ファロスでは、有給休暇よりも遥かその前に、休日出勤した場合の対応すら満足な状態ではありませんでした。

代休を取ることはほぼ不可能、事務員さんのいる教室では振替の遅刻(遅出出勤)や、授業をしている講師に戸締りをお願いしての振替の早退、などでまず対応するよう言われ、当然「休日出勤手当」を申請もしにくい状態でした。

 

2015年から、2018年くらいまでは、ようやく「休日出勤手当」を出してよいことになっていました。

 

しかし、以前にも紹介した、就業規則を変更しないで作られた「就業管理マニュアル」の登場、2019年頃から、以前に逆戻りし、「休日出勤手当」の申請を行いにくくなってしまいました。

 

よって、「有給って、新婚の時くらいしか取れないよね。」というような状態が長く続いていました。

 

それが、上記の法改正の年、あたかも「ウィザスが働き方を改革する!」のようなふれこみで「ウィザスの働き方改革」というような言い方で、年5日は有給を取るように、ようやく通達が出されました。

 

社員は法改正を知らない、とでも思ったのでしょうか。

実際には、単なる法律の改正で、罰則規定も設けられたためにやむを得ず導入しただけのことですが。

 

以降、組合は有休休暇を含め、休日の確保に向けて様々な提案を行い、団体交渉を続けてきました。今も続けています。

 

問題もありました。

本来、有給休暇は労働者が自由に取得できるはずが、「有給推奨日」なるものが決められたこともありました。

個別指導ファロスでは今は原則、なくなりました。

 

集団指導ゼミナールでは「授業なし日」というのが設定されており、そこを活用して、交代で有給休暇を取るようにしていますが、逆に言えば、それだと「自由に」は取りにくいということです。

 

また、以前にも記載しましたが、有休休暇を取得するためには、個別指導ファロスでは自分で自分の教室から「1日教室長代理」を見つけなければならず、しかもその人件費を、自分の教室の「経費」として計上されてしまう、という問題が残っています。

 

これでは、利益の減少を恐れて、有給休暇など安心して取れないことになります。

小規模校で、利益が上がらないと判断されると、閉校されてしまう、という恐怖感も、あります。

 

さらに、ルールをまげて、少しでも「経費」を抑えようとする教室責任者も現れているのも報告されていますが、なんらの対応も行われていないのが現状です。

 

よって、「ウィザス社員は、条件が幾つかありながらも、かろうじて年5日の有給休暇を取れるようになった。」

というのが今の正確な状況です。

 

 

 

 

学習塾業界には「生徒第一」という自己犠牲を前提とした独特の労働観があり、有休を利用して仕事を休むことに抵抗を感じる人もいまだに多いです。また、有休制度そのものや、社員の有休取得に理解を示さない経営者も多いです。

 

教室勤務の場合、ほとんど有休が取れない。

休みたくても休めないという意見もよく聞きます。

また介護休暇や育児休暇などの整備は他の業界に比べて著しく遅れていると思います。

 

私たちウィザス支部は、学習塾業界に残っているこうした古い体質を改善していくことも、労働組合の役割の一つだと考えます。

 

ウィザス社員の皆さん、ともに立ち上がりましょう。

eisuユニオン、そしてeisu社員の皆さん。一緒に頑張っていきましょう。