司馬先生「花神」12…村田蔵六が出現したわけ⑥私の経験

長州軍は最新銃を持っていたから幕府軍に勝てた。それは事実だが、それ以外に

幕軍のいでたちが具足に陣羽織、要は元亀天正の頃のままであったのも要因。

いやいでたち以上に深刻なのは意識だと思う。

①最新兵器を持たねば勝てないという意識を持ってない

②近代戦争のやり方…兵の配置、服装等装備の調査不足

③負けたら幕府自体がなくなり、長州に取って代わられるという危機感の欠如

④誰か適任者がやるだろうという意識…俺では無理、俺の立場ではなという意識

⑤徳川家が自ら戦うという強い覚悟のなさ…他藩に命令するだけ。その藩の力も

 知らず。

思い立つだけで、これくらいはある。これでは勝てるわけもない。

これ現代も大いにあると思う。会社の役員は全部意識して焦らないと倒産すると

思う。

私の経験で言うと

①は自分の業界の最新状況を調べてなかった。私は上からの指示で仕事をこなす

 平社員であったから、その立場ではない…と思ってたんだろうな。

 でもそれは間違い。立場を言い訳にせず他社のベンチマークは元より異業種の

 技術も学んでおくべきだった。そこにヒントが山ほどあると今さら思う。

②は最新の仕事の仕方や取り組み方を学ぼうとしなかった。業務の効率化とか

 よく聞くが、何もやらなかったし、考えもしなかった。今思うと後悔しかない。

 今の意識の自分ならもっと仕事ができたと思うが後の祭り。上司が言ってた事を

 理解してなかった事を強く認識している。

③はこれ大事な。会社が倒産したら自分の未来もないという危機感は持ってた。

 しかし具体的に何をやるか、考えたが浅い。上司には今自分に与えられた

 仕事の結果を出せって言われてたのに、会社上位の悪口ばかり言ってたバカ 

 だった。

④はこれもほんとにそうだった。俺ではないわなと思っていた。でもな自分

 のため、組織のため、会社のため、後継者のためと思えば平社員であろうと

 できること、やれることは山ほどあったと今にして後悔している。

 あぁ現役に戻って会社に奉仕したい。

⑤私の仕事の一つに下請け会社に部品開発を一任することがあった。

 しかしその中身は形骸化していて、その指示書の内容の一文一文を理解

 せずにただ出していた。自分で開発内容・依頼している項目の深さ等

 もっと自分事としてやるべきだったと深く反省している。

もっと書きたいこと、反省の弁を述べたいが村田蔵六から離れてしまうので

本題に戻りたい。中巻p475 長州軍の益田攻撃の時 渡河を迷う軍勢に向かい

大声で「大隊飛び込み」と言った。そして引き上げの時は川に橋を架けたとのこと。

蔵六の思いは、突撃の時はカっとさせるべきで、帰りは気が緩むので川に飛び込め

ないという理由と書いてある。何度も言うが蔵六は村医者出身で蘭学者であるだけ

という履歴であり、そこからは見えない才能として軍事司令官の才があると先生は

書かれている訳だが、こういう駆け引きの呼吸も軍事才能であるんだが、人間の

機微とか呼吸とか、私なんかは唸るしかない。ここまでくると蔵六が出現した

わけなんぞ、私程度が司馬先生の書物から見つけ出すことは無理だと思わざるを

得ない。意気消沈。だが進める。

続く…