動物福祉や動物愛護、そして動物の尊厳を尊重する私としては、政治に関係なくこれらの改善をずっと願ってきました。

 

動物関係は、優れたブログや情報が多く、ネットで検索するとすぐ見つかりますから、興味を持ってくださる方はぜひそちらを見てみてください。aya

 

今回は、あまり関心がない方にも、実は政治や外交に影響を与えていく可能性があることを考えてもらいたくて取り上げてみました。(ちょっと長いですが一回でまとめました。)

 

どこのメディアも一応報道したと思います。

中国が象牙取引を2017年中に全面禁止、日本が世界最大の象牙購入国へ(2017年1月4日 BUZZAP!)

中国は2017年末までに象牙市場を完全閉鎖
2016年12月30日に中華人民共和国国務院は国内における象牙取引禁止を正式に決定しました。2017年3月31日を目途に国内象牙取引登録業者の取引を禁止し、2017年内に全ての象牙取引市場を廃止します。現在中国内には34社の加工業者があり、143カ所で販売が行われるなど、世界の象牙市場の7割を占めるとされてきましたが、これらが完全にシャットアウトされることになります。

禁止以降には博物館での展示など文化目的以外の受け渡しを認めないという厳格な内容で、実店舗はもちろんインターネット上の取引も取り締まります。また、象牙彫刻家や職人などの象牙業界の労働者が、博物館での象牙工芸品修復の仕事など、他の分野へ転向する支援をするとのこと。(後略)

 

:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-これ以前の動き:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-

 

2016年6月、オバマ大統領が象牙取引を事実上の全面禁止とする措置を発表

(オバマ大統領は2013年から象牙取引禁止に向けて動いています。

 

2016年8月27日、日本、アフリカへ3兆円投資 安倍首相が表明

 

2016年9月、シージンピンが訪米中に米中で象牙取引全面禁止を発表するなど、世界的な象牙取引の全廃に向けた動きが着々と進行(この報道は世界中で大々的に報じられています。)

 

2016年10月3日、183の国と地域が参加して開かれているワシントン条約締約国会議で、ボツワナが取引禁止へ向けた世界の動きを支持すると表明(ボツワナはこれまで取引維持派で今回方針転換しました。この理由は別に説明します。)

 

2016年10月4日、ワシントン条約締約国会議で、「アフリカゾウ保護のため象牙の国内取引禁止を各国に求める決議」を全体会合で正式承認

(日本は「密猟、または違法取引につながる市場のみの取引停止」という文言を入れさせることに成功したので、関係ない(これからも続ける)という立場はこ怒る  こちら参照)

 

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これまでボツワナとナミビア、南アフリカ、ジンバブエに生息するアフリカゾウの個体群については条件付きで象牙取引を認めていました。

ボツワナではアフリカ大陸全体のゾウの3分の1に当たる13万頭が生息しています。

 

ボツワナ政府の方針転換は、合法を一部でも認めると密猟が横行し、ゾウの数が激減した、取引の全面禁止以外に方法がないということでこの結論に至ったものでした。

日本の現状がその方針転換に“多大な貢献”パンダ残念をしました。

 

ボツワナ、ナミビア、ジンバブエは、大量に抱えた象牙の在庫の一部を1999年日本へ輸出することが認められた2008年にも輸出国に南アフリカ、輸入国に中国が加わって象牙輸出が行われている。ところが最新の調査によると、この2回の取引がアフリカ中でゾウの密猟を激増させる結果になってしまった

日本は1999年には50トン、2009年(認められた翌年)に39トン輸入している

ゾウ大国ボツワナ、象牙取引の全面禁止を支持 National Geographic

 

ワシントン条約(世界的にはCITESという通称が使われます)象牙の国際取引は1989年に禁止され、1990年に発効しましたが、“違法に入手された象牙を国内市場から締め出す対策を確実に取っていると日本がアピール”して、2回の輸入が認められました。

 

しかし、実際には日本の象牙取引は抜け穴だらけで機能していないことが暴露されました。

日本で違法な象牙取引が横行、覆面調査でも確認 National Geographic

日本の制度は抜け穴だらけであり、法規制が弱いために効力が乏しく、最も基本的なレベルにおいてさえ有効な歯止めが存在しない米ワシントンD.C.に本部を置く非営利団体「エンバイロンメンタル・インベスティゲーション・エージェンシー(EIA))

