よく、初心者向けのジュエリー用ライノ・プラグインを説明するのに、「ライノセラスの難しいところを感じさせず、誰でも使えるように」みたいな記述を目にしたことがあるが。…
ぶっちゃけ、「エヴァンス」はその逆のスタンスである。
なぜなら、ライノの真の姿を知らずに、うわべだけのオペレーションでは、すぐに壁にぶち当たり、そして、その壁を超えることができないからである。
思い当たる人も多いと思う。
特にわかっていない人が多いのがサーフェスのトリムという概念である。
ライノの押し出しコマンドで円柱を作って、エヴァンスの「Brepをアナライズ」コマンドをかけてみるとわかるがライノのキャップというのは四角いサーフェスでとりあえず蓋をして余分な部分をトリムして残りの部分をジョインしているということがわかるだろう。
それなので、平面でなくてはこのコマンドは機能しないわけであるのだ。
流石に初心者でも、こんな連続性のないものが元のサーフェスにマージできるわけがないことは、直感的に理解できると思う。
じつはこの、「トリム」というのが曲者で、「トリム」といった瞬間にキミは騙されている。(笑)
そう、とりあえずなかったことにしようという意味で、実は在るのだ。
ライノのサーフェスおよびポリサーフェスを"Brep"という呼び方をするのを見たり聞いたりしたことがあるかもしれないが、これは、"Boundary Representation"の略である。
意味はそのまま、サーフェス上に境界線を引いて、その中だけ存在することにしようという概念である。
これがあるので、本来は四角いサーフェスであるライノのサーフェスにもかかわらず、ギザギザの形状とか楽に表現できる素晴らしいギミックである。
天才的なアイディアなのだが、これが初心者にライノを難解なものにしている。
トリムされたサーフェスだと本当のサーフェスのエッジがそこにはないため、「サーフェスをマージ」ほか、「サーフェスをマッチング」などのコマンドは使えないので、初心者はなぜできないのか戸惑うこととなる。
さて、ライノのキャップに対して、エヴァンスには、エヴァンス・キャップというコマンドが用意されている。
これはただ、そこが平面でなくてもキャップできるというだけではなく、ベースの曲線がトリムされていないサーフェスのエッジであれば、元のサーフェスとジョインはもちろん、マージもできるように元のサーフェスとのマッチングを考えた性質で作成されるという優れものである。
さらに、新バージョンのエヴァンスでは、ベースのオブジェクトがサーフェスでなくポリサーフェスであっても、元のポリサーフェスを形状はそのままにサーフェス化してしまうという、驚異のコマンドが搭載されているので、無理やりにでもマージできる。(笑)
では、もし、ポリサーフェスのトリムされたボーダー部分にキャップをマージしたい時はどうするかって?
アイソパラム線でトリムされていればシュリンクすれば済む話だが、もちろんそうではないケースだよね。
なかなかいいところを突いてくるね。…
キミにしては上出来だ。(笑)
そんな場合でも最新のエヴァンスと、ちょっと頭を使えば、乗り越える技はいくらでもあるのだよ。
ワタシなら、あっっっ❗️という間にやってみせる。(笑)
オペレーション能力とは困難に直面したときの引き出しの数の多さのことである。
ジョインよりマージのメリット?
そんなこともわからないのか。…(笑)
ポリサーフェスはコントロールポイントが出ないが、サーフェスならコントロールポイントが付くのである。
これらコントロールポイントを一括して制御するコマンドというのは、ライノではそういう使い方(オーガニックモデリングというらしい)をあまり想定していないらしく非常にプアーだが、かわりにエヴァンスにはいろいろなコマンド群が搭載されている。
まあ超高性能プラグインの現在のエヴァンスを使いこなすには、ライノの構造的な基本をきちんと押さえていくのが不可欠で、別にエヴァンスでなくても、これがちゃんとわかっていないといくらやっていても、それ以上上手くならないのである。
だから、いつまでたっても、基本ができていないとヘタクソなままなのだ。(笑)
マージとジョインの違いが判らないとか、基本中の基本である。