話の続き、という感じで。
じつは、自給率の高い各国でも、輸入は盛んです。
『日本は世界5位の農業大国』では、「世界一の小麦輸入大国は、何とパスタの国イタリアである。~飼料用小麦が含まれているとはいえ、日本より200万トンも多い700万トン強を輸入している。~日本でいえば、コメを全量輸入しているような増え方だ。小麦の大生産国である米国までもが200万トンも輸入している。~イタリアは、大量に輸入した小麦をパスタや菓子などに加工し、大量に輸出している。事実、世界の農産物流通のうち、七割は加工食品であり、そのまま売られているのはごく一部でしかない。このことからも、『安い原料を輸入すれば国内農業が壊滅し、自給率が下がる』との議論は必ずしも成立しないことが分かるだろう」と述べています。
世界の小麦(生産量、輸出量、輸入量の推移)
こちらのサイトでは、FAOではなく、USDAのデータだからなのか、年が同じでもエジプト、もしくはブラジルが一位になってるっぽいですね。
オランダなどは、上の本では約1660万人でも、輸入額が世界7位で、それは原材料を海外から輸入し、国内で加工して、輸出しているからだとしています。
関係ないですが、この本、「日本は世界一の食料輸入国ではない」としているんですが、同じ年のFAOstat調べたんですが、同じ数字が出てこないんですよね・・・。出来るならソースをもうちょっと具体的に書いてほしかったです。私がバカなだけかもしれないですが。
あと、「世界一の輸入国であるというのはウソ」と本では言われていますが、農水省はじめ、そんなことは言ってないんです。
というのは、日本は世界一の「純」輸入国だからです。
つまり、最大の輸入国というわけではなくとも、外国のように輸出をほとんどしていないので、「入ってくる量」という意味での最大輸入国なんですね。
多くの輸出国で、品目別では穀物によって自給率が押し上げられています。
「有事に必要なのは健康に役立つ栄養素ではなくカロリー」であるという論理から、農水省はカロリーベース自給率を独り計算しています。
しかし、穀物だけで今の時代を考えるべきなのでしょうか。
「日本への輸入が途絶えた場合」というテレビ番組の企画を見たことはないでしょうか?

http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h19/pdf/g_2-1.pdf
一日あたり2020キロカロリーの供給が可能であるとしてどんな食事になるかを想定したものです。
このなかでは、朝食に茶碗一杯のご飯、ぬか漬け、粉ふきいも。昼食に蒸かし芋、焼き芋二本、リンゴ4分の1。夕食に茶碗1杯のご飯、焼き芋、焼き魚1切れ。
ひどい内容の食事になることは確かですが、これの実現可能性に加えて、疑問が一つあります。
「肉類や野菜から、いも類等の熱量効率の高い作物に生産転換することで、~供給が可能であると試算されています」と書いてあります。
つまりこんな事態に陥った場合、肉や野菜はほとんど作られないことを想定しているのです。
そりゃあ、そんな事態になったら、肉や野菜はつくられないでしょう。
想定自体は正しいです。
しかし、それならばなぜカロリーベース自給率は肉や野菜の自給率を計算にいれるのでしょうか?
自給率の内訳を見ればわかりますが、国産がほとんど無い小麦・油脂・畜産が約1000キロカロリー分を占めています。
つまり輸入途絶の事態になれば1000キロカロリー分(プラス大豆やその他諸々)は軽く吹っ飛ぶことになります。
それなのに畜産の半分を占める輸入飼料の自給率や油脂の自給率によってカロリーベース自給率は41%という低い値に押し下げられます。
元々指摘のあることですが、輸入途絶の事態ともなれば自給率は必然的に100%になります。
つまりカロリーベース自給率は「食糧危機」を想定した場合、意味のある指標とはいえません。
あくまでも平常時の「穀物生産力」に大きく左右されるもので、非常時の余力とはあまり関係がないといえないでしょうか。
くわえて繰り返しになりますがそのような非常時に大切なエネルギー自給率や種子自給率も勘案されていません。
農水省は「食料安全保障」の枠組みでこの「危機」をレベル別に分類しています。
「不測時の食料安全保障マニュアル」というものでは、その対応をマニュアルとして例示しています。
けっこうつまんないのと長ったらしいので、かいつまんで紹介します。
・レベル0
食糧危機の兆候を察した段階。
情報収集と告知、口先介入をする。
・レベル1
特定品目で、供給量が二割減ると予測できる状況。
流通、価格の安定と、関連品目の増産を図る。
・レベル2
一日あたりの供給カロリーが一人につき2000キロカロリーを下回る状態。
生産転換や、農地拡大などで穀類と芋類の生産をする。石油などの供給は農林漁業者優先。
これを見たとき、あまりにもレベル1とレベル2に差がありすぎると思いませんか?
注意書きには、「すべての品目について供給が概ね2 割減少すればレベル2に該当することを踏まえ、特定の品目の供給が2 割減少することをもって判定基準としました」と書かれていますが、特定の品目だけ足りなくなることと、いわゆる「食糧危機」が同列で語られることには違和感を持ちます。
特に「石油の供給は農林漁業者優先」という言葉。
もうこのレベルまでいけばマニュアルどころではなく、国家が無くなっているに等しいと思うんです。
石油が無ければ経済が破綻しているようなものですから。
じつは、自給率の高い各国でも、輸入は盛んです。
『日本は世界5位の農業大国』では、「世界一の小麦輸入大国は、何とパスタの国イタリアである。~飼料用小麦が含まれているとはいえ、日本より200万トンも多い700万トン強を輸入している。~日本でいえば、コメを全量輸入しているような増え方だ。小麦の大生産国である米国までもが200万トンも輸入している。~イタリアは、大量に輸入した小麦をパスタや菓子などに加工し、大量に輸出している。事実、世界の農産物流通のうち、七割は加工食品であり、そのまま売られているのはごく一部でしかない。このことからも、『安い原料を輸入すれば国内農業が壊滅し、自給率が下がる』との議論は必ずしも成立しないことが分かるだろう」と述べています。
世界の小麦(生産量、輸出量、輸入量の推移)
こちらのサイトでは、FAOではなく、USDAのデータだからなのか、年が同じでもエジプト、もしくはブラジルが一位になってるっぽいですね。
オランダなどは、上の本では約1660万人でも、輸入額が世界7位で、それは原材料を海外から輸入し、国内で加工して、輸出しているからだとしています。
関係ないですが、この本、「日本は世界一の食料輸入国ではない」としているんですが、同じ年のFAOstat調べたんですが、同じ数字が出てこないんですよね・・・。出来るならソースをもうちょっと具体的に書いてほしかったです。私がバカなだけかもしれないですが。
あと、「世界一の輸入国であるというのはウソ」と本では言われていますが、農水省はじめ、そんなことは言ってないんです。
というのは、日本は世界一の「純」輸入国だからです。
つまり、最大の輸入国というわけではなくとも、外国のように輸出をほとんどしていないので、「入ってくる量」という意味での最大輸入国なんですね。
多くの輸出国で、品目別では穀物によって自給率が押し上げられています。
「有事に必要なのは健康に役立つ栄養素ではなくカロリー」であるという論理から、農水省はカロリーベース自給率を独り計算しています。
しかし、穀物だけで今の時代を考えるべきなのでしょうか。
「日本への輸入が途絶えた場合」というテレビ番組の企画を見たことはないでしょうか?

http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h19/pdf/g_2-1.pdf
一日あたり2020キロカロリーの供給が可能であるとしてどんな食事になるかを想定したものです。
このなかでは、朝食に茶碗一杯のご飯、ぬか漬け、粉ふきいも。昼食に蒸かし芋、焼き芋二本、リンゴ4分の1。夕食に茶碗1杯のご飯、焼き芋、焼き魚1切れ。
ひどい内容の食事になることは確かですが、これの実現可能性に加えて、疑問が一つあります。
「肉類や野菜から、いも類等の熱量効率の高い作物に生産転換することで、~供給が可能であると試算されています」と書いてあります。
つまりこんな事態に陥った場合、肉や野菜はほとんど作られないことを想定しているのです。
そりゃあ、そんな事態になったら、肉や野菜はつくられないでしょう。
想定自体は正しいです。
しかし、それならばなぜカロリーベース自給率は肉や野菜の自給率を計算にいれるのでしょうか?
自給率の内訳を見ればわかりますが、国産がほとんど無い小麦・油脂・畜産が約1000キロカロリー分を占めています。
つまり輸入途絶の事態になれば1000キロカロリー分(プラス大豆やその他諸々)は軽く吹っ飛ぶことになります。
それなのに畜産の半分を占める輸入飼料の自給率や油脂の自給率によってカロリーベース自給率は41%という低い値に押し下げられます。
元々指摘のあることですが、輸入途絶の事態ともなれば自給率は必然的に100%になります。
つまりカロリーベース自給率は「食糧危機」を想定した場合、意味のある指標とはいえません。
あくまでも平常時の「穀物生産力」に大きく左右されるもので、非常時の余力とはあまり関係がないといえないでしょうか。
くわえて繰り返しになりますがそのような非常時に大切なエネルギー自給率や種子自給率も勘案されていません。
農水省は「食料安全保障」の枠組みでこの「危機」をレベル別に分類しています。
「不測時の食料安全保障マニュアル」というものでは、その対応をマニュアルとして例示しています。
けっこうつまんないのと長ったらしいので、かいつまんで紹介します。
・レベル0
食糧危機の兆候を察した段階。
情報収集と告知、口先介入をする。
・レベル1
特定品目で、供給量が二割減ると予測できる状況。
流通、価格の安定と、関連品目の増産を図る。
・レベル2
一日あたりの供給カロリーが一人につき2000キロカロリーを下回る状態。
生産転換や、農地拡大などで穀類と芋類の生産をする。石油などの供給は農林漁業者優先。
これを見たとき、あまりにもレベル1とレベル2に差がありすぎると思いませんか?
注意書きには、「すべての品目について供給が概ね2 割減少すればレベル2に該当することを踏まえ、特定の品目の供給が2 割減少することをもって判定基準としました」と書かれていますが、特定の品目だけ足りなくなることと、いわゆる「食糧危機」が同列で語られることには違和感を持ちます。
特に「石油の供給は農林漁業者優先」という言葉。
もうこのレベルまでいけばマニュアルどころではなく、国家が無くなっているに等しいと思うんです。
石油が無ければ経済が破綻しているようなものですから。