パキスタン人、アフガニスタン人、どちらも自身があちこちに移民や難民として進出していますが、ソ連のアフガン侵攻からずっとアフガニスタン人の難民を受け入れていたパキスタンが、彼らをアフガニスタンに送還するという方針を厳格にし出しました。

難民の多くはパシュトゥーン人です。

 

パキスタンとアフガニスタンの国境付近は、昔からパシュトゥーン人が暮らしている地域でした。両国の国境は、英国が英領インドを作るときに地図上に引いたもので、パシュトゥーン人は、国境が引かれた後も、そしてパキスタンとして独立した後も、自由に両国を行き来していました。パシュトゥーン人は、アフガニスタンにおいては多数民族であり、パキスタンにおいては少数民族(11%)なのですが、パキスタン(総人口1億6千万人)に住むパシュトゥーン人の方が人口としては多いのです。 外務省HPから

  左矢印緑がパシュトゥーン人です。

 

パキスタン政府は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とともに、アフガニスタン難民のアフガニスタンへの帰還事業を促進すると発表しました。

 

パキスタンはソ連のアフガン侵攻時にアフガン難民を歓迎していました。

パキスタンのパシュトゥーン人との混在を政府も奨励し、また人々も馴染んでいました。

アフガニスタンの共産主義に対抗するためにイスラムの団結で向かいました。

 

パシュトゥーン人の人口を利用してアフガンへの影響力を高められること、難民が入ることで、パキスタン内でのパシュトゥーン人の分離独立運動を鎮めること、これらをパキスタン政府が狙ったと思う人も多いです。

 

しかし、9.11テロ事件のあと歓迎ムードが一変します。

パキスタン国内に反パキスタン版のタリバン(パシュトゥーン人が多い)が生まれ、パキスタン人に疑心暗鬼を生じさせます。

 

それからパキスタン政府はアフガン難民を祖国へ帰そうとするようになりましたが、強制でもなく期限もありませんでした。

ところが2015年12月突如として、パキスタン政府は6ヶ月の期限を設けてきました。

 

その後延長が何度かあり、今回今年中に出ていくように通達を出しました。(その後2017年3月に伸びています。

すでに国境の一部の道路を封鎖して、正式な書類(パスポートなど)を持たない者を取り締まっています。

 

また、帰還期限が過ぎたら、不法滞在者には何らかの行動をとると警告しています。

 

UNHCRからの一人当たり200ドルの帰還金が400ドルに引き上げられました。

アフガニスタン政府は帰還者に対して住む土地や生活に必要な物資の提供を約束しています。

 

今年自主的にすでに10万人の難民が母国へ帰還しています。

今かなりの人数が殺到していて、路上で何日も順番待ちをしている難民たちもいます。

 

 

(BBCが)取材をした難民によると、アフガン人を嫌う「アフガノフォビア」が今パキスタン高まっています。

2014年12月にペシャワールの軍人学校が襲撃されてから、警官によるアフガン難民への嫌がらせや、メディアによるアフガニスタン人へのヘイトが増えたということです。

 

Pakistan Expels 3 Million Afghan “Refugees” 

SEPTEMBER 9, 2016 TE|HE NEW OBSERVER

 

The reverse exodus of Pakistan's Afghan refugees

28 August 2016 BBC

 

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UNHCRもアフガニスタンへの帰還を認めているのですから、アフガニスタン人難民申請者は経済移民です。難民申請の資格がないなら、普通にビザを取って外国へ出かけなくてはいけません。

 

パキスタンのアフガニスタン難民送還はケニアのソマリア人難民送還と同様、ニュースにならないようですが、どうしてでしょうね?

難民大好き多文化主義者にとって隠したい事実だからでしょうか?

 

 

パキスタン人はテロの脅威からアフガン難民を敵視しだしたのです。

私たち西側諸国が、テロの脅威からイスラム教徒を恐れているのと全く同じ理由です。

イスラム教徒みんながテロリストでないように、アフガニスタン人みんなもテロリストであるわけないのです。

 

パキスタンとアフガニスタン難民(移民)が40年近く共生できたのは、同じ民族がいて、同じシステム(社会・政治・宗教・文化など生活をする基礎体制)を共有できたことが大きいと思います。

それでもこうなりました。

 

このように親和性の高いところでも移民は軋轢を持ち込むのです。

 

国は家です。(リブログしていただいた記事で恐縮ですが、くらえもんの気ままに独り言さまが、わかりやすく解説してくださっています。ありがとう

 

家の中にいても外出中のような緊張感を持ち続けることを強いられるのが移民政策です。

 

「みんな難民を受け入れている」 「移民国家が当たり前」 そういうプロパガンダには、「みんな」が誰なのか? 「当たり前」とはどこの国で当たり前なのか?自分でよく考えましょう。