5時半になって夕食が出された。やや塩味のきつい料理である。食べ始めてしばらくして、同じテーブルの隣り合わせに座った女性の一人がお茶をぶちまけてしまった。恐縮して困惑しているところを、kさんがすかさず厨房に向かって

「すみません、台拭きを下さい。」

と声を掛け、直ぐにテーブルはきれいに拭き清められた。

そんな様子を見ていてか、しばらくして傍らの女性から声が掛かり、食事の後に山の話をしたいとの申し出があった。聞くところでは女性4人のグループは一緒に山登りを始めたのは最近で、登山歴も夫々違うとのことであった。ただリーダーと思しき人は若い頃に始めて途中中断し、10年位前にまた再開していて、かなりの山の経験がありそうだった。僕だけだと気圧されてしまっただろうが、さすがにKさんの山の経験は豊富で深く、皆は彼の話を頷きながら信頼の眼差しで聞いてくれるのであった。

夕食後再び外に出て、暮れ行く周囲の様子を見守った。陽が落ちて急速に気温が下がって寒くなり、我々は部屋に戻った。夕食後に飲んだわずかのビールが効いてきた様である。寝具を整えトイレを済ませ、明日は宝剣岳でご来光を拝むことを約束して床に就き、寝入った。夜中に一度トイレに起き、外はかなり寒かったが中に入るとそれ程でもなく、すぐにまた寝入ってしまった。