あと少しだけ
姉の人生にお付き合い下さい
最後、姉を葬儀社に連れていくとき
誰もエレベーターには同乗せんで
姉と葬儀社の人と私だけ
閉まる扉越しに深々とお辞儀をしながら
案外淡白なんだなぁと
まぁ医療施設だけん皆さん忙しかし
それもしょんなかと思って1階に着いたら
もうたまがったのなんのって
広いエントランスロビーに
医療スタッフ
事務や清掃スタッフ
入所者の皆さんが
ずらーーーーーーーっと
両側に80人くらい並んで
待っててくれた
映画のワンシーンかと見まがうような光景
泣いてる人
優しい笑顔の人
いたわりの言葉をかけてくれる人
姉にバイバイと手を振ってくれる人
もう…たまらず号泣でした
お礼の言葉も
なんも話せんくらいに
そしてその人垣は玄関の外まで続き
姉は車に乗せられ
ファーーーーーンと長いホーンを鳴らし
半世紀以上暮らしたその場所を発ちました
その夜
姉に会いにきてくれた看護師長が
見送るときはいつもああするんだけど
でも大抵は
食事どき、入浴どき、カンファなんかと重なり
なかなかあの人数はそろわない
偶然時間のぽっかり空いたタイミングで
全職員が集えたのは
やっぱりNちゃんが呼んでくれたとしか思えない
ねえNちゃん
みんなNちゃんが大好きとよと
飲み物とお菓子を棺に入れてくれました
こんなに長く生きて
最後まで眉間にシワが刻まれないのは
痛みが少なかったからだと
教えてくれました
ほんと紫外線に当たらんけん
色白でシミもシワも全然なくて
めっちゃ綺麗なお顔やった
ちょっと羨ましい…
ふたりとも直葬です
特に姉の場合
近所付き合いが濃〜厚〜な田舎町やけん
葬儀社も
正直、直葬はやったことありませんと
時間があったら
そこで感じたことを書こうと思います
よかったらお付き合い下さいね