司馬先生「花神」19…村田蔵六が出現したわけ⑦天からの贈り物
蔵六がいよいよ江戸に来た理由は無理やり出された感がある。
江戸は所々で旧幕臣や無頼者の集団が割拠しているが西郷はその平定に
手を出さない。勝任せ。しかし勝もなにかやってるわけではなさそう。
下巻p332あたりから色々書かれているが私の能力では読解できない。
西郷の声望が大きすぎて、京都側の不安もあったろうと思われる…が
それでも蔵六とは…無名に近い人だったし…しかし長州の中ではこの人
しかいないというのもあったし…まぁ私では整理できない。
それはさておき、蔵六が江戸へ行くというのは官軍からそれなりの地位を
決められているはずで、それに対し西郷や取り巻きは連中は、それを受け入れるのか
先生がどう解釈してくださるか楽しみつつ。
ここで大事なことp344 先生は言われる。
革命時には様々な人物が革命勢力に参加している。
平時ならばとうてい社会に適応できない人物も革命勢力の幹部になりすましている。
ここなんだよな。幕軍の指揮者たちは時代のエリートたちで秀才だったが
いざ戦となれば逃げてしまった連中。世間が認める秀才がだ。
対して久坂玄瑞にしても坂本龍馬にしても桐野利秋にしても「狂」と
いう感じの連中。だから社会不適合者も侮れないってことだな。
しかし凡人には見分けがつかないんだな。それにその革命が日本にとって
あるいは日本人にとっていいのかわるいのか判断できないんだよな。
でもな…原始以来というか縄文以来日本人はこの列島で綿々と割と平穏に
住んでるわけだから結果として史上の革命(鎌倉・室町・戦国)は結果OK
ということかもしれない。
さて蔵六は江戸城に行ったが官軍幹部に挨拶もしなかったとのこと。
組織の中での人としての習慣とか礼儀とかもなかった人。ただただ自分を一個の
機械…目的を果たすだけの技術者として自覚していて、それ以外のことは
考える必要もなしとしていたらしい。これを世間は偏屈とか変わり者とか屈折した
人格とか言うんだろうな。私がもしこの人に接したとしたら同様の事を思ったろうな。革命時はやはりこういう風変わりな人が必要なんだろうな。
では西郷は蔵六をどう見てたか…組織上の上下関係は曖昧らしい。でも蔵六は
自分の役目は戦に勝つこと、そのため自分は最高司令官だと思っていたとp352
に書いてある。西郷他幹部たちと最初の参謀会議で蔵六はやるべきことを
明確に言った。それは薩摩閥に最悪の印象を与えたそうだが西郷は黙していた。
蔵六の人物の様子を窺っていたのか、凡夫の私にはわかりようがない。
ここでちょっと筋から離れる。p361 幕末の志士の分類を先生は書いている。
①異常性格者としての不平家
②世間を騒がせるのが好きな性分の者
③他人を扇動することが好きな者
上記以外に有能な人や人望のある人、何かの才能がある人なんだろう。
①②③は現代の誰に当てはまるのか、そして有能・才能のある人は誰なのか
現代のこの乱世(世界中紛争、日本も危険な時期)に誰がいるのか、いないのか
知りたいが無理だな。
ここで戻って西郷が蔵六をどう思っていたか、p375 蔵六を理解し難い人間と
思って意見交換したことがないとのこと。
勝海舟もそうで、蔵六を嫌っており、蔵六も勝は奸物と指定してるとのこと。
しかしこうやって味方を敵にしてる人材でどうやっていけるのかと凡夫は思うが
蔵六は明治の大官になろうとしてるのでない、単に敵に勝つために雇われたと
認識してるから周囲の人間関係に気を使う気がなく、職務のみに全うしようと
したんだろうが、いや凡夫のできる技ではないわな。という一方、周囲もよく
蔵六の意思を実行したなと改めて思うな。私だったらこんなやつの指示なんて
聞かないって言ってたろうな。
西郷の取り巻き幹部は蔵六を殺そうと思ったいたとのこと。でもしなかったのは
蔵六に私心がなかったことによると先生は書かれている。名誉欲や自己顕示欲が
皆無だったと。これ私ならそう思うか疑問。凡夫には読み取れない気がする。
ということは狂人の類のこの当時の連中も凡夫より格上の人間だったという
ことか…凡夫より狂人のほうが上って…納得するしかなさそう。
ついでに言えば蔵六は長州側にも不人気だったとのこと。
この孤立無援の中で職務を全うする才能・度胸…唸るしかできない。
この頃京都から蔵六に「従五位下」という小大名に匹敵する官位が与えられた
とのこと。蔵六に権威をつけて仕事をやりやすくした狙いがあると思うが…
あぁそしてここで蔵六が出現したわけの答えを司馬先生は書いている。
p388 幕末無数の革命家が出たが西郷や木戸でも革命を作り出すことは
できるが、それを成就する役目は負っていなかった。蔵六は仕上げ人として
歴史に登場した。蔵六が天から贈られてきた者であることを勝ほどの眼力の
あるものならさとったにちがいないと書いている。
ここまで長々と蔵六の才能や世に出た理由を拾い書きしてきたんだが
やはり一言で片付いてしまう。天に与えられた使命を持ってきたんだな。
でもまだ下巻の残りから何かをつかみたいので続ける。