こちらの本、とても良かったです!
 
お金に関しての多くの気づきを得られる内容でしたので、経済のニュースを聞いて、お金のことで将来が不安になってしまうことがあるのなら、本書の内容はとても有意義かな、と思います。
 
自分のための備忘録として、本書で得た内容をまとめておきます。
 
全ての原価を辿っていくと、自然界にある資源に辿り着く(=原価ゼロ)
なぜなら、すべてのモノは労働によって作られる、から。
 
・私たちが消費しているのは、お金ではなく、誰かの労働。
個人にとってのお金の価値とは、将来お金を使ったときに、誰かに働いてもらえること。
技術革新などの生産の効率化にとって私たちが受けている恩恵は、材料費や原価が安くなることではなく、「労働が節約できること」
 
「価値」と「価格」は別物
自分がどれだけ満足したか、価格ではなく効用を考えるべき。
原価を突き詰めるとゼロになる
効用は人によって違う。
20万のジャケット、のように価格を自慢したい人は、この人にとっての価値も、価格ではなく効用になる。
 
働く人がいなければ、お金の力は消える。
みんながお金を握りしめて老後を迎えても、働く人がいなければどうすることもできない。
みんなが上手に資産運用してお金を増やしても、年金問題は解決しない。働く人が減ってしまうから。
 
未来を設計する投資、選択する消費
この投資と消費の両輪によって、世界は未来へと進んでいる。貨幣経済においては、お金が流れないことには僕たちの労働がつながらず、モノが生み出されない。僕たちの生活を豊かにする効用も生み出されない。
 
経済効果、GDPは、「お金の移動量を表す数字でしかない」
ムダな仕事が増えただけではないか?
大事なのは、「どれだけの労働が、どれだけの幸せをもたらすか」を考えること。
経済効果に目が眩むと、割りの合わない労働を生み出してしまう。
「経済効果」という言葉を聞いた時は、まず「効用のよくわからない生産活動ではないか?」と疑ったほうがいい。
 
GDPを闇雲に増やしても、誰も使わない空港のように、効用を増やさないものもある。
逆に、蓄積された生産技術によって、少ない費用で多くの効用が生まれることもある。
 
貿易黒字とは、今の生活を豊かにすることではなく、将来のために「労働の貸し」を作ること。
 
対外純資産=日本が外国に持っている純資産(400兆円超えで過去最大/2022年12月末調べ)
これは世界中の他のどの国よりも大きく、「国の財布」が保有する預金のようなもの。
 
日本政府が借金を増やすと、将来世代を苦しめるか?
→そのお金で誰に働いてもらったかによる
例えば、国立競技場を1500億円で立て直されたため、将来の1500億円の借金が受け継がれる。但し、将来の国民は、働かずして競技場を利用することができる。昔の国民によって、その効用の分だけ得をしている。
 
家の借金の場合、借金したお金で家の外の人たちに働いてもらう。日本政府の借金は、そのお金で働いてくれた人が国の中の人である限り働いて返さなくても良い。
しかし、外国に働いてもらったのに、自国で働いて返せなければ破綻する。
原因は借金ではなく、働くことにある。
 
年金問題の話をする時には、「1人の高齢者を○人の現役世代で支えている」という話をよくするのに、「1人の子どもを○人の現役世代で支えている」という数字を目にすることがほとんどない。
子育ての負担が減っているというのは「親」の話ではなく、「社会」の話だ。社会が子どもを育てなくなってしまった。
誤解してはいけないのは、減っているのは社会の負担で、親の負担はむしろ増えている。
 
少子化問題は、助け合いという経済の目的を忘れた現代社会を象徴している。
人々が助け合って生活するために経済が存在していて、お金は助け合う手段の1つに過ぎないということを思い出さないといけない。
 
 
本書では、人を中心に経済を捉えて説明されているところに、納得感が増しますね。
人々の幸せを実現するために、どうやったらお金を使えばよいか、という視点をもって経済のニュースを自分で紐解けるスキルを身に付けたいものです。
 
大人はもちろんだけど、小学生高学年くらいからでも読むとその後の人生の考え方がプラスになるんじゃないかな、と感じました!(ま、私が小学校の高学年のころに読んでも興味そそられなかったかもなので、対象年齢は10代後半くらいですかね?ww)
とっても分かりやすく、易しい文章で書かれているので、万人受けするな、と思いました。