初めてこの海沿いの街に来た。
真っ暗で海もなにも見えないが、この街にはもう二度と来たくないと思った。
思い出がお父さんの最後場所になってしまったから。
病院に着いた。
小さい古い病院。でも看護師さんたちは、みんな優しかった。
お父さんは個室にいた。看護師さんたち数名が色々と処置してくれていた。
先生から、奥様と娘さんご説明しますのでどうぞと病状説明をしてくれた。
救急車で来た時は意識は朦朧としてました。宿舎でご飯を食べた後に頭が痛くなり嘔吐して意識混濁で救急車で搬送されてきました。検査したら脳内出血です。手術のできる状態ではありません。脳幹部が大量に出血してます。
もって明け方までです。今も呼吸も浅くて意識もありません。
何か、ご質問ありますか?
いえ、ありません。ありがとうございます。
普通でいる事が精一杯だった。
さっきまで元気だったのに。
お母さんと一緒に、お父さんの病室へ入った。
もう悲しくて涙も出なかった。
悲しすぎた、助かる事はないとすぐわかった。
お母さんは、ただただお父さんお父さんと呼ぶ。お父さん先に逝ってだめ、だめ、だめ。
目も開かない、声も出さないお父さんに手を握りながら叫んでた。
私は、最後まで人は耳が聞こえていると看護部長に教えてもらった事がある。どんなレベルでも耳だけは聞こえていると。
私もお父さん。お母さんと来たよ。お父さん。お父さん。とひたすらお父さんに話した。
何回も呼吸が止まりそうになる。
お母さんが、お父さん!だめ、置いていかないで!と言う。
息を吸う。
この繰り返し。
やはり耳は、聞こえてるんだと思った。
弟②が、遅れて来た。先生からの話を伝えた。
耳だけは聞こえていると思うから、ちゃんと言葉かけてあげてよ。あのいい大人の弟②が号泣していた。声をかける事すら出来ずに泣きながら手を握りしめていた。
お母さんや私がどんなに声をかけても、息を吸う事が出来なくなった。呼吸が止まった。それから少しして、心臓も止まった。
2017.10.11.01.23。父、死去。
人の命ってあっけないと思った。
もっと一緒にいたかった。
お父さん、急に居なくなってこちらはまだ覚悟も出来てなかったよ。
お父さんが大好き。
ありがとう、お家にみんなで帰ろうねって顔を触った。