2004年に厚生労働省は「百年安心プラン」という言葉で、年金の改正案を出した。
その時の試算では、厚生年金は2040年頃、国民年金は2035年頃まで増え続け、その後減少に転じることになるが、2100年まで緩やかな減少を続け、財源の枯渇が心配いらないということになっていた。
この試算には前提がある。
前記事で出した「「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~ 」 では、"この前提があるから"大丈夫だとしていたのだ。
その試算とは、
・合計特殊出生率は2050年頃には1.39で設定。
・平均寿命は50年に男性87歳、女性92歳と設定。
・賃金上昇率は2.5%に設定。
・国庫負担を3分の1から、2分の1に引き上げる。
・所得代替率(その時代の働いている人の、もらう給料と比較した年金のもらえる額)は50%を下回らない。
・5年ごとに制度が見直される
対して、鈴木氏はその前提が間違っていると主張している。
年金は本当にもらえるのか? (ちくま新書)
重要な点を列挙。
・「マクロ経済スライド」は、デフレでも年金額が減らないこと
当時の厚生大臣だった坂口力は、「これは、賃金や物価が上昇するときには年金給付額を上げる一方、物価が下がったり賃金が下がった場合は給付額を下げる仕組み。(坂口力・元厚労相、「2004年法改正で、年金崩壊の不安はなくなった」) 」と「物価スライド」と混同した説明をしている。実際には物価と連動せず、デフレの状態では年金給付が下がることがない。公明党が、「年金支給額は下げない」というのを条件としていたからだ。
・厚生労働省の試算では年金の運用利回りは年4.1%になっていること
これはかなり高く見積もっており、鈴木氏はとりあえずの数字として長期国債の2.1%として試算している。
アメリカ国債もポートフォリオに入っているだろうし、私としてはそこまで低くないだろうと思っているが。
また賃金上昇率も2.5%はありえないとして1.5%にして、「マイナスもあり得る」としている。
・積立金が想定外の早さで無くなってきている
「この数年、ずっと積立金は毎年5兆円から6兆円ずつ取り崩されている状況であり、今年度はなんと9兆円もの積立金が取り崩される。この内訳は、国庫負担率引き上げ分の3兆円に加えて、マクロ経済スライドが発動できないことや保険料収入が低いことなどによる計画外の6兆円の取り崩し額が発生していることによる。100年安心プランでは、本来、この時期には積立金が積み上がっているはずであるにもかかわらずである。」
国庫負担率を2分の1にした影響で、その分の差額はこの間ずっと積立金から取り崩されているらしい。今度の消費税増税によって賄うということなので、導入の2014年までこの取り崩しは続くことが確定している。
今年度末に112.9兆円ということは、同じく2014年の見直しの時には100兆円を切っているのではないか。
「百年安心プラン」で厚生年金の積立金が100兆円を切る想定はいつか。
2045年近辺。
つまり、30年早く減ることになる。
実際に金利が想定通りになったとしても、金利のもとである積立金が3分の2、ないし5分の4も減っていたらその分金利収入は低くなる。それだけ今後の積立金の減り方に加速がでるということだ。
今度の見直しでは、ニュースでこんな見出しが出るのではないか。
「年金百年安心プラン、10年で撤回」
・「現実的な想定」で厚生年金積立金は2033年度、国民年金積立金は2037年度に枯渇することになる
まあ、普通は枯渇するまえに何らかの対策が取られるわけで、こんどの見直しでデフレ対応とか給付見直しはされるだろう。
実際的には、「年金は破綻するか」というより「どれくらい負担が増えるか」という問題になるようだ。
そう、年金は破綻しない。そうならないように給付を減らしたり、私たちの負担を増やせばなんとでもなるからだ。
世代間格差と日本のお財布事情も問題にならないのか。
次の記事で書く。
その時の試算では、厚生年金は2040年頃、国民年金は2035年頃まで増え続け、その後減少に転じることになるが、2100年まで緩やかな減少を続け、財源の枯渇が心配いらないということになっていた。
この試算には前提がある。
前記事で出した「「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~ 」 では、"この前提があるから"大丈夫だとしていたのだ。
その試算とは、
・合計特殊出生率は2050年頃には1.39で設定。
・平均寿命は50年に男性87歳、女性92歳と設定。
・賃金上昇率は2.5%に設定。
・国庫負担を3分の1から、2分の1に引き上げる。
・所得代替率(その時代の働いている人の、もらう給料と比較した年金のもらえる額)は50%を下回らない。
・5年ごとに制度が見直される
対して、鈴木氏はその前提が間違っていると主張している。
22年後に迫る公的年金の積立金枯渇
これの詳細がのっているのがこの本っぽい。
年金は本当にもらえるのか? (ちくま新書)
重要な点を列挙。
・「マクロ経済スライド」は、デフレでも年金額が減らないこと
当時の厚生大臣だった坂口力は、「これは、賃金や物価が上昇するときには年金給付額を上げる一方、物価が下がったり賃金が下がった場合は給付額を下げる仕組み。(坂口力・元厚労相、「2004年法改正で、年金崩壊の不安はなくなった」) 」と「物価スライド」と混同した説明をしている。実際には物価と連動せず、デフレの状態では年金給付が下がることがない。公明党が、「年金支給額は下げない」というのを条件としていたからだ。
・厚生労働省の試算では年金の運用利回りは年4.1%になっていること
これはかなり高く見積もっており、鈴木氏はとりあえずの数字として長期国債の2.1%として試算している。
アメリカ国債もポートフォリオに入っているだろうし、私としてはそこまで低くないだろうと思っているが。
また賃金上昇率も2.5%はありえないとして1.5%にして、「マイナスもあり得る」としている。
・積立金が想定外の早さで無くなってきている
「この数年、ずっと積立金は毎年5兆円から6兆円ずつ取り崩されている状況であり、今年度はなんと9兆円もの積立金が取り崩される。この内訳は、国庫負担率引き上げ分の3兆円に加えて、マクロ経済スライドが発動できないことや保険料収入が低いことなどによる計画外の6兆円の取り崩し額が発生していることによる。100年安心プランでは、本来、この時期には積立金が積み上がっているはずであるにもかかわらずである。」
国庫負担率を2分の1にした影響で、その分の差額はこの間ずっと積立金から取り崩されているらしい。今度の消費税増税によって賄うということなので、導入の2014年までこの取り崩しは続くことが確定している。
今年度末に112.9兆円ということは、同じく2014年の見直しの時には100兆円を切っているのではないか。
「百年安心プラン」で厚生年金の積立金が100兆円を切る想定はいつか。
2045年近辺。
つまり、30年早く減ることになる。
実際に金利が想定通りになったとしても、金利のもとである積立金が3分の2、ないし5分の4も減っていたらその分金利収入は低くなる。それだけ今後の積立金の減り方に加速がでるということだ。
今度の見直しでは、ニュースでこんな見出しが出るのではないか。
「年金百年安心プラン、10年で撤回」
・「現実的な想定」で厚生年金積立金は2033年度、国民年金積立金は2037年度に枯渇することになる
まあ、普通は枯渇するまえに何らかの対策が取られるわけで、こんどの見直しでデフレ対応とか給付見直しはされるだろう。
実際的には、「年金は破綻するか」というより「どれくらい負担が増えるか」という問題になるようだ。
そう、年金は破綻しない。そうならないように給付を減らしたり、私たちの負担を増やせばなんとでもなるからだ。
世代間格差と日本のお財布事情も問題にならないのか。
次の記事で書く。