一年遅れでした僕には
すべてがまぶしくて新鮮だった

初めての、空気、言葉、人

今日一日でほんの少し大人に近づいたような
そんな気がした

桜の花びらが今年は本当にで
はかなくて

新しいと別れを暗示しているかのような
桜のを一人なれないを着て歩いていた

なんていうか
何回経験してもなれないもんだ

から数えると
5回目の入学式

年々たんなる儀式のようになっていたけれど
その理由がわかった気がする

学生の数が多くて
僕のことなんて誰も見ていないと
もう一人の僕が冷静に見ているからだ

そう冷静に

でもどこかそわそわしている

なぜって
新しい出逢いに少なからず期待しているから

もちろん僕は男だ
こういう時は冷静にばれないように
周りを見回してかわいい子を探していた

僕もそうだけど
どこかみんな緊張していて
ちょっと背伸びしているようだ

一人じゃないんだなと
勝手に仲間意識をもって
安心している

なんだかスーツを着ている集団が滑稽に見えてきた

僕はどうも集団に属することが
苦手ですぐに心はどこかへ離れてしまう

心だけは
ほんの少し抵抗していたのかもしれない

もうクセのようなもので
大人になった今も全く治っていない

むしろひどくなっているような気もする・・・

誰かもよくわからない
顔もよく見えない人の話が続く

何やら難しいことを言っているように聞こえる
本当に難しいことなのか
ただ僕が知らない言葉が多すぎて理解できないのかわからない

あそこに立って話をするだけで
偉くなれるのかもしれない

長い儀式が終わり
やっと解放されるかと外で伸びを一つ

ところがまだ僕を解放してはくれないようだ

とは自由だなんていったのは誰だ

自由を手に入れるためには
すごく不自由な時間を過ごさなければならないらしい

僕のクラスの初顔合わせと
担当教授から挨拶があるらしい

こじんまりとした
に移動した僕たちは
ギコチナク席にちょこんと座っていた

「はじめまして」
眼鏡をかけたやや白髪交じりの猫背の男性が
教室に入るなり僕らに言った

大学のこと
授業のこと
僕たちのこと
何やら話をしてくれているけれど
全く耳に入らない

ただ今日やらなければいけないことだけは理解できた

入学早々時間割を組まなければいけないらしい

僕にはかなりのストレスだった

これまでただ座っていればよかった
渡された時間割りに従い
ただ黙々と流されればよかった

どうやら自由とはこういうものらしい
僕が欲しがっていた自由のカケラに触れた気がした