大木って見ていて飽きません、「この木なんの木」のように青々と茂った枝を大きく広げて、なにか大きな包容力を感じさせるものも好きですが、何百年も経た老木の佇まいもは威厳があって神々しくすらあります。

 

皆がそう思うわけで、我が国では神木として祀られたりします。

大木を神聖視するのは、日本やケルト人など精霊信仰のある一部の国だけかと思って調べたら、アメリカ、ヨセミテ公園のセコイア巨木群、メキシコのテオモポテ・アルボル、イギリスのドン・オーク、ドイツの百舌鳥の森など、そういう例は多いようです。それから忘れてはいけません、インドの菩提樹がありました。

 

文科省が特別天然記念物に指定したものだけでも、石徹白のスギ(岐阜県郡上市)、杉の大スギ(高知県長岡郡大豊町)、宝生院のシンパク(香川県小豆郡土庄町)、大島のサクラ株(東京都大島町)、狩宿の下馬ザクラ(静岡県富士宮市)、東根の大ケヤキ(山形県東根市)、牛島のフジ(埼玉県春日部市)、相良のアイラトビカズラ(熊本県山鹿市)など。ほかにも天然記念物が沢山あります。

 

ついでに、最近日本経済新聞の土曜版でランキングしたののを転載します。

1位 縄文杉(鹿児島県屋久島町) 284ポイント ...
2位 縁結びのカツラ(北海道乙部町) 253ポイント ...
3位 北金ケ沢のイチョウ(青森県深浦町) 211ポイント ...
4位 蒲生の大クス(鹿児島県姶良市) 208ポイント ...
5位 称名寺のシイノキ(宮城県亘理町) 187ポイント

4位 蒲生の大クス(鹿児島県姶良市) 208ポイント
5位 称名寺のシイノキ(宮城県亘理町) 187ポイント
6位 命主社のムクノキ(島根県出雲市) 163ポイント
7位 首里金城の大アカギ(那覇市) 136ポイント
8位 安久山の大シイ(千葉県匝瑳市) 125ポイント
9位 薫蓋樟(大阪府門真市) 118ポイント
10位 言問の松(北海道豊富町) 113ポイント
10位 杉の大杉(高知県大豊町) 113ポイント
 

暇とお金、体力があればこういうのを巡る、巨木めぐりの旅なんて素敵ですね。

 

何百年、あるいは千年以上も風雪、落雷に耐えて残っている大木ですから、それ自体「偉い」し、希少価値があるので、ほとんど例外なく、周囲の立ち入りを禁止したり、藁を巻いたり、つっかえ棒をしたり、保護保全に努めているというわけです。

 

でも、よーく考えてきました。

希少価値で大事にするって、昔の玩具やトレカに高い値段がつくのと同じ、人間の収集癖のなせる技、希少でもそれ自身の価値はどうなんだ。

材としては使えないし、環境面でも老木はCO2吸収効果もほとんどなく、場合によってはマイナスです。

 

それに、大木ってずるくない?

大木になるということは、周りの植物との生存競争に勝った証。大木が茂ることによって日光が遮られ、生育できなかったり、ニッチな生き方を強いられ、不遇な思いをした植物が無数にあるはず。落ち葉の恩恵を受ける生物もいるだろうけれど、地面の栄養や水分だって、ほとんど独り占め。
「一将功成りて万骨枯る」を絵に描いたみたいなもんです。

 

冷静に考えると、こういう輩が何百年も居座って資源の独り占めをしているのを許してよいのだろうか。つっかえ棒をして延命措置を講じてまで保護することは善なのだろうか。

 

ということで、環境省、厚生労働省こども家庭庁などが協議の上、文部科学省の反対を押し切って、方針を転換、老木を伐採、森林の更新をすすめることになりました。

巨木めぐりを考えておられる方、見に行くなら今のうちですよ。

 

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タワゴトにお付き合いいただきありがとうございました。

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たまには旅行にいくようにしています。海外一人旅など記録を、「ついでにちょっと旅」に残していますのでよろしかったらご笑覧ください。