3回連続のODA関連記事となりました。

政府はアフリカで存在感を増す中国に対抗するために、アフリカに3年間で1兆円のODAを検討と言っています。(前々回に報道記事があります)

そもそも中国と競争できるのでしょうか?金額のことではありません。
中国はOECDに加盟しておらず、そのため、当然ですがDACの縛りもありません。
飯野光浩氏という研究者が昨年、「アジア低所得国における中国の存在感と日本の ODA」というレポートを公表されています。ぜひお読みいただきたいのですが、そこから少し紹介させていただきます。

中国の援助の特徴は以下の通りです。
中国の対外援助に関する詳細なデータが公表されず、不透明である。
  それは OECD-DAC
の加盟国ではないからである。
推計によると、中国の援助額は、一般的に思われているほど、大きくない。
③援助方式として、ワンセットになったプロジェクト※1)が主流である。
④中国の援助はひもつき※である。
ー中国の援助理念についてー
⑤平等互恵と共同発展※3)
⑥被援助国の自主発展能力向上の支援※5)
援助の供与に際しては、内政不干渉を原則※4)とする。

※1)中国側がプロジェクトの考察、実施調査、設計と施行のプロセスを担当し、設備と建築材料を提供し、技術者や労働者を派遣し、施行するものである。つまり、中国が自国から被援助国である途上国へ資材料のみならず、労働者も送り、道路、港湾、空港、建築物などのインフラを作り、完成後に引き渡すというものである。

※2)援助の世界ではアンタイドが主流であるときに、中国の援助はタイドであり、先進国と異にしている。

※3)欧米 DAC諸国のような先進国から途上国への資金援助・移転、いわゆる施しではなく、援助国と被援助国の両方がプラスの効果を享受するウィン・ウィンの共同発展を援助の理念として取り入れている。この援助理念から導き出される実際の援助として形に表れているのが、先に述べたワンセットになったプロジェクトであり、援助のタイド化というものである。

※4)内政不干渉の原則というものであり、この原則にしたがって、中国は独裁体制や軍事政権など欧米諸国の観点からみれば民主的ではない問題のある政府にも積極的に援助している。この理念は、欧米 DAC 諸国とはとうてい相容れない。それらの国々は援助の有効活用という視点から、被援助国に汚職の撲滅や政治プロセスにおける透明性の確保などのいわゆる民主的プロセスの進展を援助資金提供の条件としているからである。

※5)一国の発展は自らの力に頼るものであるというのが中国の考えである。この自主発展能力の向上の具体的な支援策が、道路、鉄道、空港、港湾、各種施設などの経済インフラを整備することである。この援助理念も欧米 DAC 諸国とは一線を画すものである。

最後の行にある欧米諸国の理念というのはミレニアム開発目標(MDGs)に集約されています。
8つのゴールが設定されていますが、それは以下の通りです。
①極度の貧困と飢餓の撲滅
②初等教育の完全普及の達成
③ジェンダー平等推進と女性の地位向上
④乳幼児死亡率の削減
⑤妊産婦の健康の改善
⑥MIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
⑦環境の持続可能性確保
⑧開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

これらを見ると、中国の援助理念とは全く違います。
日本も当然ながらこの8つがゴールという陣営に属しています。

しかし、面白いことに2010年時点での援助内訳をみると、
DAC平均:社会インフラが37.5%経済インフラが17.2%
中国:経済インフラ40%
日本:社会インフラが22.5%経済インフラが48.0%で、日本の実情はDACよりも中国に近いのです。
 (社会インフラ=教育、保健、衛生など  経済インフラ=輸送、通信、電力など)
ー『2012 年版 ODA 白書』ー

飯野氏のレポートはアジアの低所得国(ベトナム、ラオス、カンボジア)への援助についてみているものですが、そこで日本と中国の共通点を2つあげていました。
1つ目は両国ともODA全体のうちアジアに占める割合が高いということ、日本は5割弱、中国が4割弱です。
2つ目が、支援分野として経済インフラを重視していることです。

だから今度はアフリカで競争しようというのでしょうか?でも無理でしょう。
アフリカのように汚職が蔓延している地域では中国式が歓迎されます。
アジアも汚職が蔓延していますが、中国が経済大国になったのは最近で、それまでは(今でもですが)中国も日本のODAを同じように受け取っていた立場であり、DAC側からしかまともな支援を受け取れませんでした。

中国が援助国となったことから、「内政干渉のように民主化を迫る西側の援助はいらない、それなら中国に援助してもらう」という途上国が出るようになりました。
すると日本は勝つために、非民主的な政権にも国民の血税をつぎ込むことになります。
それができないなら中途半端に首を突っ込んでも損するだけに終わります。

日本のODAを中国が受注しているような状態で、非民主的な国へは全部中国、それ以外でもアンタイド案件で中国に仕事をくれてやるんでしょうか?
中国がますます仕事を増やすだけとなる可能性もあります。
日本が「崇高な理念」に基づいて行ったODAのおかげで環境が整い、その後中国韓国がやってきて荒らしまわる(不動産投資などで儲ける)というのはよくある現象です。中韓のために下準備をしてやっているみたいですね。ばかぁ

途上国も狡猾ですよ。
ODAをやりたがっている日本の足元を見て、無理難題を吹き掛けてきています。そして難色を示すと「ならば、中国に頼むよ!」と言います。日本が中国と張り合っているのを知っているからです。
中国に頼むと建造物は壊れたり、環境は破壊するし、地元住民と軋轢を起こしたりと、ろくなことがないのはわかっているのですが、そういうところもまた自分たちの政権と波長が合うので、それほどマイナスにならないのです。ふーん

中国と競争してODAを増やすなんてことを言うと、日本が途上国に頭を下げて、日本人の血税をもらってくださいとお願いしまくらないといけないのです。今はそういう時代なのです。
「交換に我が国の人材を日本で働かせてほしい。ビザ緩和して!」なんていうものあるかもしれませんね。
それでも何かの時に日本に票を入れてくれる?
中国が反対しなければ入れてくれるでしょう。反対したら入れてくれません。中国が怖いからです。rabbit*ハァ*
無駄な競争と無駄遣いはやめてほしいと思います。

そして、韓国について少々。
韓国はOECD加盟国でDACの加盟国でもありますが、日本と違いアンタイド化勧告なんてどこ吹く風です。
2012年のDACのレポートがあります。見やすい表を貼り付けますが、韓国は紐付きが多いのです。

アンタイド表


日本のJICAと韓国のKOICAは定期的に情報交換をしていますが、同じ援助国に対して、韓国は全件タイド案件、日本はほとんどがアンタイド案件というところがあります。
そういうところで、いったい何の情報交換でしょうか?
そこでは、日本企業は韓国のODAに応札できませんが、韓国企業は日本のODAに応札できますから、日本の情報でも流すんでしょうか?

韓国がアンフェアなのはスポーツや政治だけではなくて、ぜーんぶなんです!punpun#*
もっとも、こんな国と「協力ヘラヘラしている国が馬鹿なだけなんですけどね。

「国際ルール」とやらを馬鹿正直に守り、
「国際ルール」にそもそも入っていない中国と競争し、
「国際ルール」を無視する韓国と協力する日本、
どうしたんでしょう?情けなくなりますね。
泣く