「 ソニーEV向け電池業界へ参入」 7月12日、株式会社ソニー(以下ソニー)は、これまで培ってきた独自技術で正極材にオリビン型リン酸鉄を使用した「オリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池」を開発した、そして同蓄電池でEV向けの電池業界に参入する方針を明らかにした。
この日は同蓄電池ビジネスの事業説明会が本宮事業所(福島県)で行われ、その中で明らかにしたものだ。
今後ソニーは、400億円市場規模での大幅な需要が見込めるEV向け電池でのシェア拡大を目指してゆく。
「マルチ蓄電モジュール」 ソニーの同電池を使用し製品化した蓄電モジュール「IJ1001M(容量:1.2kWh、公称電圧:51.2V)」は集合住宅やオフィス、学校などに向けて電源システムを組む業者やサーバー管理を対象としたユーザーを想定しており、この蓄電モジュールは、すでに今年4月より出荷が開始されている。
オリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池の性能は、長寿命(期待寿命10年以上)、高性能が特徴で、1時間で90%以上の充電が可能なため充電ステーションなどの急速充電や高出力装置の対応が可能となりEVにも十分利用ができる。
また、モジュール同士を直列や並列の複数接続で組み合わせることで、電圧や容量をカスタマイズする事が可能で、とても幅広い用途へ容易に対応することができる。現在、東日本大震災の影響での計画停電時に、全国各地の交差点で死亡事故等が発生していることから、同蓄電池モジュールを信号機へ設置することなども検討されているという。

「高安全性を優先し開発」 すでに市場へ投入されている「日産リーフ」や、三菱自動車の「i-MiEV」などの量産型EVには、ほぼマンガン系のリチウムイオン電池が搭載されているが、今回ソニーが開発したオリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池は、特に安全性に優れているようだ。
ソニーは2006年にパソコン用のバッテリーから発熱・発火の恐れがあるとして大規模な自主回収を行った経緯があり、再発を懸念した結果、それらのリスクを取り除き安全に使用できるオリビン型リン酸鉄を使用した電極を開発したという。
そのため交換サイクルを大幅に延ばすことにも成功している。またこの電極の材料に資源豊富で入手が容易なリン酸鉄リチウムを使用することで、希少なレアメタルを必要とせず、製造競争の面からもソニーは大きな可能性秘めた蓄電池でのEV業界参入となった。
現時点では特定の自動車メーカーとは組まず、国内外の複数の自動車メーカーと交渉を進めているという。