詳しくはリンク先をご覧いただくとして、簡単に言うと、日本は、全面禁止の1990年以前輸入の在庫か、1999年、2009年輸入のものしか流通できないことになっているのですが、その証明は「日本の輸入業者が「合法的に入手した」と自分で明言した書面でも差し支えない」え゛!という日本流、いつもながらの悪人に配慮した制度となっているのです。

 

この違法者大歓迎の日本市場中国人に利用されたり、インターネット販売も野放し状態だったりしたことが発覚しました。金の為ならゾウを絶滅に追いやる日本が、今回ボツワナの態度を変えさせたと言えるでしょう。

 

中国の腐敗撲滅運動でマカオのカジノが縮小しました。

中国の象牙取引禁止で世界最大の中国市場が消滅します。

アジアの貧困と腐敗と犯罪を取り込むことに夢中の安倍総理は、だからIR法を通し、象牙取引を死守するのでしょうか?sei

 

動物関連で短く、心にしみるブログがあり、そちらでも触れられていますので紹介しておきます。

象牙取引を容認する日本の孤立化 ひかたま(光の魂たち) 

 

 

それから、ゾウ関連で日本人があまり気にしていないことを書かせてもらいます。

ゾウに乗ること(エレファント・ライドと言います)、これが観光地でアトラクションとしてあるのですが、いま世界的に動物虐待と見做されるようになっています。

 

昨年もアンコールワットでエレファント・ライドで使われていた象が、仕事終了直後に倒れて死んだことがあります。炎天下歩かされた熱中症みたいですが、アジアゾウは森林に棲むということを知っていたら、可哀想で乗らなかったのではないかと思います。

 

 

(左:カンボジアのエレファントライド。/右:エレファントライド後に倒れて死んだ象)

 

ベトナムでもエレファントライド中に倒れて死んだ象がいます。ここでは結構あります。

 

そして、労働が過酷なうえ、調教が非常に残酷(人より強い象に人を怖がらせ人に服従するよう、身体に怪我を負わせ精神を破壊させることから、エレファント・クラッシュと呼ばれています。過去記事に少し触れた部分あり。)なこと、ゾウの背中は重い直線的な乗り物を乗せるようになっておらず脊髄損傷を起すことがあることから、エレファント・ライドとはゾウを一時の娯楽のために生涯痛めつけるアトラクションだということを言っておきたいと思います。

 

この件でもひかたまさんの記事があります。

ゾウさんに乗ってはいけない理由

 

そして、先ほども触れた象牙取引禁止への方針転換をしたボツワナですが、2016年末をもって国内に1か所あったエレファント・ライドを行う施設に禁止命令を出しました。環境省は最近決まった飼育下にあるゾウの福祉向上政策の一環としています。

 

象牙取引全面禁止のワシントン条約会議のころに合わせるように、昨年10月旅行大手のトリップアドバイザーが、動物愛護の観点から動物に触れることを目的にしたアトラクションの予約受付を取りやめることを発表しました。

トリップアドバイザー、動物アトラクション販売中止-独業界も Travel vision)

 

具体的にはエレファント・ライドイルカなどと一緒に泳ぐもの捕らえられた野生動物に触れられるものなどの取り扱いを中止する。

 

またドイツ旅行業協会(DRV)も会員の旅行会社に対して、「エレファント・フレンドリー」なアトラクションの判定基準を伝えるとともに、旅行者に対して象との直接的な触れ合いや、絵を描く象や象によるポロなどの不自然なアクテビティへの参加を提案しないことを推奨し始めた。

 

現在、動物を使ったサーカスやシャチやイルカショーは先進国を中心として禁止される方向にあります。

サーカスでの動物の利用禁止は世界の流れ PEACE 

インド イルカを「個人」として認め、イルカショーを禁止する スプートニク

シャチショー廃止へ、米国で過熱する飼育批判 NATIONAL GIOGRAPHIC

 

残念なことに日本の大手旅行会社は全くそういう波に乗っていないと思います。

日本、中国、朝鮮は東アジアの野蛮3兄弟と化しています。泣く

 

日本では、今これで生計を立てている人がいるのだからそれも考えろ、という発想がありますが、それで食べている人がいる限り無くせないことを知るべきです。

 

中国では象牙関連で働く人は今後別の仕事をすることになるのです。

象牙関連業が生業の人がいる限り、取引禁止が出来ないからです。

同じく、エレファントライドで現地人が生計を立てていますが、その人を別の仕事に移さないとゾウの苦痛は無くせません。だからNGOなどを中心に行政とも連携して就労支援をしてます。

 

中国は、この象牙の取引禁止宣言前後にロバの輸入でアフリカ諸国と揉めていました。

野蛮な中国人はロバの皮を使った漢方薬のために、大量のロバの皮をアフリカから輸入していました。ニジェールやブルキナファソなどの貧しい国ではロバが日常生活で使われています。

そこに目を付け、中国が大量にロバを輸入し始めました。それも爆買いを増やしていました。(ニジェールで昨年8万頭、おととしの2万7千頭から3倍です。)

国内のロバが減り、価格が高騰、またアフリカ人ですからまともな屠畜場ではなく、ただ近所の男たちが鉈や斧を手に集まり、ロバを虐殺して皮だけをはぐという酷い殺し方で、血や臓物で近隣田畑や水が汚染され、農民たちが屠畜場を襲撃するということまで起きていました。

 現在、ニジェール、ブルキナファソ共に中国へのロバ皮の輸出を禁止しています。

China's quest to buy up global supply of donkeys halted by African nations INDEPENDENT

 

 

これらの動きを知っていただいたうえで、外交の話に移ります。

 

中国人が一般的に日本人より残虐で中国(韓国も)が動物虐待王国で地球を破壊し続けていることは、日本人の私たちはみんな知っています。

象牙のことも政治的なものが動機でしょう。象牙は過激派や犯罪組織の収入源にもなっていますから。

 

しかし、世界が注目する大きな舞台では、そういう中国よりも日本が野蛮大国として注目を浴びてしまうのです。

 

捕鯨については、調査捕鯨と言いながら実は商業捕鯨をする日本

 

象牙取引は、違法象牙を国内市場から確実に締め出すと言って特例を認められたのに、それを利用して違法象牙市場として場所貸しをする

 

「良い子ちゃん」だと思われていた日本が実は、腹黒く、狡猾だという格好の証明になっているのです。

 

そして、それを彼らは利用することが出来ます。

「慰安婦について官憲の関与が認められないと日本政府は言っているけれど、捕鯨や象牙での日本人の言い訳を見てどう思う?」

「南京は?」 「徴用工は?」 このように言われたら、世界中の普通の人は良く知らないのでそうだろうなと思うでしょう。

これって中国がわざわざ言わなくても自然と醸し出されるのです。これが怖いところです。

 

正直、日本と中韓の関係なんてどうでもいいですからね、知りたくもないし、現在進行中の日本を見ていると過去のことも推して知るべし、そういう結論になるでしょう。

 

「東アジアで何も日本だけが“きちんとしている”わけではない、どこも似たり寄ったりだ。ならば中国でもいいじゃないか。」

そう一般庶民が思うことが各国政府の中国接近を妨げないのです。

 

私たちはこういう空気を軽視しがちですが、これはとても大きな力を持つものだと思います。

 

だから、スリランカが港を99年間中国に貸し出すこともでき、ギリシャはピレウス港を中国に売却し、ヴェネツィアの海まで中国の海になろうとしているのだと思うのです。

 

日本は昔からアメリカが反対することは出来ない国です。

アーミテージレポートと安倍発言(ジータさま)参照

 

想像すると、日本の国益を守る(←と政府が思い込んでいるだけ)ためにいくつかアメリカにお伺いを立てて、ダメと言われなかったのが、捕鯨と象牙取引だけだったりして・・・sei

これはアメリカが損をせず日本が世界から非難され嫌われるだけで、むしろ日本がアメリカに頼る体質づくりに役立つからです。

竹島も慰安婦も尖閣もみんなアメリカが証明してくれたら簡単に決着がつきそうなのに、あえて静観して、挙句には慰安婦については韓国の側についてしまいました。

 

そもそもの始まりが、政府が国益を守るつもりで作ったリスト。そこに残った2つは、だから、本心から国益を守ると勘違いしてしまっているのではないか?そんなことを思いました。

 

人の心の機微を読み取れないと外交は出来ないです。

お金をばら撒いてもかえって軽く見られるだけなのです。

 

現在イタリアの元環境相が犬食いを止めなければ平昌オリンピックをボイコットするという運動をしています。(犬食はアジアの途上国の田舎にはたいていあるのですえーん。泣く

 

資金力と攻撃力がある中国が東京オリンピックを標的に、象牙や捕鯨で攻撃してくることは十分ありますし、事前に匂わせてまた日本が国益譲渡するというシナリオも想像できます。

 

現代は情報が瞬時に伝わり、ポピュリズムだと言われています。

トップとだけ話がついていればいいという時代ではないことを、日本政府は肝に銘じるべきです。