生涯の親友だと思っていた人がいます。
26歳のときにワーキングホリディでシドニーに滞在してました。その時、フラット(アパートを豪州ではこういう)をシェアしてた人。楽しい思い出いっぱい。あの頃までは、お互いにお互いを親友と呼び合っていたんだけどなあ。
私はビザが切れて帰国。彼女は地元の人と結婚して、以来シドニーに住んでる。離婚したのは、いつ頃だったかな。実を言うと、わたしは彼女の相手が好きではなかったんだよね。結婚すると聞いた時点で、「え?」って思ったのを覚えてる、「大丈夫なのかな」って。言わなかったけど。幸せそうだったから。
だから、離婚したと聞いても驚かなかった。彼女のためには良かったんじゃないかな、って思ったくらい。でも、いつの間にか彼女は全然別の人になっちゃってたんだよね。
理論で武装してる感じ。とにかくすべて理詰めでくる。どちらかと言うと直感的に行動する人だったのにな。そうやって自分を守ってたんだなって推測してたから、やたら理屈っぽくってもスルーしてたんだけどねえ。陰謀論者になるに至って、とうとうついていけなくなった。
USAの影の政府の話とか。世の中で起きている良くない出来事はたいがい陰謀だって言うの。医療関係も、製薬会社の陰謀だって。彼女はコロナワクチン接種反対派。その根拠をLINEで2回くらいスクロールしなくちゃいけないくらい熱く語るの。「絶対打たないで」って……4回接種したことは、だから、彼女には内緒(ちょっと罪悪感)
そんなこんなで、今は音信不通状態が続いてます。時々彼女のことを思い出して、LINEしてみようかとは思うんだけど。最終的にまた陰謀論の話になっちゃうのかなあと思うと腰が引けちゃう。わたしは近況報告し合いたいだけんだけどねえ。
国際結婚って、きっとすごく大変だと思う。しかも、あちらの人とあちらで結婚生活――想像もつかない苦労があったんだろうなあ。相手の家族もネックだったと思うよ。結婚したばかりの頃、よく愚痴をこぼしていた。わたしとも彼女とも考え方が相いれない人たちだった。結婚相手の家族とのつきあいって、日本人同士でも大変だものね。
ご無沙汰って言えば、彼女のほうからもなにもないんだよね。お互いに何か……へんな感じに、いつの間にかなっててさ。私は彼女の陰謀論に反論したことはないけど、雰囲気は伝わってたと思う。分かり合えなくなっちゃったって、彼女も感じてるのかもしれない。生涯の親友と思ってた、ホントに。残念でなりません。
彼女が日本で、日本人と結婚して、今も日本に住んでたら、どんなだったんだろう? いや、日本に住んでる彼女を創造するのは難しいんだけど。