ペルチャッハ ~ブラームスを求めて~(2015年8月、オーストリア・ペルチャッハ) | クラシック音楽と食べ物と。。。

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ヨーロッパでの生活を振り返るブログ。

今回も2015年8月のオーストリアからです。

 

午前中、ザルツブルク音楽祭のコンサートを聞いた後、一旦ホテルに戻って着替えてから出発です。まずは、ザルツブルク中央駅へ向かいます。この駅は初めて来ましたが、思ったよりも立派な駅。

 

駅のLe Crobag(パン屋)でモッツァレラチャパタとカプチーノ買って列車に乗り込みます。

 

この列車フランクフルトから来てるようでした。ここから3時間ほどの旅です。車窓からの風景はなかなかの絶景。巨大な岩山があったり、緑の山が重層的に続いていてその谷間に村があったり、街があったり、川が流れていたり、なかなか見ごたえがある風景が続きます(車窓からなのでなかなか良い写真が取れませんが。。。)。

 

14:12ザルツブルクを出発して到着したのは17:06。やってきたのはペルチャッハ(Pörtschach)。オーストリアの南部にあるヴァルター湖畔の村で、スロベニアイタリアとの国境からそんなに離れていない場所にあります。

 

ペルチャッハ駅

 

小学生の終わりごろか、中学に入ったころ、生まれて初めてブラームスのピアノ曲を弾いたのですが、その曲が「2つのラプソディーの一番」でした。その解説の中にペルチャッハで作曲されたと書かれいて、それ以来どうにもこのペルチャッハという場所が気になっていたのです。一体どういう場所でこの曲が作曲されたのか。

 

そんなこんなでペルチャッハは、どうしても来たい場所だったのですが、ドイツからでもなかなかスっと来れる場所でもなく、今回かなりの強行軍でやっと実現しました。今日中にザルツブルクに戻らなければならないので、今回ペルチャッハに滞在できるのは1時間49分


まずは、ペルチャッハ駅の前の通りを西へ向かいます。ここは、避暑地の一つで道の両側には、ちょっとしたカフェやお土産屋、服屋などが並んでいます(ちょっとしょぼめではありますが)。

 

目的地の一つが見えてきました。ブラームスは1877年から3年間ここペルチャッハで夏を過ごしますが、1年目はこの城館で過ごしています。ここで交響曲2番が生まれています。今では、「ホテル・シュロス・レオンシュタイン」として残されており、ブラームスが滞在した部屋もゲストルームとして使われているようです。

 

中庭にはブラームスの像も置かれています。

 

ここは元々は貴族のお城で、そこに逗留したということのようですが、主人夫妻(?)がいろいろと世話焼きだったらしく、人嫌いのブラームスとしては面倒くさくなり、翌年は斜め向かいの家に部屋を借りたようです。

 

それがこちらの「ペンション ラパッツ」。のはずですが、使われている感じではありませんでした。壁には、ブラームスの文字が大きく書かれているので、この建物で間違いはなさそうです。。。

ヴァイオリンソナタ1番などがこの場所で作曲されています。そして時期的に2つのラプソディーが作曲されたのもこの場所のようです。ブラームスが夏をペルチャッハで過ごしたのは3年間ですが、ブラームス45歳前後の時期にあたります。
 
せっかくここまで来たので湖へ降りようとするのですが、湖沿いに家が建っていてなかなか湖に出ることができません。少し駅側へ戻り、そこから湖のほうへ抜ける道がありそうなのでそっちへ行ってみることに。このあたりは、リゾートホテルが立ち並び、多くの湖岸がホテルの専用ビーチになっていてここも入っていけません。船着き場みたいなところが少し開けていて、やっと湖に出ることができました。
 
遠方には山々が重層的に連なり、素晴らしい風景です。
 
なかなかに広い湖です。対岸には、マーラーの夏の家と作曲小屋もあったようです。
 
オーストリアといっても南部なのでかなり強い日差しです。いやあ、なんかすごい気持ちよい場所です。
 
泳いでいる人はほとんどいなくて、ヨットやボートで遊ぶ人、水着を着て椅子でゆっくり寝そべる人など。ヨーロッパのリゾートは、せかせかと何かをするわけでもなく、日光浴してくつろいだり、カフェでお茶飲んだりして過ごすスタイル。典型的な欧州人の休暇。
 
湖の水は結構澄んでいて、エメラルドブルー系。きれいな湖です。
 
この辺りには、高級そうなホテルが並んでいました。

ここから少し山の方へ上がってみます。
 
教会にやってきました。ブラームスペルチャッハに滞在していたころはこの教会と数件の家しかなかったというので、今のこの地をブラームスが見たらびっくりすると思います。まあ、こんなに人がいたら、ここを夏の滞在場所にはしなかったでしょうが。。。
教会は高台になっているので、ここからの景色は素晴らしいものでした。湖こそ見えませんが、下からは見えなかった山々が見えて、頭に雪がのっている山も見えます。この裏山、頂上までに登るとさらに見晴らしの良い場所があるようなのですが、それだけの時間もなく残念。
「ここには抜けるような青い空がある。泉から水がほとばしり、ふんだんな日射しと、木陰の涼しい気配がある。ヴァルター湖はよほどすてきなところに違いない」と、ブラームスの友人ビルロート交響曲第2番の感想をブラームスに送っています。ペルチャッハは正に、この言葉がぴったりな場所でした。そして、こんな場所で2つのラプソディーが生まれたんだなあと。
 
メインストリートまで下りて、ペルチャッハ駅へ戻ります。
 
電車まで少し時間があるので、駅前のカフェでビール。オーストリアのピルス系ビール(Schleppe)。少しいい気分で出発まで過ごしました。
 
帰りは、18:55発、ザルツブルク22:08着。
 
かなりの強行軍でしたが、本当に来てよかったと思います。今日は、ザルツブルクでもう一泊して、明日の朝ハンブルクに戻ります。
 
(ザルツブルク空港から見た山々)