今日は2016年2月のドイツはベルリンからです。
この日も午後からハンブルクからベルリンへICEで移動しました。ベルリンへ着いて、ポツダム広場周辺のCafeで少しお茶をしようと行ってみたのですが、どこも満席。カフェ探していたらユニクロ発見しました。
結局、どこもカフェ一杯で、早めにフィルハーモニーへ行って、白ワイン飲みながらロビーで開演待ちます。
今日のベルリンフィルの指揮は、ヘルベルト・プロムシュテット。
スウェーデン人の両親の元、アメリカで生まれ、その後、スウェーデンへ家族とともに戻ります。ストックホルム音楽大学やウプサラ大学などで学んだ後、イーゴリ・マルケヴィッチ、ジャン・モレル、レナード・バーンスタインなどに師事します。1954年ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団を指揮し、指揮者として本格デビューし、これまで多くの著名なオーケストラとの共演を重ねています。ノールショピング交響楽団、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、デンマーク放送交響楽団、スウェーデン放送交響楽団、シュターツカペレ・ドレスデン、北ドイツ放送交響楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席指揮者、サンフランシスコ交響楽団の音楽監督などを務めており、ベルリンフィル、ウィーンフィルとも繰りかえし共演し、現代を代表する指揮者の一人です。この演奏会時点で既に88歳、この日のプログラムにも「40年間の共演に感謝」と書かれていました。
フランツ・ベルワルト: 交響曲第3番ハ長調「風変わりな交響曲」
最初の曲は、
フランツ・ベルワルト: 交響曲第3番ハ長調「風変わりな交響曲」
Franz Berwald: Symphonie Nr. 3 in C Dur Sinfonie singulière
フランツ・ベルワルトは、18世紀終わりから19世紀にかけて活躍したスウェーデンの作曲家ですが、生前はなかなか音楽家として評価されなかったようです。代々音楽家の家系で、ヴァイオリニストだった父親からヴァイオリンの手ほどきを受け、16歳から32歳までスウェーデンの王立管弦楽団のヴァイオリン奏者を務めます。その後、奨学金を得てベルリンへ留学しますが、生活のために整形外科を開業します。45歳でウィーンに移り、そこで4曲の交響曲が作曲されます。50歳を超えてからスウェーデンに戻りますが、そこでも音楽だけでは生計が建てらえれずガラス工場のマネージャや共同経営者を務めたりしています。
今回の曲は、ウィーン時代に作曲された交響曲の1つです。ベルワルドの交響曲は、1番は「まじめな交響曲」、2番は「気まぐれな交響曲」、3番は「風変わりな交響曲」、4番は「素朴な交響曲」という副題がついており、なんだか少し面白いですね。彼の曲は、存命中に演奏されたものが少ないのですが、交響曲1番はその数少ない曲の一つで、この成功の勢いに乗って、後の3曲も作曲されているようです。
1. Allegro fuocoso
2. Adagio - Schero: Allegro Assai - Adagio
3. Finale: Presto
の3楽章からなるこの曲も初演されたのは没後40年近く経った1905年。20世紀に入ってからのことです。1905年1月10日スウェーデンの指揮者 トール・アウリン(Tor Aulin)の指揮でスウェーデンで初演されています。ベルリンフィルでの初演は1917年11月15日フィンランドの指揮者アルマス・ヤルネフェルト(Armas Järnefelt)の指揮で行われた演奏です。
なかなか勢いのある曲で面白い曲。印象的なフレーズが繰り返し使われます。そして、ベルリンフィルらしからぬ鳴らしっぷり。ちょっとびっくりしました。ベルリンフィルも、こんな鳴らし方するのかと。。。ベルワルト、独特の作風で当時はあまり評価されなかったようですが、今では近代スウェーデン音楽をつくった一人として認められているとか。
ドヴォルザーク: 交響曲第7番ニ短調
二曲目は、
アントニン・ドヴォルザーク: 交響曲第7番ニ短調
Antonín Dvořák: Symphonie Nr. 7 d-Moll op. 70
1884年~1885年に書かれたドヴォルザークの交響曲。圧倒的な人気を誇る9番「新世界より」ほどではありませんが、比較的頻繁に演奏される曲の一つです。ドヴォルザークはこの年、ロンドンに招かれ熱狂的な歓迎をうけたのち、ロンドン・フィルハーモニック協会の名誉会員に選ばれ、新しい交響曲の作曲を依頼され出来上がったのがこの曲です。敬愛するブラームスの交響曲第3番の初演を聞いて、次の交響曲への意欲を強めていた時期でもあり、作曲者自身が「本格的なもの」と呼ぶほど、味わい深く素晴らしい作品です。
何が始まるのかと思わせる憂鬱な出だしで始まり、緩徐楽章、チェコの民族舞曲を取り入れた第三楽章を経て徐々に勢いを増し、最後はなかなか派手に終わります。そして、演奏が終わった途端、観客席からのすごい拍手、そして観客が次々に座席から立ち上がりスタンディングオベーション。こういう瞬間は、やはり生の演奏会のすばらしさを感じます。そして、そこに居合わせた幸せ感!!
ベルリンフィルでアンコールが演奏されることは、ほとんどないのですが、今回はめずらしくアンコール。ドヴォルザークのスラブ舞曲8番が演奏されました。
今日の演奏は、プロムシュテットらしい、厳格で、緊張感をもった、そして無駄のないシャープな演奏。素晴らしい演奏でした。そして、それに確実に応えるベルリンフィルのすごさ。今日も、素晴らしい演奏が聴けました。
これからハンブルクへ戻ります。今日もまた家に帰ったら夜中です。。。