前回記事で触れましたが、Facebookはある本、‘Europe All Inclusive’を隠したがっています。

チェコの前大統領Václav Klaus(ヴァーツラフ・クラウス)氏と、経済学者のJiří Weigl 氏の共著による本です。

 

チェコのVáclav Klaus(ヴァーツラフ・クラウス)氏は、経済学者で政治家です。

首相、大統領、代議員議長を経験しています。

2012年にEUがノーベル平和賞を受賞した時、「冗談かと思った」、「悲劇的な過ちである」と酷評しました。(Wikipedia

 

そのクラウス氏(達お二人)が新しい本でどう言っているのかという記事がVOICE OF EUROPEから出ていました。その記事からリンクされているご本人のHPからご自身による前書きを紹介します。

 

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New book: Václav Klaus, Jiří Weigl - Europe All Inclusive

 

 

現在の情報の洪水は、前例のないほどの言葉の価値の低下をもたらしました。

量が質を低下させるのです。

メディアは最悪で最も驚くニュースを広めようと競争します。

クライシス(危機)という言葉はもう、戦争、殺人、災害、大惨事と同じように、日常用語の一部になってしまい、私たちを怖がらせる力が弱まりつつあります。

私たちがその危機に慣れてくると、メディアが別の新しい危機に入れ替えます。

 

そうやって、深刻な危機が簡単に致命的に過小評価されてしまうことが起きてしまいます。

我々の懸念は、まさにその瞬間が来たということです。

現在の移民危機は、深刻で、いまだなお酷く過小評価された現象なのです。

 

この小さな本は今とても必要とされている警告として役立つはずです。

 

2008年から2009年にかけての金融経済危機(おそらく80年間で最大)が、通常の健全な回復を見せない手詰まり感のまま終息して、今まで比較的安定していたユーロ圏の国々の債務危機が始まりました。

 

最近のギリシャ危機がピークを迎えたこと(これも解決しないまま)もまた別の大きな出来事でした。

 

2年前、私たちは長く準備され予想されたウクライナ危機の始まりを見ました。

しばしば間違えて(おそらく意図的に)ロシアとウクライナの紛争と解釈されました。

 

今、私たちは移民危機に直面していますが、それはヨーロッパのエリートからは悲劇的に過小評価され、何でもないことのように扱われています。

この最新の危機はヨーロッパ大陸を前代未聞の形で揺さぶっています。

 

危機が次々と簡単に入れ替えられていることは、ヨーロッパ及び西側世界の政治、メディア、知的エリートの無責任な行動から生み出されおり、それが様々な出来事の経過を辿らないまま更なる人々の自由と民主政治の制限をもたらしています。

 

我々は、現在の移民危機が今まで多くの○○危機と呼ばれていたものの1つではないことを強く確信しています。

 

進行中の大量移民の波は、不幸なことにまだ最高潮に到達したというにはほど遠いですが、古代世界のヨーロッパの発展に大規模な後退をもたらした「野蛮人の侵入」に匹敵します。

ヨーロッパはそれを乗り切るのに数世紀を要しました。

後のヨーロッパは、アラブ人、モンゴル人、トルコ人から同じような挑戦を受けますが、時に大きな苦しみや損失という犠牲を払いながら対処に成功しました。

今私たちが直面しているのはそれと同様の、未来のヨーロッパへの基本的な課題です。

 

昔と違うのは、自分たちを守る意思が存在しているかどうかが不幸なことに明らかでないということです。

何かを守る必要や理由があるのかどうかの合意が私たちには欠けています。

ヨーロッパ、特にその統合された部分は、偽善と見せかけの人道主義とその他怪しげな概念で満ち溢れています。

それらの中で最も危険なのは、最近の流行りで究極の自殺行為である、多文化主義と人権主義イデオロギーです。

そのようなイデオロギーは、家庭、母国、国民、国家のような概念について、それらを多くの人々が放棄する方へ追いやります。

 

それら(多文化主義と人権主義)のイデオロギーは、移住は人権という考えを普及させ、そして移住権は更なる権利を導きます。その権利には、移民に社会福祉を給付するという権利を含みます。

 

最後の方になりましたが重要なことがあります。

ヨーロッパは、かつて繁栄を誇ったヨーロッパ大陸を無能な連帯主義国家へ、住民を市民から依存する客へ一変させる左翼のユートピア物語のおかげで弱体化させられています。

 

現在のヨーロッパのエリートたちは、意図するしないにかかわらず、それらの考えを無責任に主張し広めています。

そのような行動の結果は、まだ彼らや彼らの家族に大きく、または直接影響を与えていません。指導者たちは自分たちの時代は聖書に出てくるような洪水の影響を受けないだろうと思っているのでしょう。(現代は洪水の代わりに温暖化ですが)

 

私たちにそのような無責任な贅沢を味わう余裕はありません。それゆえ、我々は移民危機の本質的な部分を分析しまとめることにしました。

本の中の個々のテーマはそれぞれが一つの本になるほど複雑ですが、この簡潔に述べたガイドブックは1冊で、それぞれのテーマを解説しつつすべての問題を包括的にまとめたものとして提供しています。

学術的な文献などは使用していません。

本当に簡単なガイドブックです。

 

Václav Klaus, Jiří Weigl, Publication No. 34/2017.

 

波線END(わかりやすくするために少し意訳が入っています。変だったらすみません。aya

 

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最近の拙ブログでチェコのAndrej Babis新首相の発言を紹介しました。ご参考まで!

 

私たちは絶対に誰も受け入れない。

私たちの国に誰が住むべきで誰が働くべきかを命令するいかなるものにも断固として反対する。

難民割当制はヨーロッパを分断するし、効果的ではない。

 

(チェコがイタリアとギリシャからの難民を受け入れないことで、他の東欧諸国とともにEUの訴訟に直面していることを受けて)

私たちは、EU委員会が馬鹿げたことで私たちを訴えることを不条理だと考えている。

 

追記 04/12

Voice of Europeが4月11日に記事を更新、Facebookが謝罪してチェコ前大統領の本紹介記事を復活させたと報告しました。拍手