ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」(2015年12月、ドイツ・ベルリン) | クラシック音楽と食べ物と。。。

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今回は、2015年12月のドイツベルリンからです。

ICE(高速鉄道)の時刻表がいつの間にか変わっていて、いつもより早くハンブルクを出ないといけなくなっていました。15:19アルトナ発、17:21ベルリン着のICEで移動。少し時間があるので、フリードリッヒ通り(Friedrichstraße)の方へ行ってみます。百貨店ギャラリーラファイエット(Galeries Lafayette)の近くにあるジャンダルメンマルクト(Gendarmenmarkt)のクリスマスマルクトにちょっと寄ってみようと思ってやってきました。どうも入場料がいるようで、「えっ、クリスマスマルクト入るのにお金いるの?」と思ったのと、入場券売り場に行列が出てきていたのとで、中の様子を覗くだけにして入るのはあきらめます。ここは、コンサートホールのコンツェルトハウスベルリンがある場所でもあります。

 

代わりに近くのチョコレート屋さんの二階のカフェに行ってみることにします。こちらもいっぱいで入れず。ちょっと一階のチョコレート売り場を覗いてみました。ラオシュチョコレートハウス(Rausch Schokoladenhaus)。

 

チョコレート製の「連邦議会議事堂」。

 

「カイザー・ヴィルヘルム記念協会」。

 

「ブランデンブルク門」。

 

「飛行機」まで飛んでます。

 

これ全部、チョコレート。

 

ここもいっぱいで入れなかったので、最近お気に入りの「Leysieffer」へ。なんとか席を確保できたものの、ほぼ満席。いつもはもっとすいているんですが、クリスマスマルクトの影響でしょうか。。。とりあえず白ワインとバウムクーヘンで休憩。

 

ここからベルリンフィルハーモニーまでは歩いて20分くらい。途中のショッピングセンターでスヌーピー発見。なんか気持ちよさそうに寝てます。

 

今日のベルリンフィルは、オペラもの。ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」。

今日のフィルハーモニー、なんだか会場のあちこちにビームサーベルみたいなのがいくつもたっているので、スターウォーズでも始まりそうな雰囲です。ステージの上にも何カ所か特設舞台が作られています。

 

ペレアスとメリザンド」はドビュッシーが完成させた唯一のオペラ。ドビュッシーは、オペラに手を付けるのですが、いつまでも完成せず、どれも未完。エドガー・アラン・ポーの小説を題材にした「アッシャー家の崩壊」「鐘楼の悪魔」など、どれも完成していません。その中で、唯一完成したオペラがこの作品。この作品も1893年に着手し、やはり一度中断したのですが、なんとか1902年に完成します。

 

この作品は、ベルギーの劇作家モーリス・メーテルリンクの戯曲をベースに作られたものです。あらすじは、なんでオペラのストーリーっていつもこんなのなのかと思うのですが、アルモンド王国の王太子ゴローが、森でメリザンドを見つけ連れて帰り妻にします。メリザンドはその後、ゴローの弟のペレアスと知り合い恋に落ちます。そのことを知ったゴローは怒り、ペレアスを殺し、メリザンドも傷を負い、亡くなってしまいます。そして最後にはメリザンドが生んだ赤子が残される、といったお話です。

 

初演は、1902年4月パリオペラ=コミック座アンドレ・メサジェの指揮で行われました。この初演もひと悶着ありの初演。原作者のメーテルリンクが推薦した主役を起用せずに、別の歌手を起用してしまいます。怒ったメーテルリンクは公演を阻止しようと画策したり、ドビュッシー宅に乗り込み暴行を加えようとしたり、フィガロ紙に弾劾の文章を載せたりと、様々な妨害を繰り返します。そのためか、ゲネプロは少々荒れたようですが、初演自身はかなりの好評に終わったようです。ベルリンフィルでの初演は、2006年4月8日ザルツブルクイースター音楽祭の一環としてサイモン・ラトルの指揮で行われています。

 

ワグナーオペラからの脱却、近代オペラの最重要作品の一つ、後の作曲家に絶大な影響を与えたオペラと呼ばれるこの作品、メロディー性というよりは、フランス語の抑揚をそのまま音楽に取り入れ、歌うというよりは、ある意味しゃべるようなオペラ。なんとも難解なオペラの一つでもあります。

 

ベルリンフィルでオペラを扱うときは、短縮版で2時間くらいで上演されるケースが多く、今日もそういった短縮版でやるんだろうと思っていたのですが、なんと休憩いれて3時間。会場は、舞台の上だけでなくあちこちの通路など、会場全体を使って演じられました。それぞれのブロックの一番前の席の前を通ったり、歌とは関係なく、会場を歩き回ってたり。オケも全員黒いシャツで統一。歌手も基本黒。舞台装置もなく、衣装の変化もなくこの作品を3時間はちょっと厳しいかもという感想でした。

 

今日の演奏は、サイモン・ラトル指揮、

メリザンド:マグダレーナ・コジェナー(Magdalena Kožená)
ペレアス:クリスティアン・ゲルハーヘル(Christian Gerhaher)
ジュヌヴィエーヴ:ベルナルダ・フィンク(Bernarda Fink)
老王アルケル:フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ(Franz-Josef Selig)
ゴロー:ジェラルド・フィンリー(Gerald Finley)
イニョルド:テルツ少年合唱団のソリスト(Soloists of the Tolzer Knabenchor)
医者:イェルク・シュナイダー(Jörg Schneider)
羊飼い:サシャ・グリンテンカンプ(Sascha Glintenkamp)
ベルリン放送合唱団メンバー


結局終わったのが22:15くらいで、ベルリン中央駅発のハンブルク行き最終が22:45。さすがに公共交通機関で移動していたのでは間に合わないと、タクシー飛ばしてなんとか中央駅にたどり着いて、最終のハンブルク行きへ乗れました。今日の演奏会は、なかなか独創的な演奏会でした。