エベーヌ弦楽四重奏団&プレスラー(2016年2月、ドイツ・ハンブルク) | クラシック音楽と食べ物と。。。

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今日は、2016年2月のドイツハンブルクからです。

今日は室内楽コンサートですが、お目当てはメナヘム・プレスラー

 

 エベーヌ弦楽四重奏団は、1999年フランスブローニュ=ビヤンクール地方音楽院に在籍していた学生4人で結成された弦楽四重奏団で、イザイ弦楽四重奏団に学び、ガボール・タカーチエバーハルト・フェルツジェルジ・クルタークらに師事します。2004年ミュンヘン国際音楽コンクールで優勝、2005年にはフォルベルグ・シュナイダー財団よりベルモント賞を、2006年にはBBCの「新世代アーティスト」に選ばれ、2007年にはボルレッティ・ブイトーニ・トラスト・アワードを受賞、2009年、2011年にはリリースしたCDが評価されECHO-KLASSIK最優秀室内楽レコード賞を受賞するなど高い評価を受けています。クラシックだけでなくジャズまでカバーする新しいスタイルの四重奏団です。

 

今回のメンバーは、

ピエール・コロンベ (Pierre Colombet) ヴァイオリン
ガブリエル・ル・マガデュール (Gabriel Le Magadure) ヴァイオリン
アドリアン・ボワソー (Adrien Boisseau) ヴィオラ
アントワーヌ・レデルラン (Antoine Lederlin)  チェロ

本来のチェロメンバーはラファエル・メルラン(Raphaël Merlin)ですが、怪我のためベルチャ・クァルテット(Belcea Quartet)のチェリストアントワーヌ・レデルランが急遽代役を引き受けたようです。

 

一方、メナヘム・プレスラーは、現代を代表するピアニストの一人です。1923年ドイツマクデブルクに生まれ、ナチスドイツの迫害から逃れイスラエルで音楽教育を受け、アメリカに移住します。1946年サンフランシスコで行われたドビュッシー国際コンクールで優勝。ボザール・トリオの創設メンバーで、長年室内楽を中心に活動を行ってきました。そのためか他のピアニストに比べ少し知名度が低い気がします。2008年にボザール・トリオを解散し、ソリスト、室内楽と幅広い活動を始めました。2014年ベルリンフィルとの初共演で大きく話題になりましたが、私が初めてプレスラーのコンサートを聞いたのも2015年ハンブルク聖ミヒャエル教会で行われたオーケストラとのコンサートでの共演。アンコールで演奏されたショパン ノクターン遺作を聞いて衝撃を受けて以来、大好きなピアニストの一人です。

 

今日のホールは、ライスハレ 小ホールでした。

 

今日のプログラムは、

・Joseph Haydn: Streichquartett C-Dur Hob. III/32
・Claude Debussy: Streichquartett g-Moll op. 10
・Antonín Dvořák: Klavierquintett A-Dur op. 81


エベーヌ弦楽四重奏団として初めて出したアルバムがハイドンもの、そして、師であるイザイ弦楽四重奏団が初演を行ったドビュッシーの弦楽四重奏曲、そして2013年プレスラーの90歳の誕生日を祝うコンサートで正にエベーヌ弦楽四重奏団プレスラーで演奏されたドボルザークの「ピアノ五重奏曲イ長調Op.81」が演奏されました。

 

アンコールは、プレスラーが2曲。

最初はショパンのノクターン遺作。ここでもう一度生で聞けたのは感動です。やっぱりうまい。音楽の作り方がすごい。二曲目はショパン マズルカの17-4だったような気もしますが、どうも記憶があやしい。

 

プレスラーは相変わらず杖ついて、介添えの人に腕を持ってもらって、よたよたとピアノまで歩いてきます。そして、椅子の位置も自分で前後の調整できず、ピアノに手をついて「よっこいしょ」と立ち上がって、譜めくりの人が椅子の位置を変えていました。ところがピアノを弾き始めると、とても92歳とは思えない演奏。音もしっかり出ていて、速いパッセージも問題なくしっかりと弾けています。そしてなんとも軽やかな演奏。軽さ、重さ、柔らかさ、どれも素晴らしく、そして、楽しそうに弾くところはしっかりとノリノリで。ノクターンの静謐さは、何とも言えないすばらしさ。静けさ、そこに秘められた力強さ、温かさ、冷たさ、それらが渾然一体となって押し寄せてきます。そしてベースに流れるしっかりとした音楽感。そんな演奏でした。お客さんもスタンディングオベーション。本当に生きてていてよかったと思える素晴らしい演奏でした。