車は私が運転した。
初めて行く場所。ナビだけがたよりだった。
真っ暗で風が強くて雨で。視界は不良。
怖かった。嫌だった。泣きたかった。
でも、私にはお父さんに会いたい気持ちはもちろんだけど。1人で辛い思いをしてるお父さんにお母さんを早く届けたかった。
お父さんにお母さんを会わせてあげたかった。


私には弟が2人いる。
弟①は、県外に単身赴任中。すぐ連絡した、車で4時間くらいかな?すぐ向かいます。って返答。特に取り乱したりはしてなかった。

弟②は、近くにいる。連絡して別な車で追うから先に行っていてとの返答だった。
弟②は年が離れていて、この前までお父さんと同居していたから動揺が隠し切れない感じだった。
旦那が、俺が弟②と一緒にいく。と言ってくれて安心した。


車で病院に向かう時、胃が上がってくるような気持ち悪さに襲われた。怖かった。


さっき病院から電話きてね、延命措置はどうしますか?って聞かれて自然にって言ったよ。私達が来るまでに息あるかわからないって…頭の病気みたい。
お母さんが泣きながら話す。

お母さんが奥さんなんだから、お母さんが思うようでいいんだと思うよ私は。これは本当に私の本心だった。

お母さんがとっさにこの答えを言ったのは、父の事を考えての事だとも思った。
やはり、喧嘩しても熟年離婚の話をしていたりしても夫婦は夫婦だな。


ねぇお母さん?覚悟決めなきゃいけないかも知れないよ。
お父さん、どんな状況かもわからないけど。受け入れる覚悟決めよう。
今思えば、私はなんて酷い事を言ったのかと思うけど自分にも言い聞かせていた。


私、覚悟!!腹決めろ!!落ち着け!!
誰よりも、お父さんがいなくなる事が怖くて嫌でも逃げたかった。大好きだから。
最後に会った時は10日前。実家に帰ったとき、車に乗って研修先に向かうお父さんに

あれ?顔つかれてる?大丈夫?無理しないで、またねー!海の物食べに宿舎に遊びいくねー!いってらっしゃいー!

と見送った。
お父さん笑って手振ってくれた。


お父さんどーしたんだろ。大丈夫かな?


病院までの道のりは約三時間。
でも、体感では全然着かなくて長い長い道のりでした。