まず初めに今日の日テレ24のニュースを見てください。
トランプ政権 ウクライナめぐり露に制裁へ 要旨は次の2つです。
(削除済みの場合は文末資料をご覧ください)
◆アメリカのトランプ政権は、ウクライナ問題をめぐりロシアへの圧力を強めている。
◆一方、バルト海の上空で19日、ロシア軍機がアメリカ軍の偵察機に異常接近した。NBCテレビによると、数メートル以内に接近したということで、アメリカ国防総省は危険な行為だと反発している。
次はこれ。
仏大統領「シリアが化学兵器使用なら単独でも空爆」2時11分配信 トレーダーズ・ウェブ YAHOO
仏マクロン大統領
「シリアのレッドラインは化学兵器の使用」
「化学兵器を使用した場合はフランスは単独でも空爆する」
「シリアの優先事項はテロとの戦い」
「アサド大統領はシリア国民の敵である、フランスの敵ではない」
1つ目は、軍用機についてロシアの言い分がありませんので、一方的な言い分となります。
2つ目は、あとで紹介するマクロン氏のインタビューから、フランスが攻撃するときのことだけ抜き出しています。これはたぶん、今までの強硬路線から抜けるための言い訳のようなもので、ここに主眼を置くべき内容ではありません。
こういう報道だけを見ていると情勢を正しく判断できなくなります。
まず、ロシア軍機についての報道ですが、動画(1分間)をご覧ください。
これはロシアのショイグ国防相が、ロシアの飛び地カリーニングラード州で行われた軍の会議に出席する途中のバルト海上で、その機内からの映像です。
真ん中にいるNATOのF16戦闘機を追い払うために、国防相機を護衛していたロシアのスホーイ27戦闘機が後ろ(画面では左から)からF16に近づいています。
これにはロシアが怒っていて、昨日からRTTVでこの映像が流れていました。
Russian Su-27 warns off NATO F-16 trying to approach defense minister’s plane over Baltic (VIDEO)
実はこの報道、NHKとCNNはまだロシアの言い分を伝えていて、マシです。
軍用機はこういうことが各地であり、ことさらこの件をアメリカが怒るというのも変です。
次に、ウクライナ問題でのロシア制裁、2つ一緒に報道されているので、ロシアは大悪党でアメリカたちはロシアを追い詰めているのだろう、日本もこのままアメリカに盲従していれば安泰だ、そう思い込んでしまいがちです。
ところが、フランスの新大統領マクロン氏は、総選挙も終えシリア政策についての転換をヨーロッパ8紙のインタビューで述べているのです。ということはロシアとの関係がアメリカと違うということになります。
その内容を紹介します。
新しい見解とは、誰も私にアサド氏の正統な後継者を示してくれなかったので、アサド氏排除がすべての前提条件であるとは言わないということです。
前オランド大統領は2015年の国連総会で「アサド大統領がこの紛争の原因であり、彼の入る解決はあり得ない」と述べていたので大転換です。
私の方針は明らかです。すべてのテロリストグループと戦います。彼らが私たちの敵です。
私たちはみんなと協力する必要があります。とりわけ彼らを根絶するにはロシアの協力が必要です。
そしてアメリカのネオコン思想がフランスに浸透することを許さないと言い、フランスの目標は、シリアに安定をもたらすことであり、“リビアスタイル”に引っ張り込むことではないと言いました。
干渉して何が生まれましたか?テロリストグループが繁栄する失敗国家です。私はシリアをそのようにしたくありません。
とマクロン氏は強調しました。
そして柔軟にシリアに対応する中でレッドラインについても触れました。
化学兵器を使ったと証明されれば軍事行動を起こす、この点ではアメリカと歩調を合わせていると言いました。( 前回の化学兵器騒動によるアメリカの軍事行動ではいまだに証明がありません)
マクロン氏は、シリアを失敗国家にしないためにテロとの戦いに集中しているロシアのプーチン大統領と、この事態の収束見通しを共有していると述べています。
私はプーチン大統領を尊敬しています。彼とは建設的な意見を交わしました。
私たちは同意出来ないこともあります。特にウクライナです。しかし彼は私の見解を理解しています。
彼はロシアとの建設的な対話を歓迎し、また2国間の協力についても楽観していると述べました。
マクロン氏は国内の安全保障がシリアでの紛争に直結していると見ています。
私の確固たる信念は、外交、政治的なロードマップが必要だということです。
軍事だけで解決するつもりはありません。それは私たちが犯した共同の間違いです。
このように、ロシアが2011年シリア内戦以来ずっと繰り返し主張してきたことを述べました。
最初の2つのニュースとは違う印象を持ったと思います。
アメリカは、これでいいのです。なぜかというと自主独立していて、いざとなれば自分の都合だけで自分たちの行動を変えることが出来るからです。
日本は違います。情勢を読み間違えると、1人残されて馬鹿を見ることになるのです。
シリア軍はISを空爆しており、アメリカが支援する反政府軍近くに爆弾を落としたことへの報復というのは嘘だ、とロシアは言っています。(もうこれはわかりません。現場で見た人しか。)
それよりも、シリア領内でシリアの正規軍をアメリカが攻撃することは戦争行為だと強く非難しており、これはロシアの言うことが正論だと思います。
今までもアメリカがシリア政府側の民兵を攻撃することはありましたが、正規軍を攻撃というのは一線を越えています。
トランプ大統領は選挙前、シリアへの介入には批判的で、選挙中もロシアとの協力を言っていたようなのですが・・・、きっと何か事情があるのでしょう。
フランスが転換したようにアメリカもそうなることがあるかもしれません。
日本への脅威はロシアではなくて中国です。
人口圧力を見てください。環境破壊を見てください。
ロシア叩きに騙されて、道を誤らないようにしなければいけません。
資料~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
トランプ政権 ウクライナめぐり露に制裁へ
2017年6月21日 17:38
アメリカのトランプ政権は、ウクライナ問題をめぐりロシアへの圧力を強めている。財務省は20日、ロシアが併合したクリミアで活動するロシア政府の職員などを新たな経済制裁の対象に指定した。
記事全文
アメリカのトランプ政権は、ウクライナ問題をめぐりロシアへの圧力を強めている。財務省は20日、ロシアが併合したクリミアで活動するロシア政府の職員などを新たな経済制裁の対象に指定した。
制裁対象に指定されたのは、クリミアやウクライナ東部で活動するロシア政府職員や親ロシア派など38の個人と団体で、アメリカ国内の資産が凍結される。
ムニューシン財務長官は、今回の制裁を通じ、ウクライナ問題の平和的な解決に向けて、ロシアに対する圧力をかけ続けると強調した。
またこの日、ホワイトハウスではトランプ大統領がウクライナのポロシェンコ大統領と会談し、ウクライナ東部での政府軍と親ロシア派との武力衝突を終わらせるため、支援を続けていく考えを示した。
一方、バルト海の上空で19日、ロシア軍機がアメリカ軍の偵察機に異常接近した。NBCテレビによると、数メートル以内に接近したということで、アメリカ国防総省は危険な行為だと反発している。