肝癌が副腎に遠隔転移した当時、無治療を決めたことには理由があります。
①抗がん剤治療では免疫力が低下して寿命が縮まると思ったから。
②摘出手術は後遺症が大きくて、当時の体調ではすぐにまた再発すると思ったから。
この二つの理由はこれまでもお話しさせていただきましたが、もうひとつ大きな理由があります。
それは今の総合病院で、どうしても治療を続けていきたいと願っていたからです。
ですから、自由診療はできないと思っていました。
がんの標準治療ではない自由診療のクリニックは、結構ありますよね。
保険が適用されていないので、費用は高額な治療が多いと思います。
がんが治ることもあれば、治らない人も多くいらっしゃいます。
一か八かではないですが、高額な医療費を支払ってまで治療を試してみようとは、あまり考えてはいませんでした。
また、僕がクリニックへ自由診療を試しに行った時点で、当時の主治医からは見放されていたと思います。
それは、主治医が信念を持って化学療法を勧めてくれていたことを僕は理解していたからです。
真摯な姿勢の主治医にとって、僕が得体の知れない治療法を選んだ時点でアウトです。
もう、まともに僕の面倒を見てはくれなかったと思います。
まぁ当然ですよね。
ですが僕には、S先生に転移巣の手術をしていただく最終目標があったので、どうしてもこの病院を離れたくはなかったのです。(※結果的にはM先生に執刀していただきました)
ですので、総合病院からクリニックへ移る(通う)選択肢は、始めから無理だったのです。
僕は主治医に了承をもらって、セカンドオピニオンの診察を受けました。
そうは言っても、病院内での全く別の科(腎症・副腎等の内分泌科)の診察をしていただいただけです。
こちらの先生もまりさんに紹介してもらいました。
主治医にとっては面白くなかったと思いますが、結局は主治医のもとに戻していただきました。
主治医の方がまだ相性が合うと確信できたからです。
結果的にこの診察はとても効果の高いものになりました。
僕が無治療の経過観察を希望していることを主治医に手紙を書いてくれたのです。
そして、化学療法を丁重にお断りさせてもらい、その代わりの自由診療も行わずに無治療を選択しました。
このまま経過観察の為に、こちらの科に籍を置いてもらうお許しをいただいたのです。
ここが双方のぎりぎり譲歩ラインだったと思っています。
僕の主治医のような真面目で一本筋の通ったような医師にとって、患者が自由診療を選択することは、ある意味では危険です。
見放される場合も普通に起こり得ると思いますので、治療方針は慎重に選択するべきかと思います。
がんという病気は、身体の状態がいつどのように変化するのか分かりません。
ですので、僕はがんの治療は総合病院で受けるべきではないかと考えています。
治療方針が変わったとしても、院内の医師同士で連携を取ってもらえるので、治療をスムーズに取り行ってもらえます。
このように考えると、僕が無治療を選択することは必然と決まっていたようにも思います。
結果的には一番良い選択ができました。
僕は始めから無治療を希望していた訳ではなくて、出来ることなら自分が良いと思う治療を試したいと思っていました。
そして、とても臆病者なので、何かの治療をしなければならないと、いつも不安に駆られていました。
ですが、全てにおいて博打を打つことが出来ないまま、時間だけが経過して無治療になってしまったということです。
臆病者故に、何もすることができなかったということが本当の心理なのです。


