バーミンガム市交響楽団&クラウス・フロリアン・フォークト(2015年6月、ドイツ・ハンブルク) | クラシック音楽と食べ物と。。。

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今回は2015年6月、ドイツハンブルクからです。

 

今日は仕事が終わってから、内アルスター湖近くの楽譜屋Bartels Notenに寄って、いくつか楽譜買ってからライスハレにやってきました。

今日のコンサートは、バーミンガム市交響楽団(City of Birmingham Symphony Orchestra)。イギリスバーミンガムを拠点とするオーケストラで1920年の設立ですが、1980年から1998サイモン・ラトルが首席指揮者(1990年からは音楽監督)を務め、その後、サカリ・オラモに引き継ぎ、2008年からはアンドリス・ネルソンスが音楽監督を務めています。今回の指揮はもちろんアンドリス・ネルソンス

今のアンドリス・ネルソンスをご存知の方は、この人誰って感じの写真ですが、プログラムにはこの写真がのっていました。

 

前半はテノールクラウス・フロリアン・フォークト(Klaus Florian Vogt)を迎え、ワーグナーのオペラからいくつかの曲が演奏されました。

シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州ハイデ出身とのことですから、ハンブルクからもそんなに遠くないところの出身のようです。ハンブルクは独立州なのですが、そのすぐ北側に広がっているのがシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州です。リューベックノイミュンスターキールといった街がこの州に属しています。クラウス・フロリアン・フォークトは、元々ホルン奏者でハンブルク・フィルハーモニカ―(ハンブルク州立歌劇場の管弦楽団)に所属していましたが、途中から歌手に転向したというちょっと変わった経歴を持っています。ドレスデンのゼンパー・オーパーなどで研鑽を積み、今では国際的なオペラ歌手です。

 


ワグナー: パルジファル


最初に、

ワーグナー: パルジファル

Richard Wagner: Parsifal

から何曲か演奏されました。

 

パルジファルは、リヒャルト・ワーグナーが1865年に作曲したオペラで、全3幕4時間半にも及ぶ大作です。

中世スペインモンサルヴァート城を舞台に繰り広げられる聖杯にまつわるお話です。パルジファルは、その中で「無垢で愚かな若者」として登場し、最後は聖杯を守る新しい王になります。

このオペラの初演は、1882年7月26日バイロイト祝祭歌劇場で行われました。

 

今回演奏されたのは、そのパルジファルから3曲。

・聖金曜日の魔法/Karfreitagszauber (第3幕より)

アムフォルタス!その傷!/Amfortas, die Wunde (第2幕より)

役立つ武器はただ一つ/Nur eine Waffe taugt (第3幕より)

 

オペラ「パルジファル」のパルジファル役は、クラウス・フロリアン・フォークトの持ち役の一つですが、今回はまさにパルジファルのハイライト版って感じでした。

 


ワグナー: ローエングリン


次に演奏されたのは、

ワーグナー: ローエングリン

Richard Wagner: Lohengrin

 

ローエングリンも、リヒャルト・ワーグナーによって作られたオペラ作品で、3時間半ほどのものです。

この物語はベルギーアントワープを舞台に繰り広げられるお話です。

ブラバント公国の先王には、エルザゴットフリートという二人の子供がいましたが、ブラバント公国の実権を握ろうとするフリードリヒ伯爵、その妻のオルトルートの魔の手が迫ります。弟ゴットフリートが行方不明になり、姉エルザにその罪をかぶせようとするフリードリヒ。それを助ける騎士がローエングリンです。ローエングリンは自分の素性を聞かないことを条件にエルザを助けるのですが、オルトルートにそそのかされ、結局素性を訪ねてしまいます。最後に騎士は自分の素性を明かすのですが、実は彼は「パルジファル」で出てきた聖杯を守る王「パルジファル」の息子だったんです。

この曲の全曲演奏は1850年8月28日フランツ・リスト指揮でワイマールで初演されています。

 

このローエングリンからも3曲演奏されました。

第3幕への前奏曲/Vorspiel zum 3. Akt (第3幕より)

お前は私から最高の信頼を与えられているのだ /Höchstes Vertraun hast Du mir schon zu danken(第3幕より)

聖杯伝説(遥かかなたの国に)/Gralserzählung("In fernem Land")(第3幕より)

 

オペラ「ローエングリン」のローエングリン役も、クラウス・フロリアン・フォークトの持ち役の一つです。彼の甘いマスク。ローエングリンは結構そういう意味でもはまり役ではないでしょうか。

 


ドボルザーク: 交響曲第7番 ニ短調


休憩を挟んで後半は、

ドボルザーク: 交響曲第7番 ニ短調

Antonín Dvořák: Symphonie Nr. 7 d-Moll op. 70

が演奏されました。

 

交響曲7番はドボルザークが1884年から1885年にかけて作曲した曲です。

前年の1883年に親交のあったブラームス交響曲第3番を発表し、それに触発されていたドボルザークが、ロンドン・フィルハーモニック協会の招きでロンドンを訪れ大歓迎を受けたのが1884年。その後、フィルハーモニック協会の名誉会員に選ばれ、交響曲の作曲を依頼されて作られたのがこの曲です。

ドボルザークと言えば鉄道オタクで有名ですが、第一楽章から何やら鉄道のガタンゴトンというリズムが聞こえてきて気のせいかもと思ったのですが、ハンガリー人が鉄道でプラハ駅に到着する情景をイメージしたという話もあり、あながち気のせいでもないかもしれません。

牧歌的なホルンが出てくる第二楽章、第三楽章ではとことんチェコ的なものにこだわったドボルザークらしくチェコの民族舞曲フリアントのリズムがでてきます。そして第四楽章は 、第一楽章にも出てきた劇的序曲「フス教徒」の主題で民俗的な印象を前面に出しています。

初演は1885年4月22日ロンドンにあるセント・ジェームズ・ホールにて作曲者自身の指揮で行われています。

 

バーミンガム市交響楽団。なかなかのレベルの高さです。さすがサイモン・ラトルが鍛え上げたオーケストラ。若干揃いが悪いかなあと思うところがありましたが、全体的には素晴らしい演奏でした。クラウス・フロリアン・フォークトも大歓声を受けアンコールを披露し、オーケストラも鳴りやまない拍手にアンコール。今回も、素晴らしい演奏会でした。