深呼吸
最近、目が合うと娘がニコッと笑ってくれるのが私の癒しだ。
寝返りも完全にマスターして、
「あ~、う~」といっぱいおしゃべりしてくれる。
笑い方にもいろんな表情がついてきて、
彼女のことをだんだんと知れてきている気がする。
一緒に散歩に出かけると、
目をまんまるにして周囲をキョロキョロと見渡す。
鳥の声、風の音、木の匂い、花の色、彼女にはすべてがはじめて。
彼女から見えるシアトルの街は、
どんな風に映っているのだろうか。
私はどういう母親になるのだろうか、
彼女と私はどんな親子になるのだろうか。
目の前の好奇心でいっぱいの小さな娘を見つめながら
よくそんな事を考える。
相方は、自分の好きなレコードを娘に聴かせては、
娘の反応を見ながら、彼女の好きな曲を探っている様子。
おむつ替えも、お風呂も、
最初はビクビクしながらの私たちだった。
4ヶ月経った今も、
子育てというものに少しは慣れてきたけれども、
まだまだわからない事だらけだ。
夜、娘を寝かしつけた後にお茶を飲みながら、
イヤホンで久しぶりに好きな曲を聴く。
2人だけの生活のときにはいつでも作れた私の時間が、
こんなにも貴重なひとときになるなんて正直想像もつかなかった。
シーンとした部屋にイヤホンから流れる音楽が少し漏れる。
目を閉じて、深呼吸をしてみる。
親子って産まれてすぐに関係が出来ているものではなくて、
一歩一歩、築いていくものなんだとつくづく思う。
だから、これからもゆっくりと彼女の事を知って、
彼女にも私たちの事も知ってもらえたらいいな。
私たち家族に仲間入りしてくれた娘。
どうかこんな未熟な私たちだけど、
いっぱい愛情を注ぐから、どうぞよろしくね。
そんな風な事を考えながら過ごす今日この頃。
シアトルは街のあちこちの花が咲き始めている。
冬の間のグレーだった街はどこへやら。
絵の具セットの24色すべての色を使ったみたいな、
カラフルな街に変わってきている。
今週は、この春最初のアスパラガスも食べた。
オリーブオイルでさっと炒めて、
岩塩と煎ったクルミをパラパラとのせたシンプルなもの。
甘くて瑞々しい春の香りが、
ふわぁ~っと口いっぱいに広がった。