司馬先生「花神」20村田蔵六が出現したわけ⑧想像できない恐ろしい人
蔵六がこの世に出たわけは⑦で書いた「天からの贈り物」で結論がでているが
最後の追い込みとして大事なところを書いていく。
西郷はp398「なにかごわすのでしょうな。大村さんの腹中には…」と蔵六に対し
遠慮もあるだろうし、様子を窺う素振りでいた。西郷の中で譲れないものは
なんだったのか知りたいがな…
さて戦線は越後や東北に進みつつあるが、江戸には手つかず状態。
江戸の治安は悪いが官軍は勝海舟にまかせているのでほっぽらかし。
しかし彰義隊がいて、官軍が少数でいると大勢で殺しに来る状態が続く。
蔵六がやったこと…江城日記という名の新聞を発行した。嘘の情報で混乱しない
ようにするのが目的とのこと。気の利いたことだと思う。
次に軍費をこの時まだ無名の佐賀の大隈重信が25万両を
持ってやってきた。京都政府が戦艦を買うために持たせたカネだとのこと。
それを蔵六が奪った。p406 大隈は天才的な財政家だったらしい。
ここもっと詳しく知りたいな。
幕末の争乱のもとには攘夷というイデオロギーがあって、精神論が多く
現実主義者は希少だったらしいが蔵六は極めて現実的で(技術者だから)
大隈もそうであったため蔵六に共感した…と予測している。
さらに大隈には巨人西郷が無能人としてしか映らなかったと書いてある。
西郷ほど人に対しての評価が違う事に凡夫は驚くしかない。
なんか幕末の英雄豪傑も…どうも大したことないのか…まさかな。
しかしもしそうだとすると現代のこの危うい世の中にもいるだろう救国の
日本人は大したことないのか…いやそれはないわな。でも何かとんがった
才能や能力がある人がいるんだろうな。エリート層にはいないんだろうが。
蔵六と大隈とのやりとりで彰義隊討滅について江戸が火の海なるという懸念
に対し、蔵六は江戸の火事の歴史を調べ上げており、対処方法も決めていた
とのこと。これを先生はp413史上類を見ない作戦家と書いている。
さて大隈からカネを奪った蔵六は評定を開催するとした。p418蔵六の不愛想な、
周囲と融和のない人柄を皆知っていたからピリピリしてたこと想像できる。
司馬先生は書かれている。「軍事とは元来天才による独裁以外は成立しない」と。
蔵六は「指揮権」を確立したかったとのこと。自分の計画通りに動く軍隊じゃ
ないと勝てないということ。評定での海江田信義とのやりとりは花神に書いてある。
その場にいたら壮絶だろうな。言いにくい事を無表情で言う蔵六に殆どの人、
わが身かわいい人は息をのむな。
最後は西郷の一言で終わった。蔵六の指揮に任せるとしたとのこと。
この時の西郷の心はどうだったのか、凡夫には察することもできない。
案外「やれるもんならやってみろ」だったのかな。
ここで大事なことp462 彰義隊との戦いのさなか彰義隊には江戸中の人や幕臣が
味方に付いて官軍の背後を脅かすという淡い期待があった。
でも誰も幕臣は行動しなかったとのこと。日本人ってそうだよな。
我々って個人で行動を起こす人はほぼいない民族だと思う。
なんか情けない。
勝敗のけりを付けたのは最新兵器のアームストロング砲…だと凡夫は思うが
蔵六がそう考えていたかはわからない。
ただ戦は官軍が押され気味だったため蔵六の周囲から批判が出てきた。
しかし蔵六は微動だにしない。恐ろさを感じる。軍事的才能と言えば
それで終わりだが、この時の蔵六の判断や知略やモノの見方や何を言っていいか
凡夫にはわからないが、計画通り官軍は勝った。
蔵六は想像できない恐ろしい人。