ベルリオーズ トロイの人々(2015年10月、ドイツ・ハンブルク) | クラシック音楽と食べ物と。。。

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今回は、2015年10月ドイツ・ハンブルクからです。

 

この日は友人とともにオペラを見に来ました。

ハンブルク国立歌劇場。1678年に完成し、ハンス・フォン・ビューローグスタフ・マーラーなどが芸術監督を務めた歌劇場です。

(写真はハンブルク国立歌劇場のHPからの借用)

 

2015年からケント・ナガノが音楽総監督と努めています。

(写真はハンブルク国立歌劇場のHPからの借用)

 

この日のプログラムは、ベルリオーズ作曲『トロイアの人々』(Hector Berlioz: Les Troyens)。

このオペラは、ローマ時代の詩人ウェルギリウスによる「アエネーイス」をもとに作られています。アエネーイスは、皆さんよくご存じの「トロイの木馬」が出てくるお話ですね。

 

<トロイアの陥落>

10年トロイの町を包囲していたギリシア軍が突然撤退し、大きな木馬が放置されています。預言者でもある王女カサンドルが不吉だと予言したにもかかわらず、トロイの人々はその木馬を城内に引き入れます。案の定、木馬の中からギリシアの兵士たちがなだれ込み、トロイは滅亡してしまいます。奴隷となり辱めを受けることをよしとしない王女カサンドルは自害し、他の乙女たちも自害していきます。

 

<カルタゴのトロイア人>

この騒ぎを切り抜けたトロイアの英雄エネ(アエネアス)は新しい王国を作るためイタリアへ向かいますが、途中で遭難しカルタゴにたどり着きます。そこでカルタゴの王女ディドと恋に落ちますが、亡霊のイタリアを目指せという言葉に逆らえずカルタゴを後にします。王女ディドはこれを呪い、子孫による復習を誓って自ら自決します。

 

おおよそこんな感じのお話です。

 

この作品は、1856年から1858年にかけて作曲されますが、全5幕によるこの長大なオペラは、その長大さゆえに、なかなか初演にこぎつけませんでした。ベルリオーズの必死の交渉にもかかわらず、1863年にやっと後半の3幕(上記の「カルタゴのトロイア人」の部分)がパリリリック座で上演されます。全曲が演奏されるのは、ベルリオーズの死後21年たった1890年のことです。しかし、ドイツカールスルーエで行われたこの初演はドイツ語版。フランス語版での全曲演奏は、なんとベルリオーズの死後100年がたった1969年のことでした。今ではベルリオーズの傑作と言われるこのオペラ、ここに至るまでの道はなかなか険しかったようです。

 

この日は、15時にスタートして、終わったのが19時ごろ。ワーグナー作品などと比べると、オペラとしてそこまで長いわけでもないと思ってしまうのですが。。。それでも、眠くなることもなく大変楽しめる作品でした。

 

指揮: ケント・ナガノ

演出: Michael Thalheimer

舞台美術: Olaf Altmann

衣装: Michaela Barth

 
エネ: Torsten Kerl
コレーブ: Kartal Karagedik
パンテー: Alin Anca
ナルバル: Petri Lindroos
イオパス: Markus Nykänen
アスカーニュ: Christina Gansch
カサンドル: Catherine Naglestad
ディド: Elena Zhidkova
アンナ: Katja Pieweck
ヒュラース:  Nicola Amodio
プリアム: Stanislav Sergeev
ギリシアの指揮官: Zak Kariithi
ヘクトル/メルキュール: Bruno Vargas
エレニュス: Daniel Todd
アンドロマック: Catrin Striebeck
 
オーケストラ: ハンブルク・フィルハーモニカ―
合唱: ハンブルク国立歌劇場合唱団
 
 
演出は、個人的にはあまり好きな演出ではなかったのですが、演奏は素晴らしい演奏でした。歌手陣も素晴らしく、特にディド役のエレーナ・ツィトコーワの歌はすっかり気に入ってしまいました。
 
オペラ見終わった後は、エルベ川沿いのレストランFischereihafen Restaurantへ。ここはシーフードがおいしいレストランで、友人はエビのサラダとスープ。私はヴィエナ―シュニッツェルをいただきました(なんでシーフードレストランでシュニッツェルなんだという声が聞こえてきそうですが。。。)。
 
今日も、いい音楽とおいしい食事いただきました。