今回は2015年12月のドイツはベルリンからです。
この日は、ベルリンフィルのチケット発売日で、朝からネットと首っ引きでした。年何回かチケット発売日があるのですが、事前にコンサート予定が発表されているので、どのコンサートから優先してチケットをおさえるかの作戦を事前に立てておきます。チケットの発売日は開始時間からなかなかWebサイトにつながらず、しばらく悪戦苦闘して、サイトにつながったころには、良い席は既に売り切れているなんてこともによくあります。この日は、7つほどチケットを購入。カードの支払いが恐ろしいですが、まあ、それは考えないことに。。。
夕方、ハンブルクからベルリンへ移動して、コンサート前に、「ささや」さんで食事。
タコとオクラのわさびポン酢和え。タコは頭の部分を使っているようで、大将曰く「タコは頭が残るので使い道考えて作ってみた」とか。
お寿司をお任せで握ってもらいます。甘エビ、あなご、ホタテ、中トロ、鯛、イカ、いくら、玉子。それから鮭汁も。
クリームブリュレとコーヒー。クリームブリュレはドイツ風のちょっとグチャットしたやつで、まわりにココナツパウダーまぶしたアイスがのっていて結構面白い感じです。
今日のベルリンフィルは、ベルナルド・ハイティンクの指揮でした。
モーツァルト: ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503
モーツァルト: ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503
Wolfgang Amadeus Mozart: KlavierKonzert Nr.25 C-Dur KV 503
この曲は1786年12月4日に完成し、待降節(クリスマスの準備期間)に初演されたと言われています。この25番まで毎年何曲もピアノ協奏曲を世に送り出してきたモーツァルトですが、この後に作曲されたピアノ協奏曲は、1788年の26番、1791年の27番の2曲だけになります。
冒頭の華々しいファンファーレ、第一楽章、第三楽章の目まぐるしいほどのピアノのパッセージ、そしてその間に挟まれたゆったりした第二楽章。モーツァルトのピアノ協奏曲の中でも、かなり洗練され充実した曲だと感じますが、演奏機会そのものはどうもそれほど多くないようです。ベルリンフィルで演奏されるのは、2004年12月にダニエル・バレンボイムが弾きぶりで行った演奏会以来。
今回のピアノソロは、ティル・フェルナー。ウィーン出身のピアニストです。アルフレート・ブレンデルなどに師事し、クララ・ハスキル国際コンクールでオーストリア人として初めて優勝。その後、多くの著名オーケストラ、指揮者との共演を重ねていますが、ベルリンフィルとの共演は今回が初めてでした。
ウィーン古典派の実力者とのことで、ベルリンフィルとの共演をするだけの実力を十分にもっている人ですが、今回の演奏は今一つこの人の特徴を感じることはできませんでした。
(休憩中のホワイエ)
ブルックナー: 交響曲第9番ニ短調
ブルックナー: 交響曲第9番ニ短調
Anton Bruckner: Symphonie Nr. 9 d-Moll
アントン・ブルックナーは、オーストリアの作曲家でありオルガニストです。若いころはオルガニストとして活動しており、ザンクトフローリアン修道院、リンツ大聖堂などのオルガニストを務めていました。また、作曲家に転向して後もウィーン・ホーフブルク宮殿礼拝堂、クロスターノイブルク修道院でオルガニストとして活動しており、オルガニストとしても高く評価されていたようです。
交響曲第9番は、ブルックナーの最晩年の作品で、未完で終わっています。1887年に8番が完成するのですが、その後、8番を含めた過去の作品の改訂に着手してしまい、9番の作曲に本格的に取り組むのは1890年ごろから。既に病気(心不全?)に侵されていたブルックナーですが作曲への熱意は冷めず、1894年に第三楽章まで完成し、その後第四楽章に着手するも1896年10月11日朝まで作曲していたブルックナーは、その日の午後72歳の人生を閉じます。第四楽章は未完となり、今回のコンサートでも演奏は第三楽章まででした。
ブルックナーの人物像を挙げる話には事欠かないのですが、「敬虔なクリスチャン」「若くきれいな娘を見るとすぐ求婚してしまう」「ビールが大好きで10杯は軽く飲んでしまう」「シュニッツェルが大好きで大食漢」「服装に無頓着」「数字に異常なこだわり」などなど、なかなか個性的な人ではありますが、根底での神への深い信仰、そしてオルガニストとしての独特の音楽表現などが、この曲にもよく表れています。8番までは皇帝などに献呈されていましたが、9番は楽譜に「愛する神に捧ぐ」と書かれているように、神にささげられています。また、ベートーヴェンの9番と同じニ短調で書かれていることからも、ブルックナーが相当の決意で書いた曲であることがよくわかります。
第一楽章:Feierlich, misterioso(荘重に、神秘的に)、第二楽章:Scherzo. Bewegt, lebhaft - Trio. Schnell(スケルツォ。軽く、快活に - トリオ、急速に)、第三楽章:Adagio. Langsam, feierlich(アダージョ。遅く、荘重に)。最後は静かに終わっていきます。
初演は、ウィーンでフェルディナント・レーヴェ指揮、演奏協会管弦楽団(Konzercereins Orchester)の演奏で1903年2月11日に行われています。ベルリンフィルでの初演は、1903年10月26日アルトゥル・ニキシュ指揮で演奏されています。
今回のハイティンクはベルリンフィルとは1964年以来の深いつながりがあり、 ブルックナーも度々演奏してきていますが、ベルリンフィルとの9番は、1989年以来の二回目の演奏でした。混沌から始まる第一楽章、そして静かに終わっていく第三楽章。この曲は現代音楽への道を開いたとも言われているようですが、聴いていて何か映画音楽的な印象を受ける部分も数多くあります。さすが、ハイティンクらしい、素晴らしい演奏を聞かせてもらいました。
(フィルハーモニー近くのソニーセンターのクリスマスツリー)
(ベルリン中央駅のクリスマスツリー)
今日も素晴らし音楽が聴けて大満足。これからハンブルクまで帰ります。