副腎転移巣手術の3年後くらいに、肝移植の講義を受けたことがあります。
副腎転移巣の執刀をしていただいたM先生に講師をしていただきました。
僕は普段、タクシードライバーをしています。
がんになって働き先を何とか探して、今の会社にお世話になりました。
とても感謝しています。
ある日、仙台市の中央から少しはずれた場所を走行中に、道端で手をあげてくれたお客様がいらっしゃったのですが、なんとM先生でした。
知人の方とご一緒でしたので、お声がけするのは控えることにしました。
マスクをしていたこともあって、残念ながら僕のことには気がついてくれなかったのですが、まぁしょうがないです。
突然の偶然にびっくりしていたのです。
それから1週間後くらいが、病院での診察日でした。
検査の結果も良好で、胸を撫で下ろしていると、主治医が僕にこう言ったのです。
『急なのですが今日の夕方、肝移植の勉強会があるのですが、お時間あれば参加してみませんか?』
そう言って資料を手渡してくれました。
(えっ 当日かい⁉︎)
おっと なんと講師がM先生でした。
これはもう出席しろと言うメッセージですよね。
100%そう思いました。
そして、副腎転移巣手術以来3年振りにお会いできたのです。
正確には1週間振りですね。
健康な人から肝臓の一部を取り出し臓器を受け取る患者(レシピエント)に移植するものです。
生体ドナーからの肝移植は、1988年に世界での第1例目が行われました。
この移植手術の特異な点は、脳死患者からの臓器提供ではなく、健康な人からの臓器提供であることです。
生体ドナーからの肝移植は、1988年に世界での第1例目が行われました。
国内では1989年から始められ、その後実施症例ならびに実施施設の数は増加し、2019年に肝移植総数が9,000件を越え、約90%以上が生体肝移植のようです。
僕のお世話になっているこちらの病院では、1991年7月に東日本初の生体部分肝移植を成功させて以来、生体肝移植はおよそ210人以上に、脳死肝移植は7人に施行しておるようです。
(2021年度末現在)
僕は肝癌切除手術をした当時、肝不全から肝移植をしなければならない状態になりうる可能性があったわけで、なんとか肝臓が持ち堪えてくれたのは、本当に助かりました。
中学生だった長男が、
『俺の肝臓、父さんにやるよ』
(生体肝移植のドナーは、成人であることが原則です)
咄嗟に出たであろうこの言葉は、生涯脳裏から離れることはないと思います。
その長男も昨年度大学を卒業して、中学校の英語教師になりました。
時の経つのは早いものです。
日本と米国では、肝移植数(n=件数)そのものに大差があり、生体移植と脳死移植の割合は全く反対です。
死後に臓器を提供したいという人(ドナー)や、 その家族の意思を活かし、 臓器提供を希望される方が極端に少ない国が日本です。
よって、脳死移植の割合がとても少ないのです。
この勉強会でM先生が、1番知ってほしい、1度考えてみてほしいと思う項目が、ドナーについてだったのだと思います。
日本における肝移植後の患者生存率
2019年末の集計では、国内で脳死肝移植を受けた595名の方々の累積生存率は1年89%、3年86%、5年83%、10年75%、15年64%です。
一方、生体肝移植後の累積生存率は、9.443名の方々で、1年85%、3年82%、5年79%、10年74%、15年69%です。
脳死移植と生体移植の差はありません(2019年末集計)。
現在国内で臓器移植を待っている人は約15,000人いらっしゃるようです。
ですが、移植を受けられる人は、今はまだ、わずか2%。
講義の最中にM先生が仰いました。
『僕は、臓器提供のドナー登録をしています。
突然死んだら、意思表示できないですから(笑)
誰かが助かったら、嬉しいじゃないですか。
(笑顔)』
当時の資料を読み返して記事を書いてみたのですが、講義中の先生のお話し、実はこのセリフしか覚えてないんです。。。
『たくさんの方に知ってほしいから、
これだけは、忘れないでね。』
このような、メッセージだったのかなぁと思います。





