(※画像はメーカーさんのHPから拝借しますた)
そのアクセサリーショップには、商品がひとつもない。
一坪ほどの狭い店内には、机があり、その上には、ARのゴーグルのようなものが三脚に乗っていて、その前には何やら回転台と思しき丸い台がある。
あとは、ノートパソコンが一台あるだけだ。
昔からのジュエリーショップによくありがちな、オーダーメイド、リフォームを承ります。とは書いてあっても、そういえばこういうの昔流行ったな。…というような懐かしいデザインのジュエリーがショーケースの中で日に焼けていて、なかなか年季が入った雰囲気を醸し出している。
こういうお店ではちょっとオーダーメイドやリフォームを頼もうにもいささか、センスが疑われるのに比べれば遥かに潔い。(笑)
おや、お客さんがやってきた。…
なんでも形見にもらったエメラルドの指輪をリフォームしたいということらしい。
アクセサリーショップの店主は手際よく指輪の台からエメラルドを取り外すと、例の回転台の上に粘土のようなものを張り付け、その上にエメラルドを固定すると、パソコンのボタンを押した。
すると、回転台がくるくる回りだし、ARのゴーグルのようなものからディスコのミラーボールが反射したみたいな、細かい市松模様のフラッシュが点滅を始めた。
ものの一分もたたないうちに、フラッシュの点滅は消え、店主はごそごそとパソコンを弄っている。
しばらくして、パソコンをお客さんのほうに方向を変えると、すでに石枠の部分が出来ている。
「指輪にしますか、ペンダントにしますか?それとも帯留めとか。…」
客の女性は、「指輪がいいです。」といって、希望するデザインのイメージを説明すると、「わかりました。二、三時間後にはデザインスケッチを提案できると思うので、またいらしてください。」といわれたので、お店の周りを少し時間をかけるようにぐるぐる見回して、おしゃれな喫茶店を見つけたので、パンケーキとアイスカフェラテを注文した。
二時間半ほど経過したのでお店に戻ってみると、店主がパソコンを彼女のほうに向けた。
出来上がったリングデザインの3D画像を見ると彼女は、「だいたい、イメージ通りです。ただもう少しウデは細い方がいいかな。」というと、店主はその場でパソコンを操作してウデの部分を細くすると、「これくらいですか。」と聞いたので、彼女は、「そうですね、もうちょっと細く。…かな。」と、こんな感じでオーダーは完了した。
今回は多少、お金がかかってもいいからとにかく良いものをということで、仕上げと石留めは知り合いの腕利きの職人さんに依頼してくれるということで、2週間くらいかかるということだった。
値段は、…きっと、とてもリーズナブルだったと思いますです。(笑)
このお店の凄いのはジュエリーだけではなく、ラフにつけられるアクセサリーもデザイン・アイディアを3Dデータ化してくれることで、その場合はデータ作成料だけ払ってデータを受け取り、あとはD○○の造型サービスに自分で注文できることである。
D○○の造型サービスでは、
石膏フルカラー
フルカラープラスチック
ガラス
アクリル(Ultra Mode) / アクリル(Xtreme Mode)
クリアアクリル/マルチマテリアル/Agilusゴム
ナイロン / ガラスビーズ強化ナイロン / PPS
光造形樹脂
チタン / マルエージング鋼 / インコネル / アルミ
シルバー / ゴールド / プラチナ / 真鍮
スチール
64チタン
ステンレス(SUS316L)
PA12(MJF)
アルマイド
AGILISTA
などたくさんの中から、好きな素材が選べて、色や質感が気にいらなかったら、データがあるので何度でも作り直すことができるのだ。
もちろん、違う素材や違う色でバリエーション的に楽しむこともできる。
それもかなりリーズナブルな料金で、価格が注文時にわかるのもすごくいい。
これで、自分オリジナルのデザイン(雑誌を見て気に入ったデザインをちょこっとアレンジしただけだけどね(笑))を身に着けられるし、これってひょっとして、私もデザイナーの仲間入り?(笑)
…みたいな冗談のようなことが、その気になれば普通に実現可能なのである。
おそろしい世の中になったものだ。…(笑)