過食嘔吐という行為が病気だと知ったのは、
大学に入学して間もない頃だった。
扁桃腺が腫れ上がって病院へ行ったとき、
たまたまその担当医が私の吐きダコに気付いてくださったのがきっかけだった。
「熱が下がったら、絶対にまた来るように」
そう言われても、
私の風邪の経過が診たいのかくらいにしか思わず、
何の気なしに再度病院へ行き、まあ驚いた(苦笑)
「どんな食生活をしているの?」と訊ねられ、
私はふと何かが切れたように涙があふれてしまった。
「この本、一度読んでみるといいよ」
と下さったのが一冊の本。
ちょうど絵本までは行かないけど、
結構カラフルなイラストの多い本だった。
内容を掻い摘むと、
要は「摂食障害ってこういう病気」ということが記載してあった。
本当に予備知識もなかった私には
その内容が驚きの連続でしかなかった。
何故って、あまりに自分の行動が同じだったから。
自分を誰かが監視して書いているんじゃないか、
と思ってしまうほど症状がよく似ていた。
その次の日はちょうど土曜日。
本屋と図書館をはしごして摂食障害の本を買い漁ってみた。
でも答えは同じ。
当然私の行動と同じことが書いてある。
じわじわと沸く
「私、病気だったんだ」
という実感。
でも困ったこともあった。
嘔吐のおかげで一般的に見て痩せ型になっていたのに、
私はまだ自分が太っていると信じてやまなかった。
もちろんこれは病気のせいだとわかっていても、
本当に心の底から太っていると思っていた。
そして本当に太っているように見えた。
私の場合、ガリガリではなかったので、
周りの人間も私の病気に気付くものは少なかったのもあり、
「これなら誰にも言わずにこの病気を治せる」
なんて根拠のない自信にあふれていたのも事実。
改善に向けてまずすることは、
嘔吐をしないことよりも、
薬で過食を抑えることに専念した。
過食をすればどうやったって嘔吐をしたくなる。
だから私はその根底から変えるために、
薬の服用をすることに決めた。
また、長年悩んでいた不眠症の治療も同時に行うことにし、
睡眠薬も処方していただけることになった。
なかなか睡眠薬も効かなくて、
結局強いものに変えてもらったりもしたし、
過食止めの効力がないときも多々あった。
でも今。
私は半年に一度しか過食嘔吐をしていない。
薬の服用もやめて、かれこれ一年近く経っている。
摂食障害は治ったわけではないし、
一生向き合わなくてはならないが、
この病気をいつしか憎めなくなっている自分にも気付いた。
しょうがない。
だって摂食障害である自分も、自分だから。
逆に自分であることに摂食障害もつき物だったら、
認めるしかない。
本当に長い年月をかけて、
この答えに行き着いた。
きっと人によって答えの導き出し方や、
答えが出るまでの時間は違う。
そもそも答えが一致することも無いだろうし。
自分自身のことを好きになるまでに、
10年以上かかった。
今でもまだ好きではない部分の方が圧倒的に多いけど、
それでも自分は生きていられる。
今も未来も、私にはこれしかないのだと痛感している。