● 10月の帰京の折に再会したSeさんから、この本のことを知り、さっそく沖縄市図書館に予約しました。
“沖縄独立” の話は、このブログでも何度か触れていますが、沖縄移住5年生の私周辺からは、
そのような話も空気も感じない、……… ということを書いてきました。
なので、この 『琉球独立論』 の中 「現在、琉球では独立が盛んに論じられています」 の一文を見て、(えっそうなの?) と驚きました。
著者の松島泰勝氏は、1963年沖縄県石垣市生まれ。早稲田大学政経学部を出て、現在は龍谷大学経済学部教授。
そして 「琉球民族独立総合研究会」 設立メンバーであり、共同代表だと、書いてあります。
この 「琉球民族独立総合研究会」、メンバーは現在200余人で、設立されたのは2013年、つまり去年。
おそらく、この研究会の中で、活発に論じられているのだろうと思いました。
『琉球独立論 ー琉球民族のマニフェスト』
四六判 290p 1800円(税抜)
この本の 「はじめに」 で、
本書は 「琉球の独立」 をテーマとして、歴史、理念、政治経済、国際関係等、多角的な視点から述べた研究の書であると同時に、
琉球独立を絵空事だと考える人々との論争の書でもあります。 と書いています。
そして 「琉球の独立」 の最大の根拠を、
日本の侵略から始まる琉球近現代史じたいだ、と言います。
固有の歴史を育んできた民族国家が、1606年の薩摩藩による侵略から始まり、明治政府による琉球王国の滅亡、沖縄県という名の日本併合、
差別的同化政策、太平洋戦争における沖縄戦そして戦後の“捨て石”米軍統治、復帰後の米軍基地政策 ………。
著者は、現在の沖縄県のことを 「琉球」 「琉球人」 と表記し、
それ以外のいわゆる本土のことを、「日本」 「日本人」 と表記しています。
現在の琉球は、日本とアメリカにより植民地支配されている、と言っています。
そして、現在抱える基地被害や構造的差別を、日本の一自治体として安住しながら告発するのではなく、
問題の源を解決する具体的な方法としての 「独立」 を真摯に考えなければ、琉球はこの先も屈辱の歴史を歩まされるはずだ、としています。
そのように書かれたこの 『琉球独立論』 は、独立のための具体論を含め、まさにさまざまな視点から論じられた
まさに研究の書であり、論争の書です。
さて。
この本のことを、このブログでどのように話をしようか、迷ってしまいました。
これまでも 『新・沖縄史論』 (安良城盛昭著) はじめ、沖縄について書かれた本をいくつか話題にしていますが、
この 『琉球独立論』 の内容紹介、私見を書き始めると、問題が深く濃いために、とっても長く長くなりそうだし (笑)、
私のブログも、きっと論文のようになってしまいそうなのです。
なので。
興味のある方、関心をもった方、気になった方は、図書館で借りて、ぜひ読んでみてください、
とても面白いというか、視野を広げさせてもらえます ……… ということで、まとめとします(笑)。
興味を感じてもらうことになるかどうか、いくつか読後の私見を。
● 琉球独立の具体的方法は、
琉球人 (沖縄県民) の意識改革が前提にありますが、意思統一ができて、その宣言から始まり、
そして国連の制度を使うということです。
問題は、まずその琉球人の意識改革でしょう。それは著者も認めています。
私の感じでは、現在の沖縄県民の多くは、独立を本気では望んでいないのでは、と思います。
がしかし、特に安全保障の問題で、今後の日本政府の出方しだいでは、大きく変わる可能性はあるとも思っています。
● 沖縄振興策の名のもとに出される給付金や補助金の多くが、政府が決めた事業に使われ、
結局は内地の企業に還元されている ……… 地元は潤わず安い労働力の提供だけ。
残された箱物施設を維持するために、沖縄地元の自治体の歳出が大きくなり、
さらに給付金に頼るようになってしまう ………
そういう状況などを、日本の植民地だと著者は言っているのですが、それは沖縄にいると分かります。
例えば、沖縄市のすぐ隣の北中城村に、ライカム (rycom 琉球コマンドからきている) と言われる広いエリアがあり、
ここの基地の一部が返還され、現在、大きな建設工事が行われている真っ最中なのですが、
建てられているものは、イオンの巨大なスーパーモールと、徳洲会病院です。
国場組という沖縄の業者の名はあるものの、設計施工の主体は、竹中工務店です。
● 著者は、日本および日本人は、日本と琉球の近代史の実相を理解した上で、
琉球の独立および独立後の琉球を支援すべき、と言っています。
それは、日本の新しい安全保障の確立に、多大な貢献をするはずだから、だと。
日本の積極的支援によって琉球独立が実現した場合、中国やロシアが 「力」 による国益確保を試みているように
未だパワーポリティクスがまかり通る現在、世界から 「快挙」 とみなされるはずだ。
とりわけ、日本による侵略という記憶の残滓が残る東南アジア、太平洋島嶼国、台湾からは歓迎されるはずで、
安全保障および国際関係の中での、進化した新しい日本となると言います。
「理想論」 と言えば、理想論でしかないですが、面白くかつ有効な手段かもしれないと、考えさせられました。
● 私自身、この本を読んで共感することも多く、「沖縄は独立してもいいな」 と考えています。
著者は、
私たちの独立論のモチーフは実のところ極めてシンプルなものです。
すなわち、民族としての尊厳の回復、米軍基地をはじめとする現在の差別状況の解消、現前する戦争リスクの回避、
そして 「まったく新しい価値」 の創造が、独立のモチーフとなっているのです。
…… と語っています。
いつの日か、そうなったとしたら。 そしてまだ私が沖縄にいたとしたら。
「沖縄移住」 ではなく 「沖縄移民」 になるわけです。 それもいいかな。
……… これでも長くなってしまった (笑)。
おつき合い、ありがとうございます。
