昨日は、スピーカーのインピーダンスが Z=R + jXL
(抵抗成分 + 誘導性リアクタンス成分)
で出来ていることをお話ししました。
※厳密にいうとコイルとマグネット間にも静電容量があり、容量性リアクタンス成分となりますが
今回は、単純化するために省いています。
そこで、今回試験用に使っている”FOSTEX” の 『FF105WK』のインピーダンス特性グラフを
見てみます。
FF105WK 周波数特性&インピーダンス特性
このスピーカーのインピーダンス特性は、グラフの下の部分左側にとんがり山があって、スーと裾野が伸びていくような特性です。
対数グラフで書かれていますが、
横軸は周波数(Hz)で縦軸は周波数特性を見る時は、左側の目盛りが音圧(dB)を表し、
インピーダンス特性を見るときには、右側の目盛りインピーダンス(Ω)をあらわしています。
また、下にこのスピーカーの特性表(T/Sパラメーター)を添付します。
この表とグラフを見比べながら特性を比較しインピーダンス特性のグラフからT/Sパラメータを求める方法を確認します。
1)F0又はFs (最低共振周波数) : 75Hz
グラフでいうとインピーダンスカーブの一番山のてっぺん。
この時のインピーダンスをRmax とします。
Rmaxの値は、グラフの右のスケールで読み取りますが、(赤の数字は私が推測で記入)
おおよ75Ω位でしょうか。 スピーカーによってはデーターとして記載されている物もあります。
2) Re:直流抵抗 特性表では6.7Ω 先日の測定では6.9Ω
r0=Rmax/Re とすると r0=75 ÷ 6.7=11.2
Rx=√r0×Re Rx=√11.2 × 6.7=22.4Ω
このRxの値を水平に線を引くと(上グラフの下の赤線) とんがり山が2か所せ切れます。
その時の周波数を下側をF1とし、Fsを挟んで上側をF2とすると
3) F1≒ 52Hz位 F2≒ 100Hz位 になります。
4)Qms :機械的共振先鋭度 (機械的な減衰を表します。)
Qms=(Fs・√r0) / (F2-F1) = (75×√11.2)/(100-52) =5.23
特性表では4.203
5)Qes :電気的共振先鋭度 (電気的な減衰を表します。)
Qes=Qms/r0-1= 5.23/(11.2-1)=0.512
特性表では0.461
6)Qts :総合的共振先鋭度 (上の二つの要素を合わせた減衰を表します。)
Qts=Qms/r0 =5.23/11.2 =0.466
又は、
Qts=Qes・Qms/(Qes+Qms)=0.512×5.23/(0.512+5.23)=0.466
特性表では、0.41
グラグから読み取った値で計算した数値とスピーカーを特性表からの数値を比較すると
似たような?値となっています。
7)Zn :公表インピーダンス 特性表では8Ω
グラフで読むと インピーダンス特性の山の右側に下がってきた一番下
がったところおおよそ8Ω
これらの値がこのユニットを使った時の箱(エンクロージャ)の設計に重要な要素となります。
ですから、インピーダンス特性が正確に測定できれは、箱も設計しやすくなります